表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編集  作者: 時田総司(いぶさん)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/20

『人間観察?』

俺は今、とてつもなく理不尽な理由で、思考盗聴器を仕掛けられている。加害者はHだ。


「何でそんなコトするん?」


クラスの女子も困惑していたが、Hはニッコリと笑って言った。


「んー、人間観察?」




「!?」




(おい! 人間観察の意味、間違ってるぞ! 俺はアリか何か何かか!? 夏休みの自由研究をしているのか!?)


Hは虐め体質だ。常に誰かをイジメていないと気が済まない。思考盗聴器は足がつかないので、イジメの手段には恰好の道具となる。


さて、思考盗聴器を使われる生活をしている中で俺は人としての大事な何かを失ってしまった。そう、羞恥心だ。


暇人なHは、朝は隣の寮、昼間は隣の教室、夜はまた隣の寮から、思考盗聴器による監視を止めない。風呂はおろか、便通の際にもだ。トイレにこもっている時、ふと、考えた。


(大してる時も思考盗聴器で監視されているのか……。文字はどんなのが表示されているんだ?『んっ』とか、『フンッ』とかか? てか、何を考えればいいんだ?『おーっと私の下半身の谷間からひょっこり顔を覗かせているのは黒みがかった〇〇〇』とか、サスケの実況している古〇伊知郎ばりに排便実況でもしなければならないのか?)


「ぎゃはは! 馬鹿でー」


寮からHの声が聞こえてきた。


(……人の気も知らないで……!)


そうこうして日が経っていく中で、風呂に入っている時に監視される事、便通の際にも監視される事は、ルーチン並みに毎日行わられるようなモノになっていって、恥ずかしいという気持ちが無くなってしまった。まあ、当たり前といえば当たり前だ。恥ずかしさ、羞恥心というモノが少しでもあったら、俺は精神過労死してしまうだろう。生きていくうえで、自然とそういったモノが無くなっていったのだった。




「アイツ今日は何考えとるんかなー?」




今日も学校でHに監視される生活が始まる。人を人とも思わないクズめ。できるだけ苦しんで死んでほしいと、切に願う今日この頃だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ