福丸の計画
「で、肝心の何を盗るか。札束を盗めたら話は早いけど、やっぱり捕まることを考えるとベストじゃない。休日相談会だと出金できない可能性もあるしね。」
「だから、それだと銀行に強盗に入る意味ある?」
福丸は一体何をしようというのか。
「例えば情報を盗って名簿業者に売るとか。
前に銀行から投資の勧誘の電話が何回もかかってきた時期あってさ、親父がしつこいって電話口で怒ってたんだよ。」
福丸のおじさんの怒る姿を想像してぞっとする。さぞ電話をかけた営業担当は怖い思いをしただろう。
「相手の人はもう今後親父にかけたくなかったんだろうね。普通預金の残高が一定額以上あると今後も営業かけちゃうから他の口座に移してもらえれば、なんて言ったんだってさ。つまりさ、銀行にはそういうリストがあるんだよ。」
「そういうリストを端末で検索させて、そのコピーを盗るってこと?」
福丸は本気で言っているのか。
そんなの無理に決まっている。
「そう。これなら担当した銀行員が話さなければ犯行そのものがばれない。犯行そのものがばれなければ、監視カメラが見返されることもない。」
「普通銀行員が話すでしょ。それに、できるだけ他人に迷惑をかけない前提はどこに行ったのよ。情報漏洩したら他人に迷惑かかるじゃない。」
うん、やっぱり無理に決まっている。