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俺の家に狐が居候している  作者: 夘月
変人集うオカ研同好会
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昔の先輩

「すみません苦しいんでどいて貰えるとありがたいです……」

「やだなー祐真くーん。もしかして私の事忘れてたのー? 中学卒業して以来なんだからさー」

「聞いてまふかぁ……。話する前にまずどいて下さーい……」


 後ろから飛びつかれ、抱きつかれたまま倒されたんで、お寿司みたいな状態になっている。俺がシャリで、上に乗ってる女子生徒がネタ。


 なんとか言ってひとまずこの人にはどいてもらわなければ。でないと俺立てないし。話聞いてくれてるのかこの人は?!

 まぁでも。やっとこさそうしてもらって、ゆっくりと立ち上がる。ブレザーについた埃を手で払ってから後ろを向いた。


 そこにいるのは俺たちとは違う赤色のネクタイをした女子生徒。

 ふんわりとしたターコイズブルーの長い髪に、目を引くようなたわわな胸。ちょっとむっちりとした感じの、ほんわか系。


 男子を一目で惹き付けてしまうような不思議なものさえ感じさせるその女子生徒は、俺のことをニコニコと見つめ続けている。 



 でもってその人だけのじゃなくて、一緒にいた面々の支線も集まってくるわけで。


「なぁ架谷……。この麗しい方はお前の知り合いだって言うのか?」

「どうなの架谷くん?」

「うわぁーまじかー。架谷の奴にこんな美人の知り合いがいただなんてなー」

「うん。びっくり」

「もしかして前に俺が言ってた祐真の尋ね人……」


 ホントにこの人は……びっくりするくらい変わったなって思うわ。もう高校生なんだから、分別くらいはつけて欲しい。俺にとってはそういう問題でもないんだが。



「はぁ……お久しぶりです。夢咲さん」

「なんでため息なんかつくの~?」

「そらしたくもなりますよ。何かと思えばいきなりこんな形で現れてきて。TPO以前の問題ですからね」

「お堅いこと言わないでよーほれほれー」


 でもって俺に近づいてきては、体を寄せて、右手の人差し指で右頬をぐりぐりと弄っている。

 人の通りも多い場所と時間帯なんだから勘弁してもらいたい。

 ついでに言えば、この前味わった凜や橋本以上の柔らかい感触が左腕に。


「私の知らないうちに、こんなにもたくさんの女の子と仲良くなっててさー。もしかして…私のことは……」

「そこまでは言ってませんけど?!」

「あの……すみません。あなたはいったい……」


 一歩俺たちの方に出てきた凛が夢咲さんに尋ねる。いきなり現れては目の前でこんなことされようもんなら黙ってはいられないはず。

 でも流石に、「祐真さんに何するんですか!」とまで言えるほどの性格じゃないからな凛は。そこは仕方ない。あとは夢咲さんが変な事言ってくれなきゃいいんだけど……


「あらー気になる?」

「はい」

「私もです!」「私もだ!」

「俺もです!」「同じく!」


 活発な女性陣と男友達はのめり込んでくるくらいに気になっている様子。

 残る黒羽と谷内はちょっと離れたところから静観。頼むから見捨てないでくれ。もう頼みの綱はあなたがた二人だけかもしれないから。



「私はー……」


 少し溜め入れてから夢咲さんはこう言うのだ。


「祐真君の運命の人。でーす♪」



「「「「……。え?」」」」

「「「えぇ?!」」」


 そら……いきなりこんなこと言われても、そういう反応をする他ないんだよな。てかえらいことを言ってくれましたよこの人は。

 たださ。誤解のないように今のうちに言っておきたい。


 夢咲さんがそう言っているだけであって。俺自身、そんなことは全くとして無いですからね。




 夢咲さんはそのまま食堂までついてきて、今日は彼女も含めての昼食となった。

 そして夢咲さんは当然のように俺の隣に座る。


 各々の弁当なり、定食ないし丼の乗ったトレーの用意が出来たところで、改めまして。という所か。

 この場にいる者全員が自己紹介を済ませたところで、夢咲さんはニッコリとしながら俺の方に体を寄せてから言う。


「ということで、夢咲文乃(ゆめさきあやの) でーす。祐真君とは中学の時に知り合いましたー」

「架谷くんと同じ中学だったんですね」

「そーそー。私は一個上の先輩。それで祐真君は、私の可愛い後輩」


 そう言いながら、俺の方に椅子を寄せてくる。


「いちいちくっつかないでもらえますか?」

「祐真君は照れ屋なんだからー。遠慮なく私に甘えちゃってもいいんだぞー」

「?!」


 後半は俺の耳元で囁くように言ってきた。その瞬間ビクンとなった。

 いきなりこんなことそれたってのもあるけど、気を抜いてたらあっという間にこの人の虜にされてしまいそうだ。


 それでも冷静さは保たなくてはならない。首をブンブン振ってから表情を作って答える。



「夢咲さん? 話が飛躍しすぎだと思うんですが」

「そんなことないよー。あと夢咲さんなんてそうお堅い感じで呼ばなくてもいいんだよー。文乃でもあやちゃんでもあやのんでもいいんだからさー。祐真君の好きなように呼んでくれてもいいんだからさー」

「なら夢咲さんで大丈夫です」

「なんでー?!」


 嫌いとは言わない。だがしかし。夢咲さんが言うようなそういう関係とはまた違うと俺は思っている。


「こんなにも仲良さそうなのに、一ヶ月も経ってやっと話が出来たってのが、不思議なくらいですよ」

「噂話を聞いて、もしかしてって思ったら本当に祐真君だったんだもん! でもどうしたわけか中々会えないんだもん。こうして歩いていたらようやく巡り会えたのー」

「その噂のおかげで、俺は穏やかではなかったがね……」


 逆に思うことがある。一ヶ月経って俺と凛に関する噂が落ち着いた頃合で良かったなと。もし四月中の慌ただしい時に夢咲さんにあっていたらどうなっていただろうと。

 という以外の答えが出てこない。カオスなことになる。


 そんな中でも昼休みの時間は進んでいき、拓弥から夢咲さんに向けてこんな質問が。



「聞きたいことがあります夢咲さん」

「あらー何かしらー? 夫婦円満の秘訣とか?」

「勝手に結婚に持ち込むのはやめてくれません?!」

「まぁ将来的にはその質問も悪かないんですけど……」

「おい拓弥」


 目ぇ離した隙にとんでもないこときいてきそうだなこいつは。今向かいの席に座ってるこいつには、警戒しておかねばならない。



「架谷の奴と出会った経緯についてを教えてください!なんでこんなにも奴にデレデレなのか!」

「私も気になります! いつから架谷にぞっこんだったのか!」


「そうねー。せっかく祐真君のお友達が集まってくれたんだからお話しようかなー」

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