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突然の声かけ
美々に追い払われるように光が丘地区を抜けてさらに10分ほど歩くと、ようやく隣市の繁華街に入った。ナナちゃんはより上機嫌になったように見えた。
「ナナちゃん元気ね」
都市銀行の黄色い看板が見えてきた。
「銀行に着いたら、変装した僕とナナちゃんが窓口まで行く。そしたら、華はミミの入ったボストンバッグを持って隣の窓口に進むんだ。
僕がこれらのリストを出さないとこの犬が噛み付くぞって書いたメモを出すからそのとき華はボストンバックの口を開けるんだ。」
福丸が作戦の説明をする。
「で、ミミが顔を出したらナナちゃんが獰猛な顔で吠える、と。」
「で、僕がその獰猛な顔を銀行員のほうにくるり、だ。」
「福丸、本気で上手くいくと思ってるの?」
つい呆れた視線を向けてしまう。
やはり福丸の父母に言うのが良いだろう。
犬で脅したら一体何罪になるのだろう。
「あとは襲撃時間と変装方法だなー。」
福丸は呑気に言って銀行の前からナナちゃんを連れて歩き出す。
と、そのときだった。
「君達、ちょっといいかな。」
振り返るとそこには2人の警察官が立っていた。
強盗計画が成功するとはまったく思っていなかったー。
でも、まさか。
犯行前に捕まるとは予想もしていない。
福丸と顔を見合わせる。
「早くない…?」
福丸が呟いた。
早い。というか、まだ何もしていない。




