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ころっせお

「コロッセオ……?」


聞いたことがある、『コロッセオ』。

イタリアの昔の闘技場で、世界遺産に登録されていたはずだ。

「そう、コロッセオ」

なぜ翻訳機を使用しておいてさらに日本語に訳してくれないのだろうか。

なんだかいやにポンコツな翻訳機だな。

『コロッセオ』、恐らくそれが意味するものとは……。

「あなたも参加するんですか?」

「そう」

すごいそっけない子、俺が抱いた第一印象はそれだった。

第一街人かと思った人は街の人では無かった。

「……あなたはどうするの」

「えっ」

まさかの質問に困惑した。

これはフリか?

そもそも何をしているのか質問した人が出ようと思ってここに来ているわけないじゃないか。

ここはおどけて……。

「出ようかなー、なんて」

「そう、じゃあ並んどいた方がいいよ。ていうか、もう私たちの後ろには人が並んでいるみたい」

「えっ」

見てみると、気付けば後ろには長蛇の列が出来ていた。

まずい、このまま列を抜けようものなら……


「あいつは怖くなって参加をやめたに違いない」

「とんだ腰抜け野郎だな」


なんて噂がたつかもしれない。

……しょうがない、やるしかない。

「俺の実力を見せてやる時が来たか……」

「……」

なんで何も反応してくれないんだろう。

普通は何か返してさ。

俺が読んでる小説だったら、そこから色々話す仲に発展するはず……。

「あの……」

「何?」

「あ、いや、何でもないっす……」

駄目だ、無理だ無理だ。

「用がないなら話しかけないでくれる?」

「すいません……」


気まずい時間が流れ、ついに受付が見えてきた。

何度抜け出そうと思ったか、もう時すでに遅し、自分の番が回ってきた。

「あなたの番号は1871071です。」

「わかりました」

淡々と受付を済ませると何やら耳につく音が聞こえてきた。

どうやらその辺で剣を交えているようだ。


――キンキンズバッキンキンッ――ズバッキンキンキンッ――ズバッキンキン!

キンキンッ――ズバッキンッ――ズバッキンキンッ――ズバッ――ズバッ――ズバッ!


「……クッ……なぜ〈無職〉の俺と〈大剣士〉の貴様が互角に戦っているようか気になるようだな……ただ俺とお前の実力が互角だからとしか言えないがな……」

(いやどうみても無職のお前はボロボロだろ……何をイキってんだ……)

「もういいだろ、次戦う時は本気で来いよ、その時は俺も本気で挑んでやる、『コロッセオ』でな……」

「ああ、『本気』でな……」


そこに居たのはただのイキリであった。

周りの観衆もだんだん離れて行く。

俺もそのうちの一人だった。

(あのイキリ無職レベルの相手ならなんとかなりそうだけど、横の強そうな剣士が相手なら死ぬな)

そう考えると相手のレベルが分からずに怖くなってきた。

しかし今更になってそういうのを考えてもしょうがない。

(大切なのは今だ、プレゼントだ!)

よく考えてみたら何も無い、武器もお金も、人脈も。

(なろう攻撃でなんとかするしかないか……)

俺にあるのは光合成となろう攻撃ぐらいだ。

そんなことを考えている場合ではない。

時は待ってはくれない、色々知りたいこともいっぱいある。

あのやり手っぽい女の子に色々聞けばなんとかなるような気がした。

……が、俺がイキリ無職を観戦している間に姿を消したようだった。

(しょうがない、街を適当にほっつき歩くか)

結局時間は浪費されるのだろうか。


街は俺が思っていたより狭くないようだ。


参考文献

九頭七尾/無職の英雄 ~別にスキルなんか要らなかったんだが~/2017

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