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上海綺譚  作者: 古時灯葉
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捕物

逃げ続けるセーマのの視界に分かれ道が見えてきた。


三叉路。どの道も人が混んでいる。


(あそこでどうにかして、まけないか)


どの道を選んでも、人混みに混ざって逃げることはたやすいはずだ。


どこをどう選んでも、あそこまで逃げ込んでしまえばなんとかなるはずと、そう思った。


そのとき。


空に急に影ができた。


その途端、目と鼻の距離に女が突然現れる。


「うぉぉっっ!!!」


止まらずをえないセーマ。


ぶつかるかと思ったが、女は軽々と背後に距離をとる。


(空から女がふってきただ、なんて。)


「誰だ、お前? 俺がどんな状態かわかってんだろうな?」


女、というより、少女みたいな顔つきだった、は薄く笑った。


腰まで切れ目の入った一枚の布のような衣服を着た少女は構えると腰を落とした。


「お前をどうにかしなきゃ、進めないってことか」


セーマは再び柄に手をかける。


二人の間には何もない。


突然始まった喧嘩に、足を止めた歩行人達。


セーマは構えたかと思うと、抜刀に移る。


前方に突き出した刀の切っ先に少女が立つ


勝負は一瞬だった。


刀の尖端で突くセーマ。


突いたはずだというのに。


少女はくるりと回転すると、背中越しにセーマの刀をさばいた。


「はっ?」


背中ごしに刃に両腕を絡ませる様に見惚れていたわけじゃない、だがわずかに隙をつくってしまった。


セーマは死角から衝撃を受ける。


真横にそのまま倒れ込むと動かなくなる。


暗転。


少女の左足が、ぴんと伸びたかと思うと、セーマの右側頭部を揺らしたのだった。

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