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脅すナナちゃん
「レトリーバーで脅すとか?」
冗談で言っただけなのに、福丸はそれだ!と手を叩いた。
「レトリーバーだよ!ほら、山田のとこの。ミミに吠える時の獰猛な顔、覚えているだろ。」
ナナちゃんがミミに見せた顔は、動物好きの私でさえ後ずさりしてしまうものだった。
たしかに、噛みつかれると思ったら意外と動けないかもしれない。でも犬は犬だ。
「ラブラドールならサービスドッグのふりをすれば銀行に入れるかもしれないな。バスケ部のビブス借りて着せるか。」
福丸はまくしたてる。
「ちょっと待ってよ。ナナちゃんに噛むぞ、と脅してもらうわけ?」
「そんなに都合よく窓口で牙を見せて唸ってくれるわけないだろ。 ナナちゃん、人には吠えないって言ってたじゃないか。」
続けて福丸は言う。
「 ナナちゃんの吠えるスイッチは僕たちが持っている。」
「…ミミね。 」
「ミミとナナちゃんを仲間にいれて作戦をつめよう。山田は阿呆だから仲間にはいれない。いれるのはナナちゃんだけだ。」




