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クリーチャーズ・ウォー  作者: ワタリイセ
1/1

怪人とヒーロー

あなたの正義はなんですか?

 怪人・・・特撮ヒーローやアニメなどではおなじみ、悪の象徴として呼ばれたこの名詞は架空のものだと思われていた。しかし、この世界には奴らが存在した。


 正式名『ミステット』と呼ばれる彼らは、驚異の身体能力と、恐怖を体現したような容姿を持ち。人々を震え上がらせるのには十分な要素が揃っていた。


__しかし、彼等も元は人間だった。


 2215年、特定の人間だけがその体内に満ちの能力を宿した。その数約一万人以上。

その進化のメカニズムは不明のままだが、彼らは自分に宿った謎の力に困惑した者もいれば、それを『悪』の道に使う者もいた。


『怪人犯罪』怪人たちが起こす犯罪・・・悪に染まった怪人の行動は、人間たちを苦しめた。


 2265年・・・50年後、人々は怪人が起こしす怪人犯罪に怯えながらも、希望と安心を求めるために知恵を絞り『ヒーロー』を生んだ。彼らは怪人の驚異から人々を守るため、人間だけの平和を求め。

怪人と呼ばれる怪人を・・・つぎつぎと 虐殺 していった。


彼らの『正義』『悪』問わずに

彼等が元は人間だったことすら構わず。


心は人間のままなにも関わらず・・・。


________________________________________


「っぐぁぁぁあああ!!」


「きゃぁぁあああ!!」


「来るな化け物!!」


 怪人の存在が確認されてから55年後・・・2270年6月。

この日も怪人が街に現れ、人々に絶望を味わせた。


「こんな弱っちい生き物が、俺たちを支配しようとするなんて・・・気にくわねえ!!」


 怪人は激怒する。

 世界は増える続ける怪人犯罪の抑制のため 法的な処置として。元人間だった彼らの人権を剥奪させた。

特定の区域内の生活を強いり、キツイ労働をさせ、怪人たちを徹底的に管理したのだ。

しかしその行為は多くの怪人を怒りの炎を付けた。


 労働は過酷なもので、男は力仕事。女、子供は細かい組み立て作業。休息、睡眠などまともにとらせず。不出来なものは実験台や研究材料にされ、殺される。まさに奴隷だった。彼らは争うことすら許されない。しかし争わなければならなかった。


 区域内を強引に抜け出し、いままで自分たちがやられた屈辱、無縁を攻撃という方法で、そのストレスを解放させた。


体長約210m前後の全身柔らかい皮膚に包まれた怪人ミステット・・・プラナリアミステット:ゴルダルは近くにいたサラリーマンの首を掴み軽々しく体をへし折る。


「ごぉぉおおお、っべほぉお!!」


「きゃーぁああああ!!!」


飛び散る血を浴び、ゴルダルは開放的で心地いい気分になる。


「ははははははh!!」


バッギ! ベッゴ! ッガゴ!


怪人は逃げまとう人々を一人また一人と殺していく。

自分たちにされたことと同じように。


「人間は皆ぶっ殺す、皆殺しにしてやるぅう・・・それが俺の快感になるぅ!!」


怪人の被害は続く。

その様子を空でヘリコプターが監視する。


『ヒーローに情報を通達、ナダリコシティに怪人が出現』


ヘリのパイロットは怪人の正確な位置情報をヒーローに伝達する。

ヒーローはその情報の元、怪人討伐に駆けつける。


 ナダリコシティには小さな町で町専属のヒーローがいないため、隣町にあるヒーロー育成学校『レゾンデートル学園』から新米ヒーローに出動要請をかける。


たとえ新米ヒーロー出であっても出動するのは三年生のみ。

彼らは卒業ノルマである怪人10体討伐という大きな課題があり、彼らは積極的に怪人討伐に向かい始めた。


ヒーローの条件は以下の一つ。

 『ソルエネルギー』を扱えるか否か。


彼らは対怪人用に開発されたパワードアーマー『ヒーローアーマー』を装着し専用の武器を持つ。

一般兵器が効かない怪人に対して彼らが持つ特殊兵器は唯一攻撃を通すのだ。

『ソルエネルギー』というエネルギー用いており、この力は怪人細胞や怪人の体内にある力の源「ミステットエネルギー』を消滅させる能力を持つ。


 『ヒーローアーマー』はそのソルエネルギーをコアに起動する対怪人用強化スーツだ。

デザインは個々さまざま、その性能は装着者の経験や実力に比例する。


さらに全身には怪人から身を守るバリアが貼られ、相手の攻撃を80パーセントカットできる。


しかしそれはソルエネルギーを元に貼られているため攻撃を食らうたびにエネルギー量が少なくなりバリアは薄なる。つまりヒーローアーマーをつかても、怪人に勝てるかどうかは装着者次第ということだ。


 ヒーロー達ははそのソルエネルギー巧みに扱い怪人を討伐する。

彼らこそ人類の最後の希望だった。





「そこの怪人!」


一人の生徒が先に現場にかけ着く。


「・・・・・あぁ?」


「あなたの悪事もここまでよ!」


そこにいたのは、一人の金髪サイドテールの少女だった。

彼女はレゾンデートル学園三年『ユキナ・ベレッタ』身長は低め、胸がAカップというコンプレックスを持つ。

 懐から携帯ゲーム機のような機会『変身デバイス』を取り出す。

変身デバイスとはヒーローアーマーを学園の整備室から転送し装着することができるアイテムだ。


「変身!!」


掛け声と共に変身デバイスが輝き、制服は粒子化される。

しかし肝心のアーマーが転送されず彼女はスパッツとスポーツブラだけしか身につけていない状態になっていた。


「は?」


怪人も目の前の光景に驚く。


「きゃぁ!?あぁんもう!また!!」


ユキナは両腕で体を隠すが30秒後ようやくアーマーが装着される。

オレンジ色の装甲、翼のようなウイングスラスター、右手には巨大なバスターソード

肌が一部露出しており、二次元でいうメカ少女を彷彿させるような装備だった。


「いくわよ!」


「っち、ヒーローかぁ」


ユキナから溢れ出るソルエネルギーを察知し、彼女がヒーローであることを確認したゴルダルは、右腕を変形させ鋭い剣のよう武器に変える。


「っぐぁあぁ!!」


地面を思い切り蹴りユキナに一気に接近し切りかかる。

ユキナはバスターソードを盾にし攻撃を防ぐ。


「・・っく!!」


「殺される前に殺るだけだ!!」


「ぐぬぅぅぅおおおおお!」


 ユキナは腕とバスターソードにソルエネルギーを流し、出力を上げる。

それに押されゴルダルの腕はバスターソードから離れ、一瞬の隙ができる。


「っは!!」


 腹部を思いっきり切りつける。

手応えがあった。ゴルダルの肉体は腹部を境に真っ二つになり、ソルエネルギーに触れた怪人の皮膚はジゥワっと音を上げ消滅する。


____勝った!


しかし、それは大きな油断。ゴルダルは腕を巨大化し彼女を掴む。


「っきゃぁ!?」


「なんだ?ヒーローなのに大したことないなぁ・・・」


「がぁな・・なんで」


怪人は生きていた。

彼女をつかんだ上半身は瞬時に下半身が生成された。

ユキナは困惑した。一般の怪人なら即死のはずの攻撃が効かなかった。

なんとか巨大な手から逃れるため全身にソルエネルギーを流そうと試みる。


しかし、上手くいかない。


「っか・・・また!!」



___また、上手くできない、なんで!!。

恐怖が彼女を襲う。こんなところで死んでしまう。握り潰される。

死の恐怖が彼女の表情を曇らせる。


アーマーのバリアもどんどん薄くなっていき、ダメージも本人に伝わる。


「なんだお前、ヒーローのくせに俺に勝てないのか?」


「がぁあああ!!」


怪人の握力が上がる。

バリアを生成するソルエネルギーはダメージにより消滅し激痛がダイレクトに彼女を襲う。

腕が折れたのか持っていたバスターブレードも地に落ちる。


「ヒーローって結構雑魚なんだな!!!」


「ぐぁあああ!!!!」


メキメキと装甲にヒビが入り、彼女は死を悟った。





_____ユキナちゃん!!








突如、空から巨大なランスが落下しゴルダルを串刺しにする。

ランスを持っていたのはユキナの同級生『クリスティ・ナルナード』だった。


「ぐへぁ!?」


頭部から大量の血が噴き出し、ユキナを捕らえていた手の力も一気に弱まり解放される。


「はぁあああああ!!」


クリスティはランス型武器『ダイヤモンドランサー』にソルエナルギーを流し怪人の体内から細胞を消滅させる。


「がぁぁぁぁあああああああ!!!」


ゴルダルの肉体は悲鳴と共に一気に消滅した。灰も残らず、彼は『無』になった。

ほぼ彼女の攻撃は一撃必殺に見えるほど強力なものだった。


「大丈夫!?ユキナちゃん!!」


「クリスティ・・・えぇなんとか・・・っく」


クリスティはボロボロになったユキナの元に駆け寄る。

ユキナは立ち上がろうとするが右腕と左足に激痛が走り、それを見たクリスティは彼女に肩を貸した。


「・・・それより、これで9体目だね、クリスティ」


「うん、もうすぐノルマ達成って、今そんなこと言っている暇ないでしょ?」


「ははは・・・ごめんごめん。」


「早く帰って、治療室に行くよ!」


クリスティは彼女を抱きかかえ、ヒーローアーマーに翼を展開させる。


「はぁ・・・わたしっていつもダメダメね。」


ユキナは悔しがっていた。


彼女はノルマを達成せず留年をしていたのだ。

その原因として彼女はヒーロー適性がありながらもソルエネルギーを上手く扱えなかった。

先ほど怪人に囚われた時、ソルエネルギーを流していれば彼女はこのような大怪我を負わずに済んだ。

怪人にも勝てず。ヒーローの力も上手く扱えず。留年した彼女の心はボロボロだった。


それを唯一癒してくれたのは、彼女のルームメイトとであり友のクリスティだった。


しかしそのクリスティも自分より先にノルマを達成してしまう。

ユキナの心は友の幸福に共感し喜ぶ善の感情と、自分より先にノルマを達成しようとしている彼女に対する嫉妬心、負の感情という矛盾した思いがが渦を巻いていた。


「少しの辛抱だよユキナちゃん」


「うん」


 彼女たちは学園に戻る。

ユキナはとりあえず考えるのをやめ、クリスティに身を任せた。

_______________________________


「はぁ」

 ユキナはため息をする。

 その後彼女は学園内に設置されている、病院に訪れ治療を受けていた。

医療ポットで大人しく右腕と左足の骨折の治癒作業をしている時、一人の教師が部屋に入ってきた。


「ベレッタさん具合はどうですか?」


「マトリョシカ先生!」


彼女の名前は、マトリョシカ・バンス。元プロのヒーローで、レゾンデートル学園の教師でもあった。


「少しあなたの将来についてお話ししたいことがあります。」


マトリョシカは近くにあった椅子に座り。真剣な眼差しでユキナを見た。


「あなた、このままヒーローを続けるつもりですか?」


「え?」


マトリョシカはユキナに言った。その内容はユキナ自身気にしていたことだ。

ユキナは卒業に必要な要素、ソルエネルギーの扱い、ノルマ、成績、どれも劣っている・・と。

それはユキナも気づいていること・・・それを教師に当回しに無しに言われて彼女のメンタルは一気に削れ涙目になる。


「・・・・・・」


「あなたはヒーロー適性があるながらも、卒業ノルマである怪人10体討伐は済んでいませんね?それも3年間も・・・これ異常ですよ?」


「すみません・・・」


「こうも成績が悪いと・・・退学したほういいかもしれません。」


マトリョシカは厳しいことを言いながらも彼女を心配していた。このまま在学し続けたら、彼女は命を落とすかもしれない。退学しヒーローから、怪人から身を引いたほうが彼女の為になる。そう考えた。


「退学!?・・それはできません!!」


しかしユキナは退学を考えなかった。

いや、退学できなかった。それには大きな理由がある。マトリョシカもそれを承知の上で言ったのだ。


「えぇ、わかってます。プロのヒーローであるお父様の顔に泥を塗りたくない、その気持ちはわかります。」


彼女の父親はプロのヒーローとして活躍し、大都市の平和を守った伝説のヒーロー『ホワイトマン』だった。

 四年前『怪人大行進事件』と呼ばれる大事件があった。それは五百体の怪人が大都市を襲い、人間を無差別に殺すという悲劇的事件だった。それの大事件を解決したのは彼女の父ホワイトマンだった。五百体の怪人をたった一人で滅ぼし、その後の崩壊した町の中から生存者を全員救出したという伝説的英雄だった。


彼の一人娘であるユキナは、その父に憧れその後を追いヒーロー育成学校『レゾンデートル学園』に通い始めた。やめるわけにはいかなかった。


「でもこのまま また留年となると それこそお父様の顔に泥を塗りますし、このままの実力では怪人に殺されるのも時間の問題です。」


「大丈夫です!いままでだって・・・」


「それは、あなたが運が良かったでけです。でもその運はいつまでも持ちませんよ?」


ユキナはマトリョシカの正論に悔し涙を浮かべる。


「・・・うぅ」


怪人にやられ再起不能になった生徒は強制退学さる。

それは生徒のためでもあり、悪く言えば実力がない者は不要だということなのだ。

ヒーローというのは常に人々を守るだけの、絶対的『力』が必要だ。


今の彼女ではそれが備わっていなかった。


「・・・とは言ったものの、何か原因があるかもしれません。今度あなたのヒーロー適性を調べてもらいなさい。」


「・・・・はい」


ユキナは静かに頷く。


______________________________


一時間程度で治療を終え、完全回復したユキナは学園内の女子寮に戻る。

入り口の前に、部屋着姿のクリスティが居た。


「ユキナちゃん!」


「あぁクリスティ・・・どうしたのそんな格好で?」


「あまりにも帰りが遅かったから・・・何かあったの?」


「・・あ・・・いいえ、何でもないわ」


 ユキナはマトリョシカに言われたことを言おうとしたが言えなかった。

彼女とは一緒にヒーローになるという約束をしていた。


一歳年下で留年してクラスで浮いていたユキナに優しく接してくれた。彼女には恩があった。


学園をやめるかもしれない・・・なんて言ったら、彼女に嫌われる。それだけを避けたかった。

それだけ彼女はユキナにとって大切な存在だった。


「ならよかったけど・・・それよりテレビにあなたのお父さん出ているよ!」


「え?」


クリスティはユキナの手を引き、大広間に向かう。

大広間にある巨大なスクリーンには情報番組が映し出されていた。

『大都市トーキョーシティにてホワイトマン大活躍』

白いヒーローアーマーを装着したユキナの父、ホワイトマンが報道陣のインタビューに答えていた。


『本日トーキョーシティを救ったヒーロー・・・ホワイトマンにインタビューしたいと思います!今回のご活躍大変見事なものでした。』


『ありがとうございます!』


『こうも毎週のように怪人が暴れ出していては貴方も大変でしょう』


『いえ、苦しんでいる人がいるんです、人のため世のため、大変だとはいってられません』


『さすがキングオブヒーロー、今月の人気ヒーローランク一位でしたよ?』


『参ったなそりゃ・・・でもありがとうみんなの声援のおかげで私は戦うことができます。』


「・・・・父さん」


今やヒーローの頂点にいる父に対し、無力な自分に怒りを覚える。


『ここに宣言いたしましょう!ミステットは悪です。人々を襲い 殺し 幸せな日常を破壊する奴らを絶対に許しません!私ホワイトマンは必ずこの世から怪人を撲滅してみせます!』


「あぁ〜〜ホワイトマンさんかっこいいな。私もあんな風になりたいな〜。こんなお父さんを持ててユキナちゃんも幸せだね!」


クリスティはホワイトマンの大ファンだった。


「そう・・・ね」


その喜びに対し、ユキナは暗い表情をする。


「ミステットは悪!絶対に撲滅してみせます!・・・ぁぁあ言ってみたい!」


ホワイトマンのモノマネをしようと低い声でセリフを言う。


「似てないよクリスティ・・・」


あまりにも似てなさすぎてユキナは思わず笑らってしまう。

それを見てクリスティは頬をぷっくりさせ、ユキナの後ろに抱きつき頭をぽかぽかと叩く。


「もー!本当のこと言っちゃいけないんだよー」


「あははは」


「むー」




 ユキナに一つの疑問が生まれる。どうしてクリスティはヒーローになろうとしたのか。

ルームメイトであってもこのことを聞いたことがなかったのだ。


「ねぇクリスティ、何でヒーローになりたいの?」


「あ・・・」


ユキナが質問した瞬間、彼女の顔を暗くなる。

そして首に回していた腕が、ユキナを強く抱きしめる。


「・・・・私ね怪人に両親を殺されたの」


「あ・・・ごめん」


「いいの、両親が私をかばってミステットに殺された。両親の血を見た時、子供だった私もさすがに・・・あぁ殺される・・と思ったよ・・・でも、ヒーロー・・・ホワイトマンが私を助けてくれたの」


「父さんが?」


ユキナはなぜ彼女がヒーローになったか、なぜホワイトマンに憧れていたのか・・・

『ホワイトマンが助けた』その一言で全てがわかった。


「えぇ・・・怪人をあっさり倒して、私に言ったの『弱気になるな・・・強く生きろ』って、あぁ〜カッコイイ!!」


今まで暗い表情だったのが一気に明るくなる、ユキナの体を思いっきり締め上げる。


「ぐがぁあ苦しいよ!」


「・・・だからね?」


クリスティは力を緩め、ユキナの頭を撫でる。


「え?」


「だからユキナちゃんも諦めないで・・・いっしょに卒業しよ?」


ユキナは驚く。まるでユキナの悩みに気づいていたようにユキナを励ました。

そのセリフにユキナは思わず涙目になる。


「ん・・・そうね、そうだわ」


そして決心した。

退学しない、クリスティと一緒に卒業して、プロのヒーローになると。

クリスティの手をぎゅっと握る。


それに応えるように彼女も撫でていたをユキナの手に回す。


「今日は私の9体目記念だしいっしょに寝よ?」


「あはは、何そのれ?」


「いーから!いーから!」




彼女たちは共に夢へ向かうと決意した。



それはもう既に崩壊している夢だと気付かずに・・・・。

_____________________________


「ミステット・・・怪人は悪ですって?」


男は激怒した。


「ふざけるじゃないわよ・・・」


もう、見てられないと言っているようにテレビの電源を落とした。

青い髪にアルビノのような白い肌に少し尖った耳・・・人間にしては変わった容姿をしている彼は、その場を移動し、車庫に向かう。


車庫と言ってもその場所は車が100台容易に駐車できるほど広く車庫というより巨大な倉庫のようだった。しかしその場に車と呼べるものはなく、一機の三輪バイクがポツリと置かれていた。

三輪バイクは前輪に二つ、後輪に一つタイヤがあり、白をベースに青いラインと炎のシールが貼られていた。


「ご主人様・・・用意したよ」


バイクの横に立っていたメイド服の少女がバイクのキーを男に渡す。

メイドの容姿も変わっており、薄紫の髪。耳と頬、手の甲に羽根が生えており、まるでファンタジーの世界の架空の生き物。鳥人間、ハーピーを彷彿させるような現実離れした姿だった。


男はキーを受け取りバイクにまたがる。


「ありがとうネイル」


「地上に行くんだね?」


「えぇ、また極悪怪人が暴れているのよ」


男はキーを挿しエンジンをつける。その音はキィーンと一般のバイクとは異なる、高い音が轟いた。

それの音はジェット機のエンジン音とほぼ同じ音。


「いつも思うんだけど、こういうのはヒーローに任せればいいんじゃないの?」


「怪人の尻拭いは怪人でしないと意味がないのよ」


「わー!ご主人カッケー!惚れちゃいました」


「・・・もっと褒めていいのよ!」


「調子に乗るなよご主人様のくせに」


「ひどい!?ネイルちゃんひどい!?」


メイドは男の言葉を無視し、ポケットからタッチパネルを取り出し。

『ゲート』と描かれているアイコンをタッチする。


すると、男の目の前10m先の空間が歪み、次元を切り裂いた穴が生成される。


「じゃあ行ってくるわ」


「うん、早く帰ってきてフレーム様」


「努力するわ」


ギュィィン!ギュィィン!!


男は着ていた上着を脱ぎ捨て半裸になる。下半身には青いライン入った黒いタイツだけを履いおり。なんとも奇妙な姿をすた彼はエンジン音に耳を傾け意識を集中させる。


「はぁぁ・・・・・・」


すると男の姿はみるみる変化していった。それはこの世とは思えない容姿。

恐怖という言葉を体現したもの


_____怪人の姿に変化した。


「やっぱいつ見ても見惚れるよその姿」


「私は嫌いだけどね」


男はバイクを走らせ、空間の穴に入っていった。






彼女は悲劇を見る。

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