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短編集  作者: 時田総司(いぶさん)


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10/20

『不幸せ』


「あー。期末テスト、また赤点とったかもー。最悪―」




クラスの女子が嘆いていた。


「アタシってホント運無いわー。何でこんなに頭悪く生まれたんだろー? 最悪だわー」


「!?」


不意に俺はその女子に近付いた。


そして話し掛ける。


「勉強なんて、時間かけてやったらできるもんだろ? 休みの日に8時間とかやったら……」


「8時間!? ムリムリムリムリ! それができないから頭悪いの! できる子は違うねー。そんな頭に生まれたかったわー」




「俺みたいなのに?」




「そー!」


「俺の人生なんて、不幸なだけだぞ?」


「何でー? 自分から勉強できて、成績もいいのにー」


「……話すか」


「?」


ハテナ顔の女子。それに構わず俺は口を開いた。


「俺の人生はまず、生まれてから虐待を受けるところから始まる」




「!!!!」




「そして小2くらいで母親が離婚する。そして父親は母方の祖母から借金800万を肩代わりされる。更に小6では当然の如くいじめに遭う。更に更に中1で――」




「ストーップ!!」




「?」


「もういい、分かった。あんたの勝ちだわー。アタシもっと頑張るね。じゃねー」


女子は手を振り、学校の廊下へ出ていった。


「……(まだ有ったんだが……)」


自分の実力ではどうにも出来ないマイナスな事象――、それを俺は不幸と言う。




この時、中3になりかけていた俺。まだ、真の不幸を知らなかった。




“それ”が起こった後の俺。




俺ってまだ、幸せだったんだ……。


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