『対談』
赤い光が点滅している。
その横で舞台の上にいるスーツ姿の男が赤い光が点滅したマイクに向かって大声を発していた。
「なぜ、12型が逃げたのだ!守備は完璧と言ってなかったか?」と灰色の防音壁に囲まれた部屋の中に声が響き渡る。
「それは奴らが…」と舞台の下でそれを聞いている男がもごもごと言った。
「そんな言い訳聞いていない、早く、伝播主を生きたまま連れてこい。何型でも良い。後は抵抗したら殺しても構わぬ!」と彼の声は壁を揺らした。
「このまま奴らを野放しにしておいたらいつ政府とのことがバレるのか分からぬ。早くしろ!」と舞台の上の男は声をいっそう張り上げた。
そこへ一人の男が駆けこんで来た。
「社長、田中首相がいらっしゃいました」
舞台の上の男の顔がみるみるうちに青ざめた顔に変わる。
「い、いいな!さ、最低でもソナーパレカルに逃亡した検体S-4をここへ連れて来い!」と彼は弱々しそう怒鳴ると舞台を降りた。
「中川君」と国のトップ田中首相は黒い革でできたソファーにどっぷり腰を埋めながら彼を見下すように目の前に小さく座る頭のてっぺんが禿げた中年の小太り男に声をかけた。
「どういうことかね?僕は確か君に伝播主を全て捕らえよと言ったはずだが?」
「それがですね…普通の人間である我々が奴らを止めるのは無理がありまして…捕まえに送りこんだ精鋭部隊が全て抹殺されてしまいまして…」と中川という男はぼそぼそと言い返した。
「感染者達が感染しているウィルスより攻撃力が上回るウィルスを作り検体を生み出せばいいんじゃない?」と田中は椅子の肘かけに手をつきながら言った。
「いや…そのためにはですね、伊藤 凪幸博士が最初に作り上げたウィルスの伝播主と最後のウィルスの伝播主が必要です」と彼は流れ出る汗をハンカチで拭きながら言った。
「うん?君、一人だけ彼らより強い能力を持った少年がいなかったかね?」と彼は首を傾げる。
「カイキのことですか?しかし、彼でもソナーパレカルのトップにいる。真護を倒すことは不可能です」
「真護?あの…真雅のクローンで一番出来そこないの真護かね?」
「は、はい。彼の遺伝子は出来そこないですが、事故によって彼の中に埋め込まれた超能力を生み出す遺伝子は誰よりも強力な力をもっています。カイキの超能力遺伝子も元を辿れば真護のものです」
「しかし、彼はあの時でかなりの遺伝病を発生していただろう?もう死んでいるのではないのかね?」
「彼の周りにはE-5、F-6 型ウィルスを持ったもの達が守っています。」
「伊藤 凪幸博士と一緒にウィルス研究をしたあの天才達かね」
「はい。彼らの手は一流です。さすがウィルスで知能を上げただけはあります。彼らの傍にいれば真護は生かされている可能性は非常に高い」
「真護が生きているね…」と田中は少し考えて何か企んだように笑うと彼に目を映した。
「まぁ、良い。どっちにしてもさっさと伝播主を見つけろ!!これが社会に出るのは非常にマズイ。少しの無茶はこっちで圧力をかけてもみ消すことは出来るがそう長くはもたぬぞ、タイムリミットは近付いている。急いで現存するHKW-gtkウィルスの伝播主である8人の検体をここに連れてくるんだ!!」
「はい」と中川は震える声で返事をした。
正直、ここまで読んでくれている人いるのかな?と思いながら書いております。
ちょっとここから先は長い文章になるので俺は1か月に1話載せられるか?どうかというところです。俺も天海同様毎日の様にレポートに追われている身なのでここからどのくらいのペースで載せていけるか、分かっておりませんが天海と共にがんばりますので今後ともよろしくお願いします。
前の話で海聖と弥譜音がごちゃまぜになっていたので訂正しておきました。
金髪が海聖で弥譜音が黒髪の青年です。皆様を混乱させてすいませんでした。
by,成田 慎也