185話
また投稿が遅れてしまいまして申し訳ありません。
しかも何故かとても長くなってしまった為、今回でこのエピソードを終わらせる事も出来ませんでした。
すみませんです。
なお、次回で間違い無くこのエピソードは終わりますが、幾つかの閑話を投稿する予定ですので、本編に入れるのは恐らく来週以降になるかと……。
重ねてお詫びいたします。
「屑ども道を開けろ!」
革の軽鎧を着て外見だけはキマってる五人の騎士もどき達に大声で先制を掛ける。
どうせこいつらは本物の騎士なんかじゃない。
学院が雇ってる衛士崩れか、さもなきゃここに集まってる貴族共の私兵だから、実力も知れてるんだよね。
王太子に付いてる親衛騎士隊とかなら別格だけど、他のほとんどは似たようなモノなので気楽なモンだ。
「ま、待て。罪人が何処へ行くつもりだ!?」
「まだ罪人と決まったワケじゃないだろうっての!」
「ええい、取り押さえろっ。多少の事は構わん!」
間抜けなことを言ってる内にワタシが手前まで走り込むと、騎士もどき共が一斉に剣を抜いて構えた。
超ガックリ。
五人もいるってのに、十二歳の女の子一人相手に剣まで抜かないとダメなのかよ。
どんだけゲロ弱なんでしょうかねぇ。
まあ初めっから殺す気は無いんだし、手加減してやる積りだけどさ。
「ふっ」
間合いに入った途端、最初のヤツが振付けてきた剣先をフェイントでかわして兜のアゴに渾身の肘を食らわす。
その勢いのまま次のヤツの懐に入り込んで剣を避け、ついでに脇にいたヤツのアゴ下に警棒の先を突っ込みつつ、懐に入ったヤツの腹に鎧の上から手の平を食らわして衝撃を内部にぶち込んだ。
これは地精のクーちゃんに教えて貰った魔法力の一部を直接力に差し替えるワザで、鎧を無視してその中に力を通せる。
本気でやるとお腹が破裂しちゃったりして大変だけど、手加減したから死ぬことは無いだろう。
「うわぁ!」
瞬く間に三人ヤられてビビッた残り二人が剣を振り上げたところを、笑いながら姿勢を落として回転ローキックで迎え撃つ。
体格の小さいヤツと超至近距離で戦ってるのに、邪魔なだけの長剣を更に振り上げるなんてホントにしろーとだわ。
呆れながらも転がったバカ二人の頭をつま先で小突いて意識を飛ばし、両手を広げてやってられないポーズまでカマしたワタシはその場でハイヒールの靴を脱いだ。
腕に付けてたストレージ腕輪から革の短ブーツを出して素早くソレと履き替える。
ドレス程度ならどうでもイイけど、やっぱハイヒールで戦うのはツラいもんね。
「キャァー!」
「んん?」
ハイヒールをストレージにナイナイしてると、何やら背後から喚声がして驚く。
チラっと後ろを振り返れば、なんと護衛の人達に囲まれたお姉さま方が全員付いて来てて、とんだりはねたりして凄いはしゃぎっぷりになってますよ!
ちょっとビックリ。
えっと、まさかこのまま付いて来る気じゃ無いですよね?
城から付いて来た騎士さん達の方はいなくなってるようだし、それはちょっとヤバいんじゃないでしょうか。
「まあイイか。ヤバくなったら護衛の人らが担いで逃げるだろう」
お姉さま方には悪いけど、今はそっちまで考えてる余裕は無い。
靴を履き替えたワタシはそのまままた走り出して、パラパラとやって来る騎士もどき共を倒しながら建物の出入口へ出た。
さっき声を拾ったときに大体見当をつけたから、クソ王子がいる方向と距離は判る。
しかし窓から目標の建物に見当を付けて扉を開けると、外は結構な大騒ぎになってた。
「はっははは、弱いぞ貴様らぁ!」
ぶっ!
外に出てみれば、そこは大量の騎士もどき共と見覚えのある人達が戦う何処かの戦場みたいな状況だった。
デカい笑い声はさっきまで一緒してた隊長さんだ。
「ちょちょちょっと! 何やってんですか隊長さん!」
ダッシュで隊長さんのところまで走り寄って抗議の声を上げ、ついでに蹴りで騎士もどき一匹の足をへし折る。
「いやー、ちょっと姫様の露払いをと思いましてなっ。全員で棒持って運動をしている所ですよ!」
「王太子暗殺未遂犯と行動を共にすれば危うくなるのは貴方達ですっ。すぐにてっしゅうして下さい!」
「王陛下がお認めになられたのならいざ知らず、たかがその息子が、それも何の証拠も無く言ったダケの事で王陛下の近衛騎士が動くと御思いですか?」
「うっ……。そう言われちゃうと確かにナンだけど、積極的に暴れちゃったらマズいでしょう?」
「申し訳ありませんが、我々は陛下から『今日一日はアンナ姫の臣下となれ』と下命されております。王命は何よりも優先されますので、例え御相手が王太子殿下であろうとも、我々が姫様に御味方するのは当然なのですよ」
なんだそれ?
騎士もどきをバンバンぶん殴りながら話す隊長さんの言葉に疑問符が湧く。
それって、もしかして王へいかはこうなることを予測してたってことなのかな。
改めて周囲を見回せば、何時の間にやら十人以上の数に増えてた隊長さん達はワタシの周囲を固めるように集まって来てて、倍以上いる上にまだわらわらとやってくる騎士もどき共を圧倒する勢いで戦ってた。
どうやら平服で見覚えの無い人らが増援らしく、彼らはみんな左腕に白い布を巻いて敵と区別がつくようにしてるみたいだ。
ウン。理由までは判らないけれど、こんなの王へいかの仕込みに決まってるわ。
いくら一刻近く時間があったとしても、今の王都でこれ程腕が立つ騎士達を何人もここに集めるなんてムリだもんな。
「しかしコヤツらは全くお話しになりませんなっ。剣を持った者が警棒の我々に易々とヤられるとは、情けないのを通り越して呆れて来ますよ!」
周囲を囲まれたお陰で何だか手持ち無沙汰になって来ちゃった中、ワタシは呆れ顔になりながらも予定を修正した。
剣を持つ相手を殺さずに戦闘不能にするにはかなりの実力差が必要だから、軽口を叩きながら騎士もどき共をどんどん戦闘不能にして行く隊長さん達はガチで強い。
どんなに戦っても疲れない自分なら、クソ王子とその一党だけでなく騎士もどき共も大量にヤれると思ってたけれど、こうなったら隊長さん達にも協力して貰いますかっ。
「判りました! ではワタシはこれからでんかがおられると思しきあの建物に向かいますので、援護をよろしくお願いします!」
「了解です、姫様!」
「うぉぉぉ!」
大声で指示を出しつつ前に出ると、十数人の連中が掛け声も勇ましく新たに参戦してきた。
新手の敵かと身構えたら、中から謎のイケメン風お兄さんがスパッと走り寄って来る。
「御前失礼! 私は王都高等学院、次期生徒会長のオーバンと申しますっ。我々一同もこの事態に対して立ち上がり、姫様に助力させて頂く所存です!」
ええっ!? ここでまた新たな味方のご登場?
「何考えてんのよ!? 幾ら何でも現役の学院生が王太子でんか相手に乱闘騒ぎなんて無茶苦茶じゃないの!」
「我々は卒業後も学院を支配下に置かんとする者達への抗議として立ち上がったのであり、決して某殿下個人に対して暴力を振るわんとするものではありませんっ」
鼻息の荒い会長さんに思わず「バカは止めろ」って感じで答えたら、やたらと正当な物言いを返されちゃってガックリ。
なんだかなー。
クソ王子ってば、卒業した後もまだ学院で色々やってたのかぁ。
そりゃ嫌われて当然だとは思うけど……。
「でもソレって、王太子でんか以外ならどんだけブン殴ってもイイと言ってるように聞こえるよね?」
「御意に御座います、姫様っ」
要はこの機に乗じてクソ王子の手下共をボコボコにしたいワケねと、嫌味込みで言ってやると会長さんは「我が意を得たり」ってな顔でニヤりと笑った。
あーあ。この分だと好き勝手やってたのはクソ王子だけじゃないみたいですな。
そこまで嫌われるなんて、連中は一体どんだけバカ丸出しなことをやってたんでしょうか?
溜め息混じりにチラッと見れば、左腕に白布を巻き、隊伍を組んで盾と棍棒を使う彼らは意外にもガンガンと騎士もどき共をブッ飛ばしてた。
ふんむ。隊長さん達ほどでは無いものの、彼らも結構ヤるようだからこのまま任せちゃいますかね。
「王都騎士学校有志一同、見参!」
「サマル騎士団義勇隊、只今到着!」
「ペルロー騎士団有志中隊、まかりこしました!」
なんてことを考えながら建物を目指して進みつつ戦ってたら、続々と色んな人達が集団でやって来てこっち側に付き、戦闘に参加してきた。
目標の建物を守るように展開し始めた騎士もどき共はかなりの数だけど、もはやこっち側も負けない数になって来ちゃいましたよっ。
どうなってんだ、コレ?
騎士学校の人らはともかく、各地の名前が付いてる連中は地封貴族家の陪臣騎士団だ。
有志とか義勇とか言ってるから組織だった行動では無く、一部の人達なんだろうとは思うものの、そんなヒトらまでが集団で参戦してくるなんて普通なら絶対に有り得ない。
会長さん達が呼んだのか、はたまた別の誰かの仕込みなのか、全く持って見当もつかないわ。
「会長さん! 義勇の人達を呼んだのって誰なの!?」
でもやってくる人達がみんな左腕に白布を巻いてることに気が付いて、会長さんにそのものズバリを訊いてみた。
誰もが隊長さん達や会長さん達と同じことをやってるってことは、絶対話が通ってるのに違いないからね。
「御令嬢の方々です! 一刻前、様々なツテを使って戦闘に自信のある者達を集めると話しておりましたっ」
「がはっ!」
おおっと!
会長さんの答えにビックリして、ちょっと手、じゃなくて足が滑っちゃったよっ。
膝を狙った蹴りがモロに股間に入っちゃった騎士もどきの人が口から泡を吹いて倒れ、周囲の人らが敵味方関係無しにみんな一瞬股間を押さえた。
ご、ごめんね、ワザとじゃ無いんだよ。
例えオネエになっちゃっても強く生きてくれ!
心の中で合掌しつつも次のヤツに突っ掛けると、ソイツは見るからに腰が引けちゃってて、顔面に繰り出したパンチがモロに入って倒れた。
へっ? と思って周りの騎士もどきを見れば、何だか全員がワタシから微妙に距離を取ってやがるんですけど……。
「ハハハッ。例え命があっても男として死んだら後が悲惨ですからな!」
はぁ。左様でございますか。
でも今のうちだと思って、ゲラゲラと笑う隊長さんに前衛を任せたワタシは一旦下がった。
勿論それは会長さんから話が出た、例のお姉さま方を探す為だ。
この状況を作ったのは彼女達なんだから、必ずどこか目立つところで見てると思うんだよね。
そう思って数歩下がって振り返ると、背後はワタシ達からそれなりの距離を置いて、何時の間にか数百人規模の群集で埋まってた。
マジでビックリ。
「なんだアレ!?」
良く良く見れば彼らは一般生徒達みたいで、中には倒れてる騎士もどき共を縛り上げてる人らもいるものの、ほとんどの人達は戦ってるわけじゃなかった。
ただ歓声を上げたりはしゃいだりして、凄く騒いでるだけの見物人って感じだ。
最前列で護衛に囲まれてるお姉さま方を見つけて目をやれば、目が合った仲裁役のお姉さまがウフフと笑ってウインクしてくれた。
「なんだかなー」
軽く手を振って応えながら納得。
お姉さま方はワタシが意識を失ってる間に各方面と連絡を取り、おそらく脱出の為に人数を集めてくれたみたいだ。
百人近い戦える人達もそうだけど、男女の別無い数百人の群集(しかも貴族子弟が主力)はその数だけでも脅威になるから、中に入っちゃえば騎士もどき共だっておいそれとは手が出せないもんな。
「でもさ、これじゃまるでどつき合いのパレードだよ」
ボソッと独り言を呟いて溜め息。
大量の観客を後ろに引き連れ、百人の人間達が隊伍を組んで前へとゆっくり進んで行く様子はまさしくパレードだ。
違いは相手がいて前衛が殴り合ってる(もう向こうにも剣とか振ってる余裕は無いみたい)ところだけど、そんなの観客にはほとんど見えないもんな。
「あーあ」
何だか精神的に疲れて来た気がして、ワタシは大きく溜め息を吐いた。
ついさっき決めた覚悟はなんだったんでしょね。
ホント、まさかクソ王子さまがここまで学院で嫌われてるとは思わなかったわ。
「姫様! どうやらあの者ら、講堂を閉鎖する構えですぞっ」
ちょっと気が抜けてホケッとしてると、隊長さんが大声と共に例の建物を指差した。
ああ、あの建物って講堂だったのか……。
言われて講堂を見れば、もう目と鼻の先に迫ってた玄関前に騎士もどき共がせっせとバリケードを作り始めてて、開いてたデカい両開き扉も片側が閉められるところだった。
おおっと!
これは気を抜いたり疲れたりしてる場合じゃないですよ!
「全員突撃っ、目標講堂玄関!」
瞬時に気合を入れなおし、ワタシはデカい声を張り上げて前に出た。
「おおお! 皆、姫様に続けぇ!」
ワタシが突っ込むと周囲の人達も一斉に突っ込み、どとうの勢いに押された騎士もどき共がバッカバカと倒れまくる。
しかも流れに乗ったこっち側の人達がドンドン前に出ちゃうから、倒れた端からバンバンと踏みまくられてとっても可哀想なことに!
あーあ。コレってマジで重傷者続出だよな。
でもおかげ様であっと言う間に玄関前に着いたワタシは更なる大声を上げた。
「義勇の人達は建物周囲を囲んで下さい! 騎士隊と生徒会はワタシに続け!」
「おうっ!」
もうパレードだろうとなんでもイイや。
それにもしパレードだと言うのなら、先頭のワタシがまず終着点を目指さないとねっ。
「一体何の騒ぎだアン! この期に及んで何をしている!?」
講堂の扉を閉めようとする騎士もどき達を蹴散らして中に入ると、奥から大きな声が響き渡った。
見れば二、三十人の貴族っぽい連中を奥に置いて、軽甲冑に身を包む数人に護られたクソ王子がエラそうな顔でこっちに向かってきてる。
ふーん。
ここまで追い詰められてもまだ俺サマ気取りかよ。
鼻血吹いてブッ倒れてから後悔しても遅いんだぜ?
「黙れウソ吐きヤロウ! おサルさんがお前に一発貰ったお礼をしにきてやったんだよっ」
取り敢えずのお返事をしてこっちも前に出れば、バババッとワタシの背後を隊長さん達が固めた。
おおう。みなさん判ってらっしゃるぅ。
ヨシッ。この勢いで一気に押しまくっちゃうよっ。
「何年も嘘八百を並べまくって人をバカにしやがって。てめえだけは絶対に許さないからな!」
こっちの勢いに押されたのか、顔色を青くして立ち止まったクソ王子にタンカを切りながら詰め寄る。
するとクソ王子の周りを固めてた総勢五人の親衛騎士達が前に出た。
よっしゃあ、きやがれ!
「御無礼御免!」
剣も抜かずに一斉に突っ込んできた親衛騎士達に向け、一瞬半歩下がってフェイントをカマしながら全力で踏み込む。
決め手の警棒を抱えるようにして隠し、超低い体勢からショルダータックルで迎え撃つ反則ワザだ。
自分より強いヤツを相手にするんなら、捨て身で行くのは当然だよね!
「あれ!?」
ところがどっこい。
こっちの一撃が見事にかわされたと思ったら、何故か親衛騎士達はみんなそのままワタシの横をすり抜けて行っちゃった。
すっごくマヌケな体勢になっちゃったのを誤魔化しながら後ろを見れば、彼らは隊長さん達と握手したりハイタッチしたりして、一気に和やかムードになっていらっしゃる。
超絶ガックリ。
今のは一体なんだったんだよ、小芝居かっ!?
「お、お前達!」
何だか身体中から力が抜けそうになってゲッソリしちゃう中、一人になったクソ王子がキョドりながらも大声を上げた。
それが怒りによるものか、はたまたビビりによるものかは判らねど、ぷるぷると震え出しちゃってる姿が哀れを誘う。
お気持ち、よっく判ります!
こんな小芝居、こっちだって予想だにしてなかったんだから、食らった向こうはシャレになんないよな。
「申し訳ありません。我々は『王陛下の騎士』ですので、貴方様のお命をお守りする以外の事には手が出せないのです」
「な、なななんだとぉ!」
「ギャッハハハ! 親衛騎士にまでフラれてやんのっ。ざまあ!」
でも真っ赤になって地団太を踏むクソ王子が面白すぎて、つい指差して笑っちゃうと、それを合図にする様に背後にいた生徒会の人らがババッと奥に突っ込んだ。
おおうっ。
会長さん達ってば、出番が無くなくなりそうになったんで今の内にヤっちゃう積りですね。
「うわぁ!」
「た、たすけ……」
「ごめんなさいごめんなさいぃ!」
あーあ。
余計な事を言って後で不利になるのを避ける為か、一切無言のままでクソ王子の手下共を蹴るなぐーるしまくる会長さん達がコワい。
ホント、一体どんだけのことをやればあそこまで嫌われるのか、後で聞いてみたいくらいだ。
とは言え、会長さん達だけでなく、こっちもさっさと目的を果さないとうやむやにされそうな気配だ。
「そんじゃこっちも始めるとしますかね」
講堂内に響き渡るバカ共の悲鳴をBGMに、適当なことを言ってワタシも警棒を持ってずずいと前に出た。
「ちっ」
その直後、舌打ちと共にインベントリから短銃を引っこ抜いたクソ王子の手に警棒を投げ付ける。
ババンッ!
警棒を食らった護身用と思しき二連の短銃が暴発しながらフッ飛んだのを見て溜め息。
どうせなんかやるとは思ってたけれど、こんなお定まりのテで来るとは思わなかったよな。
ただ……。
「銃まで抜いてくれてありがとうと言っておくよ。お陰でこっちも色々とふっ切れた」
もうとっくに判っていた積りだったけれど、今の今までコイツを殴ることに微妙なためらいがあったのは事実だ。
でもこれでやっと今までの想いにサヨナラ出来る。
結局、コイツにとってのワタシって銃で撃ち殺してもイイ程度の人間だったのだからね。
「グッ。ア、アンッ、お前は婚約者である私に向かって何を!」
「ふざけろクソ王子! てめえとの結婚なんざこっちから願い下げだ!」
言いたいことを喚きながら更に前に出て、クソ王子を間合いに捉える。
死なないように手加減はしてやるけど、歯の五六本は覚悟しろよ?
「っしゃあ!」
「そこまでです、ひぃ様」
しかしクソ王子をブン殴ろうと踏みこんだ瞬間、背後から聞き慣れた声がしてワタシの意識はそこで途切れた。
本日もこの辺で終わりにさせて頂きとう御座います。
読んで頂いた方、有難う御座いました。