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『ボール』
それはとても怖くて――。
それは僕の遥か上から落ちてくる。とてもとても高い所から――。
時に太陽の日差しを浴びて、また時には太陽の光を遮って――。
空からこちらへやって来る時は、体のどこに当たるか怖くて、地を這いながらこちらへやって来る時は、すねに当たって痛くて。
だから僕はそれが嫌いだった。やりたくなかった。関わりたくなかった。
10年後――、
俺はそれが好きで好きでたまらなくなっていた。始めはこっちに来るな、飛んで来るなと思っていたが、今ではこっちに来い、こっちに飛んで来いと思うようになり、一人で守る時には、一人かー、疲れるーとは思わず、俺の独壇場だぜ! と、意気込むようになっていた。
それは――、スポーツ。
スポーツの名は――、野球。
今、俺の一番好きなモノ。




