表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

周極星

作者: 尚文産商堂

いつも、私はそう。

楽しそうに笑っている彼の周りを回っているだけ。

何人かの友達と一緒に、高校生活を楽しんでいるだけ。

そう思っていた。


卒業式、私たちが高校生として制服を着る最後の日。

いつものように、彼と一緒にいると、ごめんと言われ、急に腕を持っていかれた。

どこへ連れて行くの、と聞いても、彼は部室だよと答えるだけ。


確かに、連れてこられたのは部室だった。

でも、私たちがいた部室じゃなくて、天文部が使っているプラネタリウム室だ。

「周極星、って随分前に言っていたよね」

1年生の頃、理科の授業で聞いた言葉だ。

「髄分前の話よ。あなたが極星で、私が周極星だって。なんとなく思っただけ」

「周極星ってさ、ずっと沈まない星だっていうことも知ってるよな」

それも授業で聞いた話だ。

「じゃあさ、こんな風に思えることもできるんじゃないか」

壁際に貼られたひときわ大きな天体写真。

北極星とその周りの星だ。

下には、露光1時間という文字と、薄くなっている撮影年月日。

「ずっと見つめ続けることができる関係だって。逃げも隠れも、そんなことはなくて、ずっと一緒に居られる関係だってさ」

何が言いたいのかいまいちピンとこないが、急に解った。

「君のことが、好きなんだ。僕らは周極星の関係かもしれない。でも、連星みたいに、ずっと離れることなく、寄り添えるんじゃないかな」

考えてもみなかった言葉、どう反応していいかわからない。

頭の中を探しても、それでも返事は一つしかなかった。

「はい、喜んで」

答えはそれ以外に浮かばなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ