街のニート
そうして俺は街に出たのだが、
「\(゜ロ\)(/ロ゜)/私は誰?」
てな状況だ。
顔文字のあたりはどう発音していたかなんか気にしても無駄だ。
そんなことはどうでもよくて、ここでは俺が方向音痴なのが問題だ。
確か、コロッセオでの試合は明日だったはずだ。
だが、明日とは言えども、道がわからないという状況はさすがにまずい。
標識はあるが、標識の文字までスマホでは読めない。「読めない」というのは正確には語弊があるのだが、要するに面倒だということだ。文字を解読するにはその文字を電子データとして入力して、narrowで検索しないといけない。勿論、文字の数はある程度あるから結果論面倒になっている。受付のときは受付の方に「ここは何を書けばいいの?」みたいなことを聞きながら書いた。どうやらこの世界では識字率は低いようで、そのようなことを聞いている人も少なくなかった。だからすんなり聞くことができたのだが、 今回は音声案内も何もない。
だが、
「まぁ、なんとかなるか」
そう考えて、観光することにする。異世界の観光なんか滅多にできないしな。
そう言えば俺はまだ武器のひとつも持っていないな。
では、武器を見てみようか。
「ごめんくださーい!」
武器を扱っていそうな店にはいる。
「おお、いらっしゃい」
出てきたのはやや若くて、大柄な男の人。
よくゲームで見かける冒険者のような見かけ。非常に強そうだ。
「あんた、不思議な格好をしているな」
そういえばそうか。
ジーパンにシャツなんて格好をしている日とは異世界では見ていないな。
「この街は初めてか?」
「ああ」
「職業は?」
職業、だと?
俺はそんなこと全く知らんが。
というか、俺は向こうの世界ならニートだし、こっちの世界ではー?
「す、ステータスオープンw」
ん?
あーね。
「無職です」
「…………そうか」
かなり残念そうな目で見てくる。
「この街には何をしに?」
「コロッセオにでるんだ」
「死ぬぞ、ニートが来やすく出ていたら」
どうやらニートは雑魚らしい。
「というか、ニートで金もないのにこの店に来たのか?」
「まぁ、そうです」
「普段なら出ていけと言うところだが、せめてもの餞だ、もってけ」
そうして渡されたのは短刀。
「ニートだし剣を振り回す筋力も金もないだろう。これでどうにかするしかないな」
「は、はぁ」
俺のコロッセオへの道は色々なめんで難しそうだ。
参考文献
進行諸島, 2018, 転生賢者の異世界ライフ ~第二の職業を得て、世界最強になりました~