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第1章⑽

愛美と和也がレーンに戻ると戻った和也が入り口スタッフに聞こえるように「櫻井 愛美。レーンに戻ります!」と和也がスタッフに声をかけるとスタッフが軽く頷くとファンの人が入ってくる。

一人目の女子(ファン)は愛美の前に来ると心配そうに「マナちゃん。大丈夫?」と手を差し出しながら聞く。

愛美は「ごめんね。待たせちゃって、でももう大丈夫。今日は来てくれてありがとうね。」と女の子の手を握りながら答える。

「私、マナちゃんのことが本当に大好きでずっと会えるの楽しみにしてたの。」

「本当に嬉しいよ。どこを好きになってくれたの?」

「見た目もそうなんだけど、前に出ていた音楽バラエティのお話ししている時見てすごく可愛いなって。」

「うたバラかな?音魂かな?」

「うたバラです!」

「見てくれたんだねー。本当にありがとう。これからも頑張るから応援してね。」

「はい。また握手会があったら来ます!」

と時間にして十数秒だが愛美はファンとの会話をしファンをレーンから送り出していく。

和也はいつの間にか愛美の後ろからレーンの通路に出て、握手をしてるファンを引き離し出口に誘導する剥がしスタッフの手伝いをしていた。

愛美はその和也の姿を見るとつい口元が緩み笑みがこぼれる。


それからも並んでくれたファンとの時間を大事に丁寧に握手をしているとある変化が訪れる。

向かい側で沙耶との握手を待つファンが愛美の握手する姿を見て、僅かではあるが沙耶の列から愛美の列へとファンが流れてきていた。

それでも沙耶と愛美の列は差があったがこの日の握手会にて愛美は現在の自分のファンとの仲を深め、僅かながらも新しいファンを獲得していた。


和也は愛美に近寄る。

「櫻井さん。今日はお疲れ様。」

「・・・。進藤くんも今日は、」

「今日は本当にごめんね。櫻井さんの異変に気付いてあげられなくて、さっき話したことだけど。ちゃんと社長には俺から伝えておくから安心してね。」

和也は笑顔で愛美に伝える。

愛美は何かを言い掛けたが言葉が出てこない。

「帰ろっか?」

和也はそう言うと愛美の荷物を代わりに持つと二人は残っているスタッフとメンバーに軽い挨拶をして現場を後にした。


いつも愛美が少し先を歩き、和也がその後ろを付いて歩いていた。

でも、この日は和也が少し先を歩き、その彼の後を愛美が歩く。

愛美は先を歩く和也の背中を見ていた。


(なんだろう?櫻井さん。今日はやっぱりいつもと違う。)

和也は少し振り返って愛美の表情を確認しようとした。

すると、愛美が和也の腕を掴む。

「!?」

いきなりのことに和也は驚きの表情をすると彼女の方に向き直る。

「進藤くん。さっきの話しなんだけど・・・。」

「さっきの話し?」

「社長に話しをするって、アレ。」

愛美は和也の腕を掴んでいる手が少しだけ震えている。

和也は首を傾げて「うん。俺からちゃんと伝えておくよ?」と言うと愛美は「待って!」と話しを遮る。


「ねぇ。進藤くん。もう少しだけ私のマネージャーを続けてみない?」


突然の愛美の申し出に彼女のために彼女のマネージャーを辞めると決意していた和也は戸惑いを隠せない。

愛美は真剣な顔で和也を見ている。

「君がまだ私のマネージャーを続けてもいいならだけど。」

「櫻井さん。俺じゃ、君の力になってあげられないかもしれない。」

愛美は掴んでいた和也の腕を離すと目を伏せる。

徐々に離れていく彼女の手。

和也はさらに言葉を繋げる。



「・・・これからも至らない事が多くて君に嫌な思いをさせちゃうかもしれないけど。俺からお願いするよ。もう少しだけ側で君のことを応援させてくれないかな?」

和也は離れていく愛美の手を握るとそう彼女に告げた。

愛美は握られた手の温度(あたたかさ)を感じ、頬が緩みそうになるの耐えながら伏せた目を上げる。

「当然。君には私のマネージャーとして応援していく権利があるんだから、よろしくお願いしますね。進藤くん。」

いつもの愛美らしく、和也に挑戦気味な視線と表情を向けているが和也にはいつもの愛美だが、今までの愛美とは違うことが伝わっていた。


「こちらこそ、改めてよろしくお願いします。」

和也は愛美としっかりと手を握り合いながら決意を新たにした。



櫻井 愛美を支え、彼女がもっと多くの人に見られ愛される存在になるように導ける存在になりたい。と



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