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俺の家に狐が居候している  作者: 夘月
夜に現る騒がせ者
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安らぎのひと時を?

「はぁー……いいお湯ですねー」

「そうだなー」


 やはり湯浴みは良いものです。それにこんなに大きなお風呂でのびのびとできるんです。お誘いして頂いた奥村さんには感謝しきれませんね。


「癒されるよねー」

「だなー」

「うんうん」


 隣りにいる京子ちゃんは無言だったけど、温泉を楽しんでいるみたい。気持ちよさそうな顔しているし。

 あぁいう表情をするよって、珍しいかもしれない。いつも表情硬いんだよなぁ……。出会った時ほどって訳じゃないんだけど、もっと柔らかくなってくれたらなぁって。



 京子ちゃんのことについて考えていたら、明莉さんにこんなことを聞かれました。


「なぁ。凛の居たとこにも温泉とかってあったのか?」

「ありましたよ。肩こり腰痛を初めとして、疲労回復、血行増進、冷え性、むくみ。さらには飲用も可能で、里ではあらゆる病に効く万能薬なんて言われてるくらいです」

「はぇー」

「それに眺めもいいんです。山の中にあって静かですし、そこから見える星空も綺麗なんです」

「……なんて言う理想郷だよ」

「ぜひ行ってみたいものですね」


 そしたらずっと無言だった京子ちゃんが、ようやく口を開いた。


「私の以前いた所。ストレスの溜まっている方が多かったので。私自身も行ってみたいというお気持ちがありますが、もし私が上の立場のものだったら、ぜひとも連れて行ってやりたいと思いますよ」

「あの京子ちゃんがそこまで言うなんて……」

「ただそう思っただけです」


 今思うと、京子ちゃんのところの里……というか縄張り? ってどういう所なんだろうでしょうか。

 京子ちゃんがあぁ言うってことは、そうとう切羽詰まった現場なのでしょうか?


「でも京子ちゃんの気持ち、よく分かる。そんな魔法みたいな温泉があるって言うなら、私も行ってみたいもん」

「私も」

「気になるな」

「あははー。機会があれば……」


 ちょっと言い過ぎちゃったかな? 私や京子ちゃんの事情を考えると、桐華さん達を私の里の温泉に連れていくのは無理な話なんですけどね……。

 さてと。どうやって説明……というか、誤魔化したらいいものなのか。考えものですね。

 今度戻った時に、あの温泉のお湯を少し持ち帰ろうかな? でも難しい話か。



「おい。聞きたいこと……って言うか、確かめたいことがある」

「なんでしょうか」


 ところで……明莉さんの目がなんだかにやけているのは……なんなのでしょうか。


「胸がでかいと、ぷかーっと浮かぶって聞いたんだが」

「……え」

「やっぱりよからぬ事を企んでた」

「成程ねぇ。やっぱし事実ってか」


 明莉さんにそう言われて、チラっと左の方を見てみる。浮かんでいるのかどうかは分かりませんけど……。どうなんでしょうか。

 それと……身の危険だってことがなんとなくですが分かります。両手をカチカチ動かしながらゆっくりとこっちに近づいてくるんですから。


「つーか思うんだ。あんたら私と同い年なんだよな。違っていても一個しか変わらないんだよな」

「そうだね」

「神様ってのは不公平なもんだと思うわけだ」

「ただの個人差」

「あの……明莉さん。何か企んではいませんか」

「へっへっへ。気がつくのが遅かったなぁ凜」


 そういうことで不平不満を言われましても、私たちにはどうすることも出来ませんよ。

 それと、ジリジリと近寄ってくるのは……何をしようとしているんですか明莉さん。


「京子ちゃ……居ない」


 忠告というか、助けを求めようと思って京子ちゃんに話しかけたつもりだったけど、いつの間にかいなくなっていた。

 あの後ずっと無言だったから、気が付かなかったってのもあるけど、勘が鋭いし、警戒心強いなぁって思う。そのあたり見習いたいものです。


「ハイハイやめやめ。人目もあるんだから騒がない騒がない。それにセクハラも駄目。他の人に変な目で見られちゃうし」

「やっぱり神様ってのは不公平だ。何が天は人の上に人を造らず。だ」

「唐突なディスりは良くない」

「間違った名言の使い方とはこういうことかー」

「納得がいかねぇぜ」


 ともかく。身体をむやみに触られるという危機は免れたのでしょうか。そうでありたいものです。



 何とか堂口さんの機嫌がおさまったところで。別のお風呂に入ることにしました。

 外に露天風呂があると言うので、そちらに向かおうとした時、ふと目に入ったあるものが、私は気になりました。


「あのー桐華さん。あれって一体何なのでしょうか」

「あれ? サウナだけど……気になるの?」

「サウナ……ですか」

「聞きたいか凜。なら私が教えてやろうじゃないか」


 そのような言葉、初めて聞きました。どう言ったものなんでしょうか。そしたら明莉さんが教えてくれました。


 フィンランドという国が発祥の、二千年以上の長い歴史がある蒸し風呂の事だそうです。

 先程のように浴槽に溜められたお湯に浸かるのではなく、空気を高温にした部屋に入って楽しむのだそうです。

 血行増進を促し、身体の老廃物を排出しやすくしてくれるそうで。他にも疲労回復に美容、美肌に効果ありだというそうです。



「……とまぁそんな具合だ」

「成程」

「詳しいんだね明莉ちゃん」

「女子にとっちゃ美容の話は知っといて当然みたいなもんだろ」

「サウナが美肌にいいのは知ってたし、確かにそうかもしれないけど……。そこまで詳しいとは思わなくてね」



 明莉さんって物知りだなって思います。神奈さんは、無駄な知識ばっかり詰め込んでるって言ってますけど、そんなことはないと私は思いますよ。


「気になるって言うなら、次はそっちに行ってみる?」

「では、お願いします。気になりますから」

「あいよ。サウナなんて久しぶりだしなー」

「私も。いつ以来だろ」


 ということで、これから初サウナを楽しもうと思います。

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