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バックヤードアイドル  作者: 宗田明
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プロローグ

初めまして。いろいろなニュースや世の中から感じたことをこの学校を舞台にして小説にしようと思いました。


 神野京介編

 

 高校生の神野は犬小屋の前にいた。そこには犬の姿は無い。散歩中?いいや違う。何者かが殺したのだ。芝生にはまだどす黒い跡が残っている。弓矢で射抜かれたようだ。

 「あの。何かわかりますか?」

 力の無い声で語りかけるのはアイドルの高田友香だ。

 「自分は調査しに来ただけです」

 神野は素っ気なく返す。

 高田はアイドル。この学校はいささか変わっている。普通科の他にアイドル科という特殊な科がある。学園でアイドル活動が出来る。芸能界に入る前の言わばお試しみたいな物だ。だが、お試しと言っても中身は厳しい。それにここをアイドル科で卒業出来れば芸能界は確約される、その事が厳しさを物語っている。

 「そうですか」

 「逆に心当たりはないんですか?」

 「ありすぎますよ。アイドルなんてやっていたら敵だらけです」

 高田は吐き捨てるように言った。

 「大変なんですね。アイドルってのは」

 神野は犬が殺された時間と当日の高田の行動を聞き取りした。

 「なるほど。大体わかりました。すいません、その時自宅には高田さんお一人?」

 「ええ。そうよ」

 「わかりました。最後にこの辺を調べて。私は引き上げます。こんな事があった次の日です。ゆっくり休みたいでしょう」

 「ええ。そうして頂戴。明日には報道部のインタビューも待っているから」

 そう言い残して高田は自宅へと消えていった。

 「アイドルとは休めなくて可哀想だ。さて。どこか怪しいとこは?」

 神野は犬が死んだのであろう場所を調べ始めた。

 彼は調査役。この学校が変わっている所はアイドルがいる事以外にも多くある。

 まず学校で起きた事件は学生で解決する。教師の介入は無い。だが、警察沙汰になった場合を除く。その調査役の一人がこの神野なのだ。理事長の命を受けて今回の件を引き受けた。

 そして、アイドル活動を支えるのもまた生徒達なのだ。さっき高田が報道部のインタビューと答えたが。報道部と放送委員会を始めとしたマスコミ。被服委員会は衣装を作り。音源は音楽系のサークルや才能ある生徒に任せられる。戸にもかくにも大小様々な団体やサークルに個人の力がこの学校にはある。

 「ほほう。なるほどなるほど」

 神野は何か見つけたが犯人に繋がるモノではない。それでも何か引っかかった。

 「この事件。大きな事件にならなければいいが」

 そう思いながら高田の自宅を後にした。


 野本明編


 会議室から怒号が聞こえる。

 「だから!なんでこんな事をするんだよ!」

 「予算はあげているじゃないですか」

 「年々減らしすぎだろ。これで作れって方が無茶だ」

 「だったら工夫しなさい。考えるのは得意でしょ」

 男女が大声を出して討論している。いや、討論ではなく最早意地の張り合いだ。とても話し合いをしているようには見えない。

 「野本。落ち着け」

 野本と呼ばれたこの男は放送委員会の委員長。彼らは学園祭について話し合っている。

 放送委員会の他に被服委員会・企画委員会・渉外委員会・警備委員会。この委員会が学園祭の準備を生徒会と行う。彼らは専門委員会というくくりになっている。彼らの代表がこの野本なのだ。

 「悪いな」

 野本は渉外委員長の東条の言葉を聞いて。一旦席に着いた。

 「全く。とんだ野蛮な人が代表なのね。これじゃあ話が進まないわ」

 こう挑発するのは生徒会長の大西優姫だ。野本とは犬猿の仲だ。

 「どっちがよ。こっちの話も少しは聞け」

 「あら。だから聞いているじゃない。それは無理だって」

 「理由になってない」

 「アンタ達は黙って予算内で準備していればいいのよ。主役はアイドルなんだから」

 また野本は勢いよく立ちがり。大西を睨みつけ。

 「やっていられるかよ!!」

 机を叩き。会議室から出て行った。慌てて東条が立ち上がった。

 「あーあ。喉渇いた。ねえ、ここらで休憩入れてくれない」

 大西がそう言うと。

 「ではここで10分休憩とします。東条さん、すいませんですが野本さんに伝えてきてください」

 副会長である白鳥が腕時計を見ながら伝えた。東条も会議室をあとにした。

 野本は近くの自動販売機の前にいた。

 スポーツドリンクをがぶ飲みしていた。

 「ありゃあ強敵だな」

 東条が言った。野本は飲み干し、ペットボトルを口から離した。

 「負けないぜ。俺は絶対に」


 成宮光太編


 この高校には様々な人が集まる。中には奇人や変人と言われるやばい奴らもいる。

 だが、その多くは才能がある。いつの時代も天才とは迫害されるものだ。

 安西奈々もその一人である。黒い長い髪に綺麗な顔。言われもしないお嬢様だ。

 誰しもが羨む高嶺の花だった。だが彼女は変わっていた。

 よく言えば天真爛漫。悪く言えば変人だ。幼さが残る言葉遣いに変なことに興味を持ってしまい。トラブルは絶えない。

 「ねえ。だから、今日は化石を探しに行くのよ」

 奈々がまた無茶な事を言っていた。

 「おい。だから、見つからないって」

 このお嬢様の幼馴染。成宮はいつも付き合わされている。まいどまいど大変だ。

 虹の下には宝物があるという伝説を知った日には雨の日を待ってずぶ濡れになりながら探した、アクション映画を見た次の日は二階から飛び降りたい等。いつもいつも無茶な事言ってくる。ワガママなお嬢様だ。好奇心に振り回される。

 この三人を中心にアイドルが活躍する特殊な学校で巻き起こる事件や人間ドラマ。運命はどこかですれ違い。奇跡と出会いをもたらす。


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