『青と赤』
『青と赤』
暗く狭い路地裏…。
赤い血の海で青い携帯が光っていた。
血だらけ制服を着た女の子が青い携帯を拾いあげた。
彼女の体からは血が滴り落ちている。
彼女は携帯を拾いあげ、ロックを外すと電話に出た。
「はい。こちらはSPB-1真良輝。獲物は仕留めた」と彼女は血だらけの男の上に跨ると男の鎖骨を覆う服を破り鎖骨にある刺青を眺めた。
「敵はPPCナンバーF11。」と彼女はそう言うと立ち上がった。
そして、男の体を蹴りあげると薄い笑みを浮かべ言った。
「うん。分かっているよ。注意する」と彼女はそう言って電話を切った。
そして、しばらく男を眺めていた。その血のように赤い瞳に真っ赤は血だまりの中に浮かぶ自分より大きい男の姿を瞳に映していた。
やがて、大粒の雨が降り出した。雨は彼女の体についた血を全て洗い流してくれた。
彼女は雨のなか暗い空を見上げた。吸い込まれそうな暗い闇を見つめていた。彼女のその姿は泣いているようにも見えた。やがて、体についた血がほとんど落ちると彼女は青い携帯を握りしめ、学校かばんを拾い上げその場から立ち去った。
その様子を一人の少女が闇の中から眺めていた。少女は彼女が去ったのを確認するときつねのぬいぐるみを血だまりの中に放り込んだ。
そして、血だまりを見て笑うと赤い携帯を取り出し血だまりに浮かぶ男の鎖骨にある黒い蝶の刺青を携帯のカメラで撮影した。
そして、男を見下ろしながらどこかへ電話した。
「あっ!真良?予定通りシンボル置けたよ。」と少女は楽しそうな声で電話の相手に言った。
「これでカモフラージュは完了だね。計画通りだよ」と少女は男の着ているスーツから黒い携帯を取り出し男の刺青のある鎖骨の上においた、そして、自分の学生かばんから液体の入った瓶を取り出すと男の体全体にその液体をばらまいた。
「うん?あと始末?今からやるけど?」と少女は電話の相手にそう言った。
そして、黒い携帯の上に銀色の筒を置き、男の血をいっぱい吸ったきつねのぬいぐるみを拾い上げ、男から少し離れコンクリートの上に置くと「準備完了!!」と声を上げ携帯を切り鼻歌を歌いながらスキップをしてその場を去っていった。
彼女が去った10分後、男の遺体が置かれた場所から爆発音が鳴り響いた。
少女は何十メートルも離れたところから爆発によって赤い炎に包まれる死体とそれを見守るように置かれた血まみれのきつねのぬいぐるみを確認すると嬉しそうに笑い、大雨の中楽しそうにかばんをぶんぶん振りまわして闇の中へと姿を消した。