第2話『ソナーパレカル』
『ソナーパレカル』
貴方たちはソナーパレカルという組織をしっていますか?
一般人に紛れターゲットを瞬時に抹殺する組織…それが闇の暗殺組織、ソナーパルカル。
活動拠点は全国に及ぶが主としての活動拠点は経済の中心東京。
渋谷、新宿、池袋そして都庁で起きる連続殺人はほとんど彼らの手によるもの。
彼らの犯行は大胆なものであるが犯行の瞬間を一度も捕えられたことは一度もない。
日本政府はこの組織を非常に恐れている。
なぜなら、ソナーパレカル達の犯行は証拠を一切残さない完璧犯罪であるから、そして、彼らがまだ若い青年達である確率が非常に高く、犯行現場には政府の人間をあざ笑うかのように赤い糸でパレカルの紋章が刺繍されたぬいぐるみが必ず残されているから。
そして、ソナーパレカルは日本政府の秘密を知っている組織でもあるから…。
濃い赤い光の中一人の少女がきつねのぬいぐるみをぶんぶん振りまわして誰一人いない静かな裏道を歩いている。
彼女は鼻歌交じりで道に倒れていた血だまりの中の血だらけの男を見下ろすと彼の上に手に持っていた可愛いきつねのぬいぐるみを置いた。
「おまえ…パレカルの者だな?」と男が切れ切れにそう呟く。
彼女は血だらけの男を見下ろして薄い笑みを浮かべた。
「おじさん。私のこと覚えてるよね?忘れたとは言わせないよ?」
「た…助けてくれ!!」と男は彼女をすがるように見つめた。
「助けて?おじさん達が私達にしたことはこれよりもっとひどいよね?今更、助けてだって?お前らは助けてと泣いて縋ってきた子供達をその汚い手で自分たちの利益のために突き放したじゃないか!!」と彼女は怒鳴った。
彼女の瞳と髪が赤い血の色に変わった。
ひぃっっっっと男の顔は恐怖にひきつり汚い悲鳴が上がった。
一瞬男の前を赤い光が過ぎ去った。次の瞬間、男の呼吸は止まり見開かれた濁った瞳が暗いコンクリートの闇を見つめていた。
少女は頬についた男の返り血を手の甲で拭い去ると赤い携帯を手に立ち上がり、男を見降ろして薄く笑うと学生かばんをぶんぶん振りまわしながら闇の中へ消えていった。
男の上に取り残された血にまみれ赤く染まったきつねのぬいぐるみの右頬にはパレカルの紋章と呼ばれる不思議な形の刺繍が無造作に施されていた。
そう、それは死へと誘う紋章…。