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プロローグ
「こんなお話を、ご存知ですか?」
と言っても、語れるお話はそんなに多くありません。
たまたまこの地を訪れた。小さな子供たちに囲まれた。旅人は語り始める。
かつてこの街、または、この国。そのどれにも当てはまらない、不思議な。誰も知らない。なのに、誰もが識る。そんな街、そんな国。
まるでそれは、『お伽噺の世界』のようだと。
森の中にひっそりと。自然と調和する、調和した、広大な大地。そこに住まう「普通」の、普通とはかけ離れた、「普通」の人々と。
「普通」と違う。違った、「人ならざるモノ」達と。
そこで、一区切り。
ワクワクとした子供達を、薄い空の双眸に映しながら。楽しげに。嬉しげに。
旅人は、微笑みを浮かべた。
そんな彼らを、人々は語るのです。
「生まれ変わり、と」