現在地不明だが新生活はじまりました
「何をいっているのかさっぱりね。貴方が習得したスキルを名前だけ言うから。火事場の潜在能力開放、ピンチにスマイル、背水の陣、逆転勝利、虫の息、以上よ」
以上って言われても意味が全く分からん。何か俺が窮地に達した時に役に立ちそうな名前ばっかな気がする。
「何か、俺の体消えて行ってない?」
「やばっ!時間がないわ!早くその扉をくぐって登録完了させないとあの世に飛ばされるわ」
「おい、この鉛筆で書いたような殺風景の場所の何処に扉なんか……あった」
いつの間にか俺とアシェリーの後ろにデカイ扉が現れていた。
「早く!」
俺はアシェリーに手を、引っ張られるように扉を貫く。
目を、開けていられないほどの光が瞳を襲い視界を取り戻す頃には別の場所にいた。
周りは緑の木々に囲まれていて少し向こうに街が見えるが明らかに日本ではない。
「何処だここは?」
「始まりの地、エターナルよ」
「うわっ!居たのかよ!」
俺の横には当たり前のようにアシェリーがいた。
「居るわよ!まだ説明が終わってないもの。まず種族に付いて簡単に説明する。4つの種族のうち貴方は人。残りは、植物と人間のハーフ、人改、そしてモンスター。以上よ。質問ある?」
何が以上だ!質問しか出てこないぞ。
「種族を、全部1から説明してくれ」
「まず植物と人間のハーフ、プラントと呼ばれているわ。日光の光を魔力に変えて闘うタイプ。夜は活動が鈍くなるわ。次は人改。人が進化した種族ね。心臓が二つあるの。取り入れた空気を新しい心臓が魔力に変えて全身に送り込んで自身の能力を上げる種族。モンスターほそのままモンスターよ。分かった?」
俺達とは違う種族がいるという事だけは分かった。モンスターまでいるのか。まだ俺はアシェリーの言う事を半信半疑で聞いている。
「言ってることが本当ならヤバい世界ってやつだな。人は?この世界の人は普通の人間なのか?」
「人は人よ。魔力を持っていて魔法で闘う。魔力の回復方法は回復薬を飲む方法以外にはないわ。レベルが、上がれば使える魔法も魔力も増える。普通の人間でしょ?」
全然普通じゃないんだけど。人が魔力で魔法使うとかまじで、ゲームの中なんじゃないのかここは。
「さっきから闘う、闘うって言ってるけど何の為に闘うんだ?」
「相手を倒せばレベルも上がるし、PPも手に入る。あっPPっていうのはお金の事ね。皆は、天空の街を目指して闘うの。この空の上にも街があって、その街に行くには通行料と居住権で1000万PP必要なの。天空の街はそれは、凄い所だから皆行きたがるのよ」
この上にも街があるだって?俺は空を見上げる。
俺の上には一面青が広がるだけだった。
「うん、何か楽しそうだな。あのドブみたいな会社で働いてるよりはずっとましな気がする」
ところで、アシェリーは何者なんだろうか?
この世界で言う人なんだろうか?
「アンタも空の上目指してるの?」
「とんでもない!私はただの案内役よ。私の体はダメージを受付けない。魔法もスキルもどんな装備でもダメージを受けない。まぁ逆に与えることもできないんだけど。じゃあ、早く行って。私次の仕事あるから」
最後は笑顔で、手を振って見送ってくれるアシェリー。
次会ったら、結婚しよう。そう俺は心の中で囁いた。
「暑っついな!」
太陽がやけにでかく感じる。
それにしてもこのスーツ姿をなんとかして欲しい。