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とんでもない美少女
最後にミミが向かったのは、高級住宅が立ち並ぶ光が丘地区だ。
慣れた様子で1軒の豪邸へ入って行く。
表札は見当たらない。
門塀に隠れるようにして中を覗くと、ミミは庭に面した大きな窓の前でにゃーんとひと鳴きした。
すると、私たちと同じ年頃に見える背丈の、髪の長い少女がガラガラと窓を開け姿を見せた。
まだ顔は見えない。
「ハノン、どこに言ってたの?ちょっと待ってね。」
彼女は一度家の中に戻ると、ブルーの装飾が施されたガラス食器にごはんをいれて持ってきた。
なるほど、ミミがここに通う理由はこれか。
「おいしい?」
と、彼女が顔をあげた。
その顔を見た瞬間、私ははっと息をのんだ。
隣で福丸も同じように息をのんだのがわかった。
彼女はとんでもない美少女だった。
小さい頃着せ替えをして遊んだ美しい顔立ちの人形を思い出す。
「実写版だ。」
福丸がつぶやく。
美少女が出てくるアニメか何かを思い出しているのだろう。