放課後にお誘い
「夢咲さんの部活ですか?」
「そーそー。まぁ部活なんて言ったけど、規模の小さい同好会なんだけどね」
「同好会ですか。一体何をしてるんですか」
「オカルト研究。私の他にもあと三人メンバーがいるんだー。ちなみに私がこの同好会の会長だよー」
「そうなんですか」
そういえば、ちょくちょくその名前は聞いていた。…あまり意味って言うか、聞く度にそんなにいい思いはしていないんだけどな。
まぁでも悪い噂とか変な噂は聞いていないから、おそらくは大丈夫であろう。
「放課後に時間があったら、ちょっと寄ってみない?」
「それは別に構わないんですけど、見学したからってすぐに入部ってことはしませんからね?」
「そんな無理強いは言わないわよ。そんなことして祐真君に同好会に入ってもらっても、私の方が変な気分になっちゃうもん!」
「あぁはははは……お気遣いどうも」
お昼ご飯食べながら、そのオカルト研究同好会についての話がされた。
「不定期での活動になるんだけど、今日は久しぶりに集まろうってことになってるんだ。つまりは今日は、活動しようってことさ」
「普段はどういう活動してるんですか?」
「そんなに大層なことはしてないんだけどね。おんなじ趣味を共有している者同士で集まって、語らってるようなもんなんだけどね」
「あぁ……そういう」
「去年の文化祭の時はちょっとした発表もしてたんだ。大盛況とは言えないけど、ぼちぼちと物好きなお客さんも来たんだ」
「そうなんですか。今年の文化祭も何かやる予定なんですか?」
「そうだよー。そう出ないと活動場所貰えないんだもーん」
「まぁ、そうっすよね」
それもそうだよな。学校から許可が降りて同好会が成立しているんだから、何もしないって訳にも行かないわな。こういう所でアピールをしているって訳か。
「そんな感じの集まりでも良かったら、覗いてみる?」
「まぁ……夢咲さんがお誘いするのであれば」
「祐真君…ありがとー!」
ひとまず顔は出してみますね。って答えただけなのに、この人は感情爆発させて俺に抱きついてくる。
「そこまでしてくれなくとも、喜んでるのはわかりますので……」
「それだけ嬉しいってことだよー」
「そうすか……」
この人の感情の波って一体どうなってるんだ。負の方向なんか微塵にも存在しなくて、正の方向に振り切れてるんじゃないかって思う。
いい意味でぶっ壊れたメトロノームだろうか。いやそれじゃあ結局ダメじゃないか。ならなんだろうか。……ダメだいい例えが見つからん。
「4階の空き教室で活動してるんだ。札があるから一目で分かると思うよ。気兼ねなく来てくれていいからねー。祐真君のお友達も誘っていいからねー」
「じゃあ……お言葉に甘えます」
「それじゃあ待ってるからー。……それじゃあお姉さんのお話も終わったところでー、お昼休みの時間を満喫しようよー」
「それはいいんですけど出来ればもう二十……いや十センチでいいんで離れて貰えるとありがたいです……」
「えーやぁーだー」
近いから。夢咲さんのむちむちな太ももが俺のズボンに布越しにとはいえ当たっているんです。
ちょっと離れてもらいたい。でも男の性が邪魔して素直に拒絶できない。悔しいのか。それとも嬉しいのか。よく分からなかった。
でもって放課後。
「悪いな。急な頼みを聞いてもらって」
「いいんですよ。それに私も、あの人のことをもう少し詳しく知りたいと思いましたから」
俺が誘ってみてついてきてくれたのは二人。一人は凛で、もう一人目は――――
「何故……私なんでしょうか?」
「なんか……こういうこと興味無いかなーって思ってな……」
もう一人は黒羽。と言っても誘ったのは俺ではなく凛になるが。
「まぁいいです。それに凛さんが随分と積極的に誘ってくるものでしたので」
「そうなのか。そこまでのもんでもとは思ったが…」
「色々言われましてね……」
ということで三人。拓弥は委員会の仕事で呼ばれ、虎太郎は音ゲー仲間との先約があるそうで。
他の女性陣に関しても、皆それぞれ用事があるとの事だった。
それでも皆興味を示してくれたようなので、その辺は良かったとは思っている。
「ところで架谷さんの言うオカルトとは、一体なんなのでしょうか」
「私も気になります」
「俺もそこまで詳しいわけじゃないからなー……」
どう説明しようかなー……っと。わかる範囲で説明する他ないか。
「一言で言うなら超常現象とかでも言った方がいいのか……。現代の化学なんかじゃ証明の難しい、超自然のこと……って言ったらいいのかな」
そういうことに関して、俺は元々あまり信用はしない人間であった。しかし今はそうではない。
そういう存在が身近にいる訳だから、否定するって言うか、疑えという時点で無理な相談なのだ。
「超常現象ですか……」
「興味あるかなーって思ったんだ」
「まぁたしかに……こっちの人達からすれば、私たちの存在なんてまさにそういうものですけどね」
「そうですね」
九尾と烏天狗のクラスメイトはそういうのだった。ごもっともです。
「行ったからって私たちの正体バレるようなことないですよね? もしかしたらそういうの見抜ける人とか居たりするものなんでしょうか?!」
「それはないと思うわ……お相手は普通の人間……だと思うからさ」
「そうですね。変に挙動不審になる方が怪しまれますから、多少驚くことはあっても私達は平常心でありましょう凛さん」
「そ、そうだね。京子ちゃん」
俺からすれば異形の存在と言える二人の少女は別の意味で決心を固めていた。そこまで緊張することでもないとは思うが、保険ということだろうか。
「まぁ早く行こう。夢咲さんをあんまり待たせんのも申し訳ないからさ」し訳ないからさ」




