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『お手紙を書こう』
「今まで世話になってきたクラスメイトに向けて、手紙を書いてもらう! できるだけ生々しく! 本心を書いてもらうからな!」
中学卒業の三カ月前、担任の教師が生徒に呼び掛ける。
僕は、サラサラと迷いなくその手紙を書き始めた。
『君、何と言うか、顔だけだったよね? 昔から、自分からは動かないで、他人に合わせると言うかは、他人の所為にしてばっかりで……』
「手紙は、最後まで読んでもらって――」
「!?」
(回想)
教師は生徒に向かって話している。
「だって、明らかに中学二年の時のKは異常だったぞ!?」
(違うよ……中学一年生の時から、地獄だった)
(回想終了)
「その手紙、返信欄もあるぞ!」
「!!」
急いでさっき書いていた手紙の内容を、消しゴムで消した。そしてちらりと、他の生徒の顔を目に焼き付け、思う。
でも、アイツだけは――、
許さない。
『あなたのことが、せかいでいちばんきらいです』