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バックヤードアイドル  作者: 宗田明
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野本明編 生徒会占拠

「少しは落ち着いたか?」

 こう声をかけるは渉外委員長の東条要。

 「ああ。落ち着いたよ。大西の顔見ていたら、頭に血が上ってよ。すまない」

 「いいってことよ。お前にはみんな感謝している。言いたいこと全部言ってもらって」

 「昔の学園祭を取り戻したい。それだけなんだ」

 「熱がなくなっちまったよな……」

 「ああ。憧れた学園祭はどこに行ったのか」

 スポーツドリンクを飲み干し。会議室へと戻る二人。

 大西優姫は1年生にして生徒会長に当選。生徒会長の任期は10月から翌年の9月まで。

 彼女の評判は高く。特に学園祭がスムーズに円滑化させたのが最大の理由だ。

 戸にもかくにも。この学校は学園祭とアイドル中心なのだ。

 そして彼女は元アイドル科なのだ。アイドルをやめてまで生徒会長になろうとした姿勢に生徒達は心を打たれたのであろう。

 それまでの生徒会長は去年の規約を少し変えて、何も変えようとしなかった。ただ、同じことの繰り返し。それに生徒から学園祭の要望はものすごく、全校集会や代表者会議は質問や怒号が飛び交っていた。

 彼女は違った。元アイドルという事もあり。現場の声と生徒の声を反映させた。

 なのに、何故専門委員長達は彼女を悪く言うのか。

 この後会議は平行線のまま終わり、ぞろぞろと専門委員長達は引き上げた。

 残された生徒会長はため息をついて。

 「はぁ。うるさい人達。今年の専門委員長はうるさすぎだわ」

 「大丈夫ですよ。時間が経てば自ずと代表者会議・全校集会が始まりますから。政務お疲れ様です」

 白鳥が言った。

 「そうね。私の作った学園祭は誰にも邪魔させないわ」

 専門委員達は、近くの中華料理屋に来ていた。小上がりの個室にみんないる。

 「とりあえずお疲れ様。明日からもよろしくお願いします」

 野本の音頭と共にみんな乾杯した。

 「いやー、しかしあの大西とか言う女は腹が立つ。もっと面白い企画にしてくださいだって。だったら少しは予算をくれ」

 企画委員長の日野翔。企画委員会は主に総選挙と呼ばれるアイドルの人気投票を管理する。それに当日のアイドルのイベントの立案と実行。

 「こっちも同じだ。衣装の布の質は落とすな。予算は上げない。それにこの衣装じゃパンチラ、露出が激しいとか。パンチラの一つや二つしてもいいだろうが。それに可愛くしろだの。ワガママばっかり。あいつのどこをみんな評価しているのやら」

 被服委員長の二宮真也。ステージ衣装を担当している。

 「警備はそこまで言われないが、筋トレしろには笑ったな。扱いがひどいよ。俺たちが必死にファンの波を抑えているのに」

 警備委員長の城田悠。警備配置の考案。当日の警備。

 「予算は俺が稼いで来るから。なんとか今年もやろうぜ」

 渉外委員長の東条要。外部の企業から広告を集める。アイドル高校のおかげで数多くの企業が広告をお願いしてくる。

 「本当に頼むわ。だけど大体企画で消えそうだけどよ」

 二宮が言った。

 「頼む。今のままじゃ野外ステージ組んだらほとんど無くなる」

 日野も頭を下げる。

 「まあ、全部使えるわけじゃないからな。生徒会長様に上納しないと」

 東条は憎たらしく言った。専門委員の予算とは各委員会事ではなく。専門委員会全体でいくらと決められている。その中で生徒会の要望に全て応える。

 「ああ。体育館のステージを派手にしたいのだろう。それと俺たちが組む野外ステージとは別に大きい野外ステージを組むからな。まったく、どれだけ金があれば気が済むのやら。去年より大幅に自身たちの予算上げているくせに」

 野本が言った。

 「俺たち裏方は本当に裏方だな。見えないからって扱いは冷遇。アイドルは高待遇。生徒会が評価してくれないと誰が評価してくれるのか。影で支えているのは俺たちなんだ」

 日野が呟いた。

 「だから、俺たちで元に戻す」

 野本が引き締めるように言った。みんな小さく頷いた。

 「やあ。みんな楽しんでいるかい?」

 そう言いながら入って来たのは、一ノ瀬正義。

 「ありがとう。タダ飯食わせてもらって、美味しかったよ」

 一ノ瀬はここの店の息子。専門委員長と仲が良く。よくここで会食している。

 「これからあの女と戦うんだ、しっかり鋭気を養ってくれ。俺にも手伝えることあれば、何でも言ってくれよ」

 こいつは心強い仲間だ。この後、解散の流れとなったが。

 帰り道、野本が携帯を忘れたと取りに戻った。

 みんなからはしっかりしてくれよと笑いながら送られた。

 中華料理屋には一ノ瀬が待っていた。

 「悪いな。呼び戻して」

 「いいんだよ」

 二人は個室に戻った。

 「俺の協力者に今度会わせる」

 「何かわかったのか?」

 「もちろん。とんでもない事がわかった。」

 「そうか」

 「読めばだいたいわかるだろう。あの選挙には裏があった」

 一ノ瀬は寂しい表情をした。

 「早く気づくべきだったな」

 「もう遅い。今はやるべきことをやるべきだ」

 「選挙のやり直し。何とか出来ないか」

 「いいや。もういい。もう、いいんだ」


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