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俺の家に狐が居候している  作者: 夘月
夜に現る騒がせ者
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警戒するも甚だしく

 午前で終わったということもあるので、八人で街まで向かってファミレスでお昼をとった。


 その後は各々別々の行動をとることになって、そのまま解散。

 少しでも曇った気分をどうにかしたいからと、拓弥と虎太郎は近くにあるゲーセンに突っ走っていったがな。まぁ午後の時間をどう過ごすかは本人の自由であって勝手ではあるが、実力試しとはいえ明日はテストがあることを忘れるなよ。



 こっちは特にやらなきゃならないことも無いので、凛と二人で家路につくことにした。


「それにしても、どうして転校生というのは注目されるものなのでしょうか」


 その時に凛にそういうことを聞かれた。


「まぁ最初に言うなら気になるから、だな。誰だってそうだと思う」

「成程……。他にあるとしたらなんなのでしょうか」

「と言うと?」

「私がこちらに来た時、数日どころか一ヶ月は注目されていましたので、なんとも落ち着かなかった……ということがありましたので」

「んー……」


 いざ聞かれてみると、これが分からないものだ。たしかに気になるという心情こそ湧いてくるけど、数日もしたらそういう興味本位というのは次第に無くなっていくしな。

 他にあるとしたら……か。


「あとは見た目とか性格とか?」

「外面的な事、ですか」

「あぁ」


 外見良くて、人あたりの良い奴だったら自ずと人は集まってくるだろうし、そうでなければそうはならないだろうしで。最も、俺の勝手な決め付けではあるけど。

 そういう人を寄せ集めるような風格というか、オーラというか。そんなものがあるなら注目され続けるのだろうか。


「だとしたら、今回の話にあったその転校生さんもそうなるのでしょうか? 外国の人がーって言ってましたから」

「どうだろうな」

「珍しい、ということなんですか?」

「まぁ珍しいっちゃ珍しいな。ココ最近じゃ外国人を見る機会も少なくはなくなったけど、同年代で同じ学園に通うってなったら、なかなか無いことだと思う」



 今回噂になってる転校生。名前はセシリア・ベル・ガーネット。二年に編入した女子生徒だ。

 日本人ではないそうだけど、どこから来たーってのかまでは知らない。

 しかし聞いたのはそこまでで、容姿とか性格、立ち振る舞いについては分からない。でもすぐに知れ渡ることにはなるであろう。




 しばらく歩き、ふと足を止める。そして凛に聞いてみる。


「なぁ凛。話変わるんだけどさ」

「なんでしょうか」

「俺の気の所為だったらいいんだけど、なんか誰かに付けられてるような気がしないか?」


 以上に警戒心を張っている所為でもあるんだけど、なんか落ち着かないのだ。あの六人と一緒に集団行動してる時なんかはそこまで気にならないんだけどな。

 一人とか、誰かと二人で行動してる時なんかはセンサーが働くっていうか。


「実は私も……密かにそんなことを考えてはいたのですが……夢咲さん、では無いですよね」

「それは無いと思う。あの人はそんなコソコソした真似はせずに、堂々と来るだろうから」


 文乃さんではない。というのは考えるまでもなく。

 むしろあの人が俺のことを追いかけようとしていても、見つけたら見つけたで尾行することなく、そのまま俺の名前呼びながら飛び込んでくると思う。これまでがそうでしたから。


「だったらまた出雲様が不意打ちで……って思ったけどそういう訳でもなさそうだし」

「ですね。一昨日に顔を出してましたから」


 出雲様が、という可能性もないだろうという結論に至った。

 度々俺の前に現れてはからかいに来るんだが、ちゃんと真面目な要件で来る時ももちろんある。


 こちらの世界で凜を預かっている以上、当然責任も伴ってくるわけで。

 一ヶ月に二、三回は話し合いと報告の為に俺のところに顔を出しているのだ。

 それだけ聞けばまともな話なんだけど、俺にとってはそうでもない。


 前述の話についてはだいたい三十分から一時間程で終わる。なんだけど、その後それ以上の時間、出雲様の雑談に付き合わされることが多い。

 しかも内容のほとんどが本人の愚痴だったり文句だったりするから聞いてて疲れる。同情を求められても知った事じゃないんだっての。

 俺はあんたの心のかかりつけ医じゃないんだぞ。そこは契約の範囲外だと言いたいものだ。


 とまぁ俺の出雲様に対する文句はさておき、妙に感じる気配の正体については謎のまま。と言うよりも、候補のふたつが否定されたんだから、他に心当たりがないのだ。


「ならやっぱり気の所為だな。すまんかった」

「出雲様の気配も感じませんからね。あと謝らなくても大丈夫ですよ」

「そう……だな」


 答えながら、ちらっと右に視線を動かして後ろの方を確認してみる。

 住宅街の中、通行人はチラホラとはいるが、特にこちらを見ているようには思えない。

 俺にとっては全く面識のないストーカーという訳でもなさそうだし。


「どうにも最近は警戒しすぎなのかもしれんな」

「かもしれませんね。もう少し心に余裕を持ってみたらどうですか?」

「余裕かぁ……」


 焦ったり、ことを急いだり。思い詰めても良くないとはよく聞く。余裕を、ゆとりを持つというのも大事なことか。

 あ。でも――――


「どうかしましたか。今度は口を開きっぱなしにして」

「あの面々を相手にすると、余裕なんて生まれるんだろうかと思ってな」

「それは……なんとも」


 全員が。とは言わないんだけど、何かと癖のある人ばかりだと思う。一人相手するのも楽じゃないって言うのに。


 でも考えを改める必要はありそうだな。と思いながら、家に向かって歩みを再開するのであった。

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