『青春の終わり』
俺の精神はボロボロだった。思考盗聴器を使われ、友人が離れていき、部活の最後の大会が一回戦負け。すがるものも無く、目標としていた全国大会の出場も叶わなくなった。
最後の、監督の言葉も、耳に入ってこなかった。続いてコーチの、最後の言葉がその口から発せられた。
「……」
やはり、耳に入ってこない。と――、
「いつか人生の成功者となれ」
その一言が、俺の耳から頭にスッと入ってきた。
「大会は負けてしまったが、これが人生の全てではない。高校の部活動は終わってしまったけれど、ここで人生が終わったわけではない。人生の成功者というのは、いつか成人を迎え、一人前になった時に、あのお兄さんはしっかり挨拶ができるな、ハキハキしゃべって立派だなと地域の子供たちに思われるような、そんな人間の事だ。今言ったのが全てではないがいろんな形で地域の人達に尊敬されるような人間になる、これを目標としてこれからは生きていってくれ。もう一度言う。いつか人生の成功者となれ!」
『ハイ!!』
コーチの言葉は心に響いた。まだ、俺も終わっていないかも知れない。
「皆で三年だけで最後のミーティングをして来い」
『ハイ!!』
監督の言葉で、俺達三年は移動した。
キャプテンが皆で円陣を組んだ中、話し始める。
「皆、監督やコーチが言ったコト、俺らの三年間を忘れない様にしような!」
「おう」
「おうよ!」
「じゃな!」
「O、俺にもう怒られなくなって嬉しいだろうが?」
「また怒って欲しいよー」
「はは」
皆は、笑っているような、泣いているような表情を浮かべていた。
「皆、また生まれ変わったら、絶対全国大会行こうな!」
『おっしゃ!!』
こうして、俺らの三年間は終わった。悔しさしか残らない三年間だった。




