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俺の家に狐が居候している  作者: 夘月
妖しき事件簿
31/154

視線が気になります。

 生徒玄関にて絡まれた堂口にその後追いかけられ。話し相手に付き合わされ。ノンストップで話を続けていくもんで、始業前の時間は過ぎていった。今日は体育もあるって言うのに、朝から疲れさせんでくれよ。と思う今日一日の始まりであった。


 流石に授業が始まれば落ち着くだろう。座席も離れているわけだから。てか授業なんだし。それくらいの分別はあるはずだ。



 そう思う一限の授業前での事だった。数学の教科書を開いて予習の確認をしていた俺に、横から話しかけてくる声が。


「架谷」

「どうした?」



 まぁ当然。隣の席に座っている谷内になるわけだが。つややかな茶髪をサラッと払う仕草は、谷内のお淑やかさを引き立てている。


「教科書見せてもらってもいい? 忘れちゃって」

「あぁ。いよいよ」

「ありがと」



 彼女は一言お礼を言ってから、俺の方に机を寄せてきた。互いの机がくっつけられたのを確認してから、教科書を真ん中に置いた。



 漫画とかドラマじゃよくありそうな展開だけど、ドキドキするなってのはわかる。近くに女子がいるっていうこんな状況だ。

 凛とは同居しているということもあって近くにいる場面というのは多いのだが、今回はそんなあれとはまた違ったもの。浮かれてしまう。





「……ここまで計算したあと、さらに因数分解することを忘れないように――――――」



 特に変わったこともなく、一限の数学Iの授業が勧められていく。例題とその途中式が黒板に板書されており、それについてを先生が順序よく解説している。


 この先生は説明がわかりやすいからとてもありがたい。

 人によっては説明がごったごただったり、ひたすら話し続ける人もいたり。板書がぐちゃぐちゃだったりと。先生によっては分かりにくいところもある。



「でもってここには、この公式が利用でき……」



 しかし……普通に授業を聞いているはずなんだが、なんだろう。視線を感じる。時々なにか俺を凝視するような視線を感じる。落ち着かない。なんとも言えん感じがして非常に落ち着かない。


 凛の一件もあって周りに人一倍警戒心を張り巡らせている俺だ。放っておくわけにもいかない。



 今のこの座席だから候補は二人いるんだが――――




「……」

「……」


 首を少し左に回してチラッと後ろの方を見てみたが、黒羽ではないな。視線の向く先は右斜め前の黒板の方であって、正面の俺の方ではなかった。



「それじゃあ今から五分やるから、その間に26ページの設問解いてくれ。時間たったら前出て書いてもらうからなー」


 先生に言われた教科書の設問を解きながら考察してみる。黒羽ではない。そうなると……


 問4辺りまで解いたところでか今度は右の方をチラッと。そしたら――――


「……!」

「……」



 谷内が俺の方をさり気なーい感じで見ていた。俺がそっちの方に視線を向けたら、少し顔を赤くして俯いてしまった。


 なんなんだ。普段から口数の少ない谷内だからこそのことなんだろうか。橋本や堂口と違って自己主張が少ないから、こういうのはかなり破壊力が高い。主に俺の心に。いい意味で。



 視線の正体は何となくわかった。しかしなぜ俺の事になる?顔になんか変なもんでもついてるのか?それともなんなんだ?



「そろそろいいだろう。それじゃあ……この列。前から問1だ。黒板に答えを書いてくれ」



 真ん中の列の生徒が当てられ、「えぇー」といった声もまじりながら、当てられたクラスメイトらがノートを持って前に出てくる。白チョークを一本手に取るとカッカカッカと計算式を書いていく。


 聞くなら今のうちだろうか。遅れて最後の問題を解き終わったところで谷内に話しかけた。



「どうかしたか谷内」

「え? なに?」

「ちょっと視線が気になったもんだからさ」

「そ、そうなんだ」



 必死に誤魔化そうとしている。表情は崩れていないけど、まだほんのりと顔がピンク色になっている。めっちゃ可愛らしい。


「俺の顔? なんか変なもんついてるか」

「別に。大丈夫」

「そっか。悪いな変なこと聞いて」



 これ以上聞くのもなんか申し訳ない。変に聞いて谷内の機嫌を損ねたくないし、俺が変に思われるようなこともしたくは無い。気になるところだが、当人がそう言っているのならベタに聞くものでは無いだろう。



 視線を黒板の方に戻した。今は授業に集中しよう。そろそろ前の板書も終わるところだし。



「よし描き終わったなー。んじゃー答え合わせしていくぞー」


 生徒の書いたものを、先生が途中途中で説明を混じえながら確認していく。


「よし。問題ないな。それじゃあ次のページ開けー」



 その後はまた説明が始まる。黒板の方に視線を向け、時折ノートを取っていく。そのまんま何事もなくこの時間が流れて言って欲しいと思っていたんだが……


「……」


 まただ。やっぱり誰かの視線を感じる。気の所為でもなんでもない。確証はないが、そんな気がする。

 かと言ってまたキョロキョロ周りを確かめてみる訳にも行かないんだよなぁ……。でも気になる。気になって仕方がない。



 そう思って、今度は左にある窓越しに見てみることに。そしたら――――



「……」



 しばらく口が塞がらなかった。谷内が俺の事、時々だけどチラッチラッと見ているのが窓の反射でも分かる。

 言うべきではないな。言ったら言ったでなんか変なことになりそうだし。少なくとも俺の疑問のひとつについては解決したんだからいいだろう。



 もう一個についてだが……わかったもんでは無い。これ以上考えていたって、授業どころではなくなりそうだから、一旦は忘れることにしようか。


じー…………

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