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俺の家に狐が居候している  作者: 夘月
夜に現る騒がせ者
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夏休み後半戦

 八月九日。夏休みもそろそろ折り返しを迎える頃である。そんな日に俺は学校に通っている。補習とか部活ではなく、今日が登校日となっている為だ。


 こうして登校し、期限の定められた課題もいくつか提出することになっている。でも逆に言ってしまうと、それくらいしかやることがないのだ。

 課題出して、少し先生の話を聞いたらそれで終わり。

 部活のある生徒はそっちに行くし、ない生徒は各々学園ないであったり、街に出てで友人らと適当に楽しく過ごす。と言ったものだ。


 登校日。何故そんなもんを定めなきゃならんのか、俺は心底不思議でならない。大した意味などないのだから、わざわざ休みのさなかに生徒を学校に向かわせる道理があるのだろうか。

 夏休みの課題を一部とはいえ提出させる為とか、後付けの理由にほかならないと俺は思うんだ。わざわざそんな時に学校行きたい奴とかいるんだろうか。

 そしてそんな日が、盆明けしばらくしたらにもう一日設けられているんだから、それを考えたらなおのこと嫌になるのだ。

 できることなら冷房きかせた部屋でゴロゴロしていたい。その方が俺としては有意義な時間が過ごせると思うんだ。



 教室内に入ってみると、いつもの友人同士集まって、雑談を楽しんでいるところだ。

 内容を聞くに、どこに行った。何をしてきた。という思い出話がほとんど。

 またある人は課題が間に合ってないのか、冊子と格闘するものもチラホラと。



「よっ。祐真」

「おう」


 取り敢えずやることは普段学校行く時の朝とは変わらず。自分の席にリュックを置いてから、拓弥の座席に。

 彼は机に座り、英語の課題をしていた。


「お前、まだ終わってなかったのか」

「この二ページだけなんだよ! どういうわけだかすっ飛ばしてたんだよ!」

「お前の不注意だろ」

「よくあるだろ! ノートのページ二枚めくって使っちゃって、あとから飛ばしてたことに気がつくやつ!」


 言いたいことは分かる。俺もよくやることだし。そして使い道に困るんだよな。戻って使うとあとから見返した時になんか気持ち悪いし、かと言って使わないというのも違うと思うわけなんだ。


「まぁ頑張れよ。そこだけなんだろ」

「そうだけど! 友人の好で手伝ってく……」

「断る」

「なんで?!」


 申し訳ないが手伝う気は無い。てか筆跡ですぐバレるだろ。




 提出する課題を出して、先生のつまらん話を聞いてからその日のことは終了。時刻はまだ十時過ぎである。


 リュックの中身を整えて帰ろうと思った時、窓際の席に集まってる拓弥と虎太郎を発見した。

 気になったので近寄ってみることに。


「何やってるんだ?」

「おぉ架谷か」


 そしてようやく気がついたが、そこには橋本と凛もいたのだ。


「桐華さんと雑誌を読んでいたところなんです。なんでも気になる映画? というのがあるということなので」

「映画?」

「そうそう。昨日から公開になったサイレント・ヴァンピールの劇場版。絶対見に行くって決めてたところなんだー」

「あぁ。あれか」


 橋本のいうそれは、漫画原作のもので三年前にメディア化された、どこのやつかは忘れたけど、その雑誌じゃよく巻頭カラーになってる人気の作品だ。

 主人公である吸血鬼の少女とその参謀役の少年が怪盗コンビを組んで世界中を駆け回るというもの。


「それで意気投合してたとこなんだ。この後駅のとこの映画館行って見に行こうかって言う話になってな」

「架谷くん。良かったら一緒に行かない?」


 橋本からのお誘いであった。が、申し訳ない。


「悪いが遠慮しとくよ。ちゃんと原作読み込んであるわけじゃないからさ。行っても多分ちんぷんかんぷんだろうし」

「そっか……残念」

「すまんな」

「いよいよ。でもすごく面白い漫画だから、ぜひとも読んでみてよ!」

「そうそう。架谷だったらきっと気に入ると思うからさ!」

「そこまで言うのなら、今度読んでみようかな」


 数分話したあと、ぼちぼちと解散となった。




 帰り道は凛と二人で。歩きながらさっきのことを中心に話していた。

 それにしても吸血鬼か……。


「なぁ凜。一つ聞いてみてもいいか?」

「はい。なんでしょうか」

「凛や黒羽のいた世界って色々いるっていう話だけどさ、吸血鬼とかもいるもんなのか?」


 考えることも無く、凛は即答で返した。


「はい。こちらの世界で語られているようなものでしたらだいたいは居るものですよ。確か祐真さんとお会いしてすぐの頃に、そのようなお話をした覚えがあるのですが……」

「そうだったけ? あー……なんかそんな話をされたような気もするような……」


 なんか聞いたことあるような無いような。記憶がふわふわしている。あの時は起こった事態が異常すぎて、落ち着いて話聞く余裕もなかったのだろうか。


「私はお会いしたことはありませんが以前に一度、出雲様があちらのお偉い方とお話したことがあるそうで」

「そうなのか」

「あの時は確か……酒宴をしていたと」

「酒呑んでただけかい」


 今更ながらに思うんだが、あの狐はいうことには言うんだが、そういうことをしているのかと、疑問に思う。

 実際自分の目で見たって訳ではないんだけど、こっちで出雲様に会うときって、だいたい碌でもない話に付き合わされることがほとんどだからな。時々様子見に来るくらいだから、そういう部分しか俺は見ていないからではあるんだが。


「で、でもまぁ。仲はよろしいということですから」

「それもそうか。そうでなきゃ酒を飲み合うようなことしないわな」

「そういうものです。早く帰りましょうか。早いですが私、お腹すいちゃいました」

「……そうかい。それじゃあ帰るまで、その辺の話、詳しく聞いてもいいか?」

「えぇ。もちろんです」

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