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俺の家に狐が居候している  作者: 夘月
妖しき事件簿
35/154

気配と友人を頼りに

 事の始まりは二時間くらい前にまで遡る。 


 土曜日の捕手が終わって家に帰ろうと思った時、私は京子ちゃんに呼び止められた。そして学校の裏、人気のないところまで移動してから、彼女に言われた。


「探している人がいるから、貴女にも協力して欲しい」と。




「一体どうしたの。急に呼び出して」

「まぁ色々あってね。向こうの事情が絡んでくる要件だから、他の人には聞かれたくなかったの」

「あぁ。そういう事ですか」

「凛さんは、座敷童子ってわかるかしら」

「住み込んだ家に幸運がどうこうってやつでしょ。それがどうかしたの?」


 目的は人探し? のようだ。


「私たちのとこの座敷童子っていうのは、だいたい二ヶ月位の間隔でこことあっちとを動いているのだけど、どうもこの辺りで半年経っても戻ってこないのがいるって聞いたものだから」

「ほえー。そうなの」

「そちらでは何も聞いていなかったのですか?」

「特に変わったことについては何にも。今は警戒にあたれ。としか」

「そうですか……。それでそいつを探してくれって、お偉い様に言われたのよ。それで貴女にも捜索を頼もうかと」

「そういう事ね。まぁ任せてよ」

「助かります。すぐ行きましょう」




 かくして、彼女らの座敷童子探しが始まったのだ。




 人の多い街中に出て、その座敷わらしとやらを探していくことに。こういう所だと、人気の多いところに興味を持って現れやすいのだという。


「そういや聞き忘れてたんだけど、外見とかってどうなの?」

「それがわからんって上は言うのよ。まぁ長いことここにいりゃ外見なんざ変わってるかもしれないけど、あんたなら上手いこと見極められるだろって言われる始末だし。全く……」

「そうなの……大変だね…」

「これだから。何やら貴女のとこのお偉い様と似ているような気がします」

「え……? というか京子ちゃん。出雲様に会ってたの?」

「以前に一度、そういう機会がありましたので」

「そうだったんだ……ってどうしたの……」


 突然京子ちゃんが足を止めた。その後私も京子ちゃんがそうした理由がわかった。何か……いる……。



「わかるかしら?」

「……うん。それっぽい気配が近くに居る。向こうの人混みの中……」


 大通りのスクランブル交差点の方を指さしながら私は目を閉じて、感じ取った気配の正体を探っていく。


「その中の……オレンジのワンピース着た小さな女の子…」

「なるほど。間違いなくそれね。捜しましょう」


 そう言って私達は、その場所に向かい、人混みの中にいる女の子を捜した。が――――――


「あれ、居ない。確かに此処に……」

「凛。あっち」


 京子ちゃんに言われた方を向いてみると、さっき探そうとしていた女の子がいた。


「あれ、どうして……」

「あれだから面倒なのよ。見つけたと思ったらすぐどこかに行ってしまう気まぐれな性格。とにかく追いましょう」

「ふぇぇ~……」


 物凄く骨の折れそうな事になりそうだと、この時の私は思った。




 走り回っているうち、遂に見失ってしまい、気配も感じなくなった。物凄い疲れた。こんなにも走り回ったのは久し振りかもしれない。

 そう思った時、祐真さん達に出会った。拓弥さんに機嫌よく話しかけられてたけど、京子ちゃんはそれを無視して祐真さんと話していた。話の末、祐真さん達も手伝ってくれるそうで少々楽にはなると安心した。


「良かったんですか? 祐真さん達にも説明して? さっきは聞かれたくないって言ってたから……」

「詳細が。ということです。架谷さん達には私の知り合いだと言っておきました。疑うことはないと思います」

「そ、そっか……」

「取り敢えず搜索再開しましょう」

「あっ、でもその前に」

「何?」

「お昼にしない?私もうお腹空いて……」


 昼時でしかも殆ど走りっぱなしであったのだ。今にとさも空腹で倒れそう。


「そうね。捜し回ってるうちにそんなこと忘れてたわ。近くの店で休むことにしましょう」

「そだね……」





 近くのファミレスで私はパスタを食べながら京子ちゃんの話について、一度整理していた。周りに人も多くいるので、極力小声で。


「全然捕まらないけどどういうことなのー」

「私もよくわからないわよ」

「でも早く捕まえないといけないんでしょー。捕まえられる気がしないよー」

「特に期限までは設けられていないのだけれど、早いところ済ませてしまいたい。っていうのが本心ってところね」

「早いところかぁ……今日中につかまえられるのかなぁ……」

「元々有能な貴女にそんなこと言われたらどうしようもないじゃない」

「私はそんなんじゃないよー。こっちに来たのだってつい最近のことなんだよー」

「貴女もうちょっとは……ちょっと失礼」


 電話が鳴っていたようなので京子ちゃんはそれに応じるため席を外す。なんだろう?

 戻ってくるまでの間、止まっていたフォークを動かして、パスタを食べて待つことに。




 しばらくして、京子ちゃんが戻って来た。


「何かあったの?」

「架谷さんが堅町通りでさっきの少女を見たって言ってたの。食べ終わったら行くわよ」

「あ、はーい」


 パスタ食べて空腹はどうにかなったが、まだ疲れてるのには変わりない。

 それでも行くしかないのかと私は思い、残っていたお冷を一気に飲み干した。



 お会計を済ませて店から出た時、再び京子ちゃんの携帯に着信が入った。どうやらその女の子がこの建物の中に入っていったのを見たとのことであった。祐真さんから電話で言われたとおり、一度正面の入口へと向かうことに。



「これまた偶然ですね」

「みたいだな」


 エレベーターで一階まで降りて正面入口に向かうと、祐真さんがいた。


「一緒にいた御二方はどうしたのですか?」

「先に入って行って、探してもらってるよ。……ってそうだ。ちょっと待っててくれ」


 祐真さんは向こうの方振り返って、スマホを取りだし、誰かと話を始めた。


「拓弥? 虎太郎? ……あぁ。今、凛と黒羽に来てもらった。……うん。……それで拓弥は……おっけ。頼むわ。それじゃ」


 何やら拓弥さんと虎太郎さんと話をしているようでした。打ち合わせ? でしょうか?



「お待たせ。それじゃあ三人で探そう。拓弥と虎太郎に頼んで、ここと地下の入口で張り込んでもらうことにした。それでもし見つけてら俺に連絡くれって言っといたわ。なんか急いでるみたいだし、どっか遠くに行かれても困るんだろ?」

「ありがとうございます。考えましたね架谷さん」

「礼はいいから早く探そう。俺は上の方から見て行くわ」


 そう言って祐真さんは一足先に、階段の方へと向かっていった。




「私達も行こうか。京子ちゃん」

「そうね。凛、念の為に聞いておくけど、まだここにその気配はあるかしら?」


 京子ちゃんにそう聞かれたので、意識を集中させて、あの女の子の気配を探してみる。


「んー、ちょっと遠いけど……この中にいるのは確かだよ」

「ならよかった。行きましょう私は地下の本屋から探してみます」

「わかった。それじゃあまた後で」



 女の子の搜索作戦ショッピングモール編、開始。

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