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『早奈の異変』

『早奈の異変』


気づいたのは次の日の朝だった。

早奈はソファーの上で点滴をされ寝かされていた。

窓の外からは日の光が入ってきていた。

体がだるくて動けそうにもない。ここはどこだっけ?と考えながら辺りを見渡す。

どうもまだSponreの中のようだ。意識を失ったまま(いつみ)の仮眠室に連れて来られたようだ。

「あら?早奈ちゃん、気分はどう?」と愛がドアを入ってきてそう尋ねる。

「最悪。」と早奈は呟く。

「でしょうね。」と愛は頷くとなにかのむ?と尋ねた。

「お茶…弥譜音の入れたお茶が欲しい」と早奈はそう呟く。

「何か飲みたいと思うなら大丈夫そうね。大学で授業中だった海聖に連絡したら吹っ飛んで帰ってきたから今、海聖と弥譜音と名刀の3人呼んでくるからね」と愛はそう優しく言うと走って行った。

早奈は窓の外を眺めた。そして、ウィルスのもたらす症状に泣きだした。

これから自分はどうなるんだろう?不安が体を支配していく。怖くて仕方ない。逃げたくて…。名刀も弥譜音も平気だというが、何が平気なのか分からない。自分の体に症状がでるたびに自分が自分では無くなっていくような不安が募る。

「早奈?どうした?」と名刀が部屋に入って来てそう尋ねる。

「早奈。何どうしたの?」と海聖が慌てて早奈の顔を覗きこんだ

「早奈。名刀にいじめられたか?」とあとから入ってきた弥譜音が机に飲み物を置いてから早奈の傍に来て尋ねた。

早奈は3人に手を回すと引き寄せて泣き始めた。

「おいおい!!どうした?早奈。」と名刀が焦って声をだした。

弥譜音は何も言わずに早奈の背中を擦ってくれた。

「早奈。大丈夫だよ」と海聖は安心させるように言った。

「怖かった…」と早奈は呟いた。

「早奈には俺がいるだろ?」と名刀が早奈の頭を撫でる。

「うん…」と早奈は頷いて手を放した。

「落ち着いた?」と弥譜音が暖かいお茶を早奈に渡しながらそう聞く。

「うん。」と早奈は涙を拭う。

「そう…」と海聖は早奈のそばで座りお茶を飲みながらふわりと微笑んだ。

「気分はどうだ?」と名刀が窓によりかかり弥譜音の入れたお茶をすすりながらそう聞いた。

「最悪だよ。ダルイ…」と早奈はお茶を少しずつ飲みながら言う。

「だろうな。まぁ、お茶飲める元気があるなら大丈夫だろうがな」と名刀は笑った。

「そういえば、会議はどうなった?」

「会議はあのままだよ?何も変更ない」と弥譜音。

「なぁ?早奈。」と名刀が早奈を見る。

「うん?」

「お前、もう外に出ないでいいから真護と愛と一緒にここにいろよ。」

「イヤだよ。真雅を殺した奴らを殺すまではやる」と早奈は名刀を睨む。

「お前な…体がどんな状態か知っているのか?苦しむのはお前なんだぞ?」

「自分の体くらい自分で分かる」

「とか言って倒れたじゃないか!!」と名刀。

「あれは名刀の薬が悪いんだ!!」

「はぁ?なんだと!!」と名刀は怒鳴る。

海聖は二人の喧嘩を見ながら元気だねーと二人の言い合いを止める気がないようにそう溢した。

弥譜音は売り言葉に買い言葉の名刀と早奈の会話を聞きながら止める気のない海聖を見ながらため息をついて言った。

「成長ないね?早奈。名刀は早奈が苦しんでいるのを見て心配だからそう言っているのだよ?わかっている?」

「分かっているよ。でも…」と早奈は弥譜音を見る。

「はいはい。」と弥譜音は早奈の顔を見て頷く。

「早奈が頑固なこといいかげんに理解したら?名刀。何年、早奈と一緒にいるのさ」と弥譜音は名刀に言う。

「でもよ…」と名刀は口ごもる。

「はいはい。じゃあ、こうしょうか。早奈は5日間に3回ここへ来ること。ちなみに土・日はここへ泊ること。任務の時は俺か名刀と必ず行くことわかったね?」と弥譜音はお茶を飲みながら言う。

「はぁ?そんなにくるのかよ!!それに土・日止まる必要あるのか?」と早奈は口応えする。

「嫌なら、ここに住みなさい」と弥譜音はズバッと言う。

「お前の体は目が離せない状態なんだぞ!!」と名刀がそう怒鳴る。

「早奈。ここは聞いておくべきだよ」といままで黙っていた海聖までもが静かにそう言った。

「わかったよ!!」と早奈はさすがに3人に言われて渋々頷く。

「ってか、弥譜音。今、何時?」と早奈。

「今?今、9時になるとこだよ?」と弥譜音は腕時計を見て言う。

「学校!!」と早奈は立ち上がろうとする。

それを弥譜音が止める。

「学校にはもう連絡してあります。今日、一日ぐらい休みなさい。」

「でも…」と早奈は呟く。

「診断書ぐらい書いてやるから、今日だけは休め!!」と名刀が腕を組んで言う。「今日は絶対に外ださねぇ」と名刀が早奈を見る。

腕を組んでいる時の名刀は何を言っても聞いてくれないのをさすがの早奈でも知っている。

「分かったよ」とソファーに戻り、お茶をすする。

弥譜音の入れてくれたお茶は優しい味がした。

「そういえば、武はどうなった?」と早奈は尋ねた。

「うん?あ…あいつまだ覚醒してないのか?」と名刀が尋ねる。

「それは…まずいね」と海聖が考えこむ。

「うん…。それにウィルスのこと話してない」と早奈はお茶の水面を見ながら言う。

「まだ、言わないでもいいじゃないか?」と弥譜音はどう思う?と言うように名刀を見る。

「そうだな。HKWのことはまだ言わなくてもいいだろ。でも覚醒してないのはまずいな。早奈、学校にいるときは出来るだけ武を見ていろ。覚醒始まったらここへ早く連れてこい。いいな?」

「うん。わかった」と早奈はお茶を飲み干す。

「武の武器は道霧と同じ銃かな?」と海聖が楽しそうに笑った。

「さあな」と名刀は自分の腰にある武器に手をかけてそう呟いた。


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