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俺の家に狐が居候している  作者: 夘月
夏イベ到来
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水着選びは楽じゃない

 ということで少し歩き、女性用水着のお店に。


 男の俺がついて行ったところでなんになると言う。アドバイスでも感想でもくれって言うのか?

 無理無理。無理だから。ちゃんとした知識もないってのにどうしろって言うんだ。

「可愛いんじゃい?」とか、「似合う似合う」くらいしか言えねぇっての。


 適当に近くの壁にもたれ掛かり、スマホいじりながら時間潰そうと思ったんだけど、そうはさせまいとする手が視界に入ってくる。


「はーさーやーくーんー?」

「なんだ?」


 俺の操作してるスマホを掴んでは取り上げられてしまう。


「せっかくついてきたんだから、最後までちゃんと付き合ってよー」

「無理やり連れてこられたようなもんなんだが」

「そこは、気にしないってことで……」

「もうちょいさ。ましな言い訳しようとは思わないのか……」


 親睦会の幹事に誘ってきた時と言い今回と言い、あまり後先のことを考えないタイプか。

 無計画すぎるのも程々にしとけよ。後々痛い目見るぞあんた。


「まぁまぁ。そんなことはいいとしましてー」

「良くない良くない……ってこれ以上聞いても無駄か」


 あの時も結局はぐらかされたから、今回も同様か。得るものがないのなら、追ったところで意味なしか。


「ともかくともかく。ここまで来たんだから水着選びに付き合ってよー。ここで一人でスマホいじってても変に見られるよー。架谷くん」

「……」


 悔しいが、言われてみると間違っちゃいない。ここで売ってるものがものだからな。

 一人男の俺がここにいても、周りの赤の他人から見れば変な奴としか思われないか。

 ここまできて逃げ道塞がれた以上、大人しく女性陣の買い物に付き合ってやる他無さそうだ。


「わかったわかった。逃げねぇからとりあえずスマホ返してくれないか」

「淡白だなー架谷くんは」

「うっせぇ。……てか凛と黒羽は?」

「とりあえず店員さんにスリーサイズ測って貰ってる。四月の時に測ったけど、もしかしたらってこともあるから。そろそろ終わるから順次選んでいくよ」

「そうかい」


 しかしこうして待ってみると……女子って大変なんだな。男とは違って色々考えることが多くて。

 乙女心とか、難しい女子の裏事情なんか。俺にはわかるはずもない。知っていたらそれはそれで恐ろしいってかただの変質者になるわけなんだが……


「じゃあ選んでいくから、感想ちょうだいな」

「それは別にいいんだが、知識もへったくれもないからあんま詳細な感想なんか言えないからな」

「そんな専門家みたいなことは要求しないから。なんでもいいから意見が欲しいってこと」

「……そう言ってくれるのなら、少しは気が楽かな」

「それじゃあちょっと待っててねー」


 そう言ってから、橋本は奥の方に向かってったんで、俺もついて行くことに。


 試着室の方では、布のこすれる音が聞こえる。測ったサイズを元に橋本が選んだ水着を試着している所だろうか。


「どういうのを選んだんだ?」

「それは、見てからのお楽しみってことで。今言っちゃっても面白くないでしょ」

「それもそうか」


「桐華さーん。用意出来ましたー」

「はいはーい。それではー」


 

 カーテンを開けて出てきた凜は、水色の三角ビキニを身につけていた。

 以前風呂場でのハプニングもあったから、凛のすらっと体型については嫌でもわかっているが、こうして真っ当な形で見てみれば、その良さがよくわかる。


「ど、どうでしょうか……?」

「うんうん。よく似合ってると思う」

「ありがとう……ございます」

「最初は赤がいいかなーって思ったけど、こっちもありかなーって思って。いいねいいねー」

「ど、どうも……。でも、ここまで露出のあるものを着たのは初めてなので……落ち着かないですね」

「すぐに慣れるよーっと。さてさてー」



 すいすいと。今度は隣のカーテンの方に声をかける。


「京子ちゃーん。着替え終わったー?」

「はい。ひとまずは……。出てこないと駄目なのですか?」

「ダメ。なんの為に試着したのー?」

「……」

「京子ちゃーん。恥ずかしがっちゃダメだよー」


 凛もカーテンから頭だけ出して、隣に向かって言っている。

 黒羽。ここまで来たらもう腹くくるしかないと思うぞ。てか試着室入って着替えた時点で何を言う。


「わかり……ました……」


 顔を赤くした黒羽がゆっくりとカーテンを開けた。

 黒羽は露出を抑えた黒のワンピースタイプの水着。似合ってると思うから、そんなに恥ずかしがることもないと思うが。


「あまり肌を露出したくないって言うから、このタイプにしたんだ。でもさ京子ちゃん。さっきも言ったけど、こういうのって肌にピッタリフィットするから、体型がくっきりと出やすいんだよ」

「それでも肌の露出が少ないというのなら、こっちの方がいいです」


 そういやひとつ思い出したけど、凛のあの衣装ってほとんど肌露出してなかったな。やっぱり凛も黒羽も、そういう服には少し抵抗があるのだろうか。


「架谷くんとしてはどう?」

「んー。スタイルいいから、よく際立っているっていうか、なんて言うか……」

「ほうほう」

「変に思われていないのでしたら、わたしはこれでも大丈夫なのですが……」

「えー。私はまだまだ選び足りないんだよなー」


 橋本はまだまだ満足していないご様子で。てか今選んでるのはあんたの水着じゃないからな橋本。


「橋本。黒羽の意見も尊重してやれ。本人がこれがいいって言ってるなら、それでいいんじゃないか?」

「あーそれもそうかなー」


 これで落ち着いてくれればいいんだが、そう簡単には行かないか。凛の方はまだ悩んでるみたいだし、橋本の水着に関してもこの後選ばなきゃならんわけだし。


 そのあとは橋本ワールドでしたね。独壇場だったよ。

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