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俺の家に狐が居候している  作者: 夘月
変人集うオカ研同好会
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迫り来る者とは

 親睦会も無事に終わって、GWも挟んだ休み明け。凛と出会ってからもう一ヶ月は経つだろうか。時間が経つのは、自分が思っている以上に早いのかもしれない。


 と言うよりもだ。この四月の間という期間の中身があまりに濃厚って言うか、詰め込まれすぎてるから、もう一ヶ月経ったのか。と言うよりはまだ一ヶ月しか経っていないのか。と言った方が俺としてはしっくりくるのではなかろうか。


 期間も経って、長期休みも挟んだんだから。いい加減に噂から始まった騒動も落ち着いてきたと言った所だろうか。ありがたいことだ。



 久しぶりに学校に登校してきて見れば、教室内から聞こえてくる話題のほとんどはGWでのことについてだ。

 家族で旅行に行ってきた。友人らと遊びに行った。部活の大会に出ていた。自宅でのんびりと過ごしていた。各々の過ごし方は実に様々である。


 かくいう俺はと言うと、七尾の方に住んでいる母方の祖父母に会いに行っていた。

 その時に凛のことを紹介することにはなったんだが、二人とも驚いていたよ。

 じいちゃんなんか、「いつ籍を入れるんだ」なんて言い出すもんだからその場が騒然としましたよ。

 気持ちは分からなくもないよ。孫が帰省してきたと思ったら、金髪美少女が着いてきたんだもの。俺がそんときのじいちゃんと同じ立場にいたら間違いなく驚いてますからね。とうとう彼女を連れてきたのかと思いたくなりますよね。



 もちろんそういう関係ではないって自分の口で説明したけど、事情が複雑すぎるっていうか打ち明けられないことばかりだから、言葉を選んで説得するのに苦労したよ。一時間もかかったし。


 それさえ除いちまえば、祖父母の実家でのんびりと過ごすことは出来たんだけどな。

 まぁ総じて言えば長期休みは、有意義に過ごすことが出来ましたってことで。



 教室に入ってくるやすぐ。俺らの方に駆け寄ってくる一人の女子生徒の姿が。


「おはよー凛ちゃん。架谷くん」

「おはようございます桐華さん。お久しぶりです」

「おはよ」


 この一年A組の良心もとい女神的存在である橋本桐華だ。


「GWはどうだった? 楽しかった?」

「祖父母の実家でのんびりと過してたよ。これまでの苦労と災難を忘れるくらいに」

「そこまで言うかー。私は神奈ちゃんと明莉ちゃん誘って遊びに行ってたんだ!」

「私も行きたかったのですが……申し訳ないです」

「いよいよ。気にしてないから。身内の付き合いも大事だからさ。ゆっくり話聞かせてよー」

「じゃな凜」


 橋本と別れ、机に向かう途中でまた声をかけられる。今度は男子の声。


「おはよー架谷」

「おはよ」

「やっぱりだけど、今日も凛ちゃんと登校してきたってか?」

「まぁな。別々に行く理由もないからな」

「羨ましい野郎だよこいつはー!」


 津川と、彼の率いる男子のグループの一人である愛川だ。

 親睦会の際、凛の話題でいくらか話をしたというのもあってか、以降も時々話しかれられるようにはなった。

 だがしかし。仲良くなったかというとまた別の話。



 そしてやっと自分の座席にリュックを下ろす。椅子に腰かけたところで、男友達である拓弥がやってきた。



「よぉー祐真。どうだったよGWは?」

「祖父母の実家に行ってた。そういう拓弥の方はどうなんだ」

「基本的にはずっと家に居たよ。親は仕事だって言うもんだからどっか行く暇もなかったし。まぁ長期休みだったから、積んであったラノベとか、まだ見てなかったアニメとかは消化出来たからさ」

「お前らしいな」


 拓弥は自宅ライフを満喫していたようだ。



「それに色々探してみたら面白いやつ見つけたんだ! そういやお前、SF系で何か面白いのないかって前言っていたよな?」

「言ったような気もするな」

「それで最近見つけた俺のおすすめがあるんだよ! ラノベなんだけどな、世界観が……」


 その後は拓弥のアニメ談義に付き合っていた。聞いていて面白そうな作品だと思ったので、時間が出来た時に本屋行って探してみるとしようか。




 お昼休みになって。例の面々で廊下を歩いている。

 向かう先は同じ食堂なんだが、この後まとまって何かをするっていう訳では無い。たまたまそうなっただけ。でも取り敢えず一緒に行こうかみたいな感じの空気になったので。


「何故私まで……」

「いいのいいの。こういうのは人数多い方が楽しいから」

「そういうことではなくてですね……」


 慣れない事なのか黒羽は困惑している様子。親睦会には参加してくれたが、コミュニケーション取るのには結構苦戦していた。


「桐華がそう言ってんだからそういうことでいいんだよ。細かいことなんざ考えずにさ」

「あの二人は強引なとこあるから、気ぃ抜いてたらあっという間に彼女らのペースに呑み込まれるんだよ」

「うん。言えてる」

「そう……なんですか」


 実際橋本と堂口は自分の方からグイグイ来るタイプだから、彼女のように話すことので苦手な人でも自分の中に引き込めるくらいのものがある。



「せっかく集まったし、今日は皆でお昼食べようか! これだけ人数いるからきっと楽しいよー」

「賛成で!」

「右に同じくで!」


 女子よりも先に賛同したのは、拓弥と虎太郎である。まぁわからんくもない。こんな機会滅多にないんだからな。



「この前の親睦会の延長戦と行こうじゃねぇか。まだまだ聞きてぇことがたっぷりとあるんだぜ私らには」

「明莉。口調がオヤジ臭い」

「んなっ?!」

「うん。アニメの監獄とかに居そうなやつだわ」

「がはぁ!」

「分かる」

「もうやめて! 私のライフがぁー!」

「そうなった全ての根源、堂口さんですよね」

「あぁ。堂口だな」


 堂口が勝手に自滅したのはいいとして……まだ聞かれなきゃならんのか。勘弁してもらいたい。


 で持ってこの後。そんな考えが全て吹き飛ぶようなイベントが発生することになろうとは。思いもしませんでしたよ。



「ゆーうーまーくーん!!」


 後ろから女子の声が聞こえてくる。しかも俺の名前呼びながらこっちに向かってきてる。なんかどっかで聞いたことはあるような声だった。振り向こうとした時。


「とぉー!」

「んがぁ?!」


 後ろから来た声の主に背中から飛びつかれ、勢いそのままに倒される。背中には弾むような柔らかい感触。上に乗られてるってのもあるけど、後ろから腕を伸ばされていてロックされてるし。うつ伏せに倒れたこの状態から動けねぇし。


「やっと会えたよー! 祐真くーん!」



 今起こっているこの事態の整理が付けられないんだが?

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