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153話


「幾ら大魔山脈でも、朝から魔物は出ないんだねえ」

「そりゃ抜け道って言っても道は道でやすからね。この前みたいな深い森と違って、昼間はそうそうヤバいのは出て来やせんぜ」

「そんなモンなのかな。ゴブくらいは出て来ると思ったのに、ここまで何も無いとヒマだよね」


 朝の山岳裏街道をどうでもいい話をしながら歩く。

 デント村からマンゼールに行くには大街道を一旦戻る必要があるので、面倒臭いから近道を行こうって算段ですよ。

 探知魔法もどきで見ても周囲には魔物どころか人影一つ無いから、山岳路でも時速五マイル(約8km)以上出る騎士歩法で歩けてて嬉しいけれど、昼でも安全度最悪な裏道だと警告されたにも関わらず、一向に何も起きないからマジでヒマだ。


 ちなみに、昨夜はデント村に泊まった。


 店を出た所で、何故か出待ちしてたらしいホリガー氏達に掴まって謝り倒されちゃった事が原因なんだけど、丁度イイからお金を渡して、物資の調達をお願いしてみたら、そのまま支部に泊まってくれって流れになっちゃったんだよね。

 ヒマになった所で自走指揮者に戻り、四人でマルコさんの本題とやらを話し合ったらイイ時間になっちゃったんで結果的に良かったとは言え、物資の調達どころか宿泊費や夕食代もタダで済んだんだから、正にホリガー氏サマサマって感じ。


「そう言えば、大量の武器弾薬を受け取っておられましたが質の方は大丈夫だったのですか?」

「大丈夫どころか、絶対に足が出捲くりって内容だったよ。ちょっと恐縮しちゃうレベル」


 レティの問いにお手上げってポーズを決めながら苦笑すると、ロベールさんが笑った。


「そりゃー、姫サンに恥を掻かせちまったんだから、向こうとしちゃ詫び料込みって所でしょう。当然でやすよ」

「泊まりの世話にまでなってるのに? だとしたら随分と豪気な話だねぇ」

「ホリガー氏はデント村を差配してるぬしなのですから、その程度の事はして頂かないと」


 こっちは申し訳無さで一杯なのに、レティまでロベールさんに追従して来ちゃって、ちょっと溜め息。

 だって物資調達の支払いに使ったのは、扱いに困ってた実母サマの旧聖王国大金貨ですよ?

 改めて確認したら二十五枚毎に変わった帯封まで付いてるし、どう考えてもヤバいブツを押し付けたって感じだから、ホリガー氏には本当に申し訳ない気持ちで一杯になっちゃうわ。


 やってられないポーズで盛大に溜め息を吐いてやると、流石にこっちの気分を察したのか、レティのヤツはロベールさんに寄って二人で何やら話し始めたので、ワタシは再度受け取り品目のリストをインベントリから出して眺めた。

 判ってたとは言え、こうして改めて見ると凄い量だ。

 大金貨二十五枚って言えば大金だけど、これほどの質と量を短期間で揃えるなんてヘタすると倍額近く掛かってるんじゃないのかね。

 五本のロングソードに始まって、百を超える鉄槍、バカみたいな量の投げナイフ、皮鎧の保守部品から大量の各種素材製品まで、全てがこっちの要求基準以上の質で、量までがほぼ五割増しなんだからシャレにならない。


 しかし目下最大の問題は、研究内容とかがバレるのがイヤなので、これらのブツを全部、それぞれの質を確認したら直ぐにストレージもどきに一緒くたで突っ込んじゃったって事だ。


 剣やナイフ、それに鉄礫は一定量インベントリ内で即応体制に使う積りだし、残りは無論各種ストレージに分けて整理する必要がある。

 更に大量の素材製品は、幾つもある各種研究用や開発・製造用のストレージに振り分けなきゃならない。

 これを後でやらなきゃいけないと思うと、真剣に疲れちゃうよ。

 あー頭が痛い。


「そうそう、昨日のウナジューは最高でやしたねぇ。夜に食った晩飯も忘れられねえ味でしたし、まさかライス料理にあんな別次元のブツがあるとは思いやせんでしたぜ」

「わたくしも昨日の一連の料理は初めての物が多かったので感動致しました。こう申すのもナンで御座いますが、ひぃ様の御執心に御付き合いして正解で御座いましたね」


 ぬう。こっちは物資の分別に頭を悩ませてるってのに、気が付けばレティとロベールさんは暢気に食い物の話なんかで盛り上がってますよ。

 そう言えば改宗者の熱狂とでも言うのか、例のウナジューからこっち、レティもロベールさんもやたらとライス料理を褒め称えてて気持ちが悪いんだよね。 確かにウナジューはとっても美味しかったけど、ヤツらがそこまで感動するとは思わなかったわ。


「そう言えばさ、ロベールさんってフェリクスおっさんとマルコさんの話って知ってたの?」


 放っておくとまたライス料理の話に付き合わされてヘンにお腹が減っちゃうので、リストを仕舞いながら新たな話題を振ってみると、クルッと振り向いたロベールさんが速攻で食い付いて来た。


「アッシが言うのもナンなんですが、閣下とマルコ殿の話は有名なアンタッチャブルでやしたから、姫サンのお陰で漸く決着がつくってモンです」

「やっぱ、部隊の中じゃ誰でも知ってるジレジレな二人って感じだったんだ?」

「そりゃーそうでやすよ。それ所か第一軍じゃ知らない者はいないって言われる程有名でやしたね。軍隊なんて所じゃ、ああ言うのを見るのはイイ気休めになりやすから、わざわざ他所から見に来るバカまで居たくらいでして」


 振り向きながら身振り手振りまで動員して喋るロベールさんにホッと一息。ついでにやっぱそうだったのかーと納得。


 三ヶ国の爵位を持ってる様な、ある意味超絶有望株のおっさんに女の影が無いのはとっても不思議に感じてたから、これで本当に謎が解けたってモンだ。

 例え元下級士族って言っても、あんな官位まで登っちゃえば普通は周囲が放っておかないし、ちょっとした夜会とかでも肉食系のお姉さんが特攻掛け捲りになっておかしくないんだから、身の回りの御世話をする女性すら一人も居ないってのは「おかしい」を通り越して怪談レベルだもんね。


「その様なお話で、良く肩入れをされようと思われましたねぇ」


 ふむふむと納得しながらロベールさんの話を聞いてると、呆れ顔で嘴を突っ込んで来たレティを「当たり前でしょ」って感じで笑う。


「ワタシは基本的に女の子の味方だし、マルコさんもイヤなヤツってワケじゃ無いからね。それに今までの事を考えると、どうも現状のランスじゃゴットリープ商会の立ち位置が怪しいみたいだから、そっちの側面支援ってのもあるかな」


 マルコさんとフェリクスおっさんの間がどうなって行くかは置いとくとしても、様々な事があったせいで新規巻き直しって感じになっちゃった今のランスでは、さしものG商会もゼロに近い所から新たな立ち位置を模索して行くしかない筈だ。

 そんな状況にあって、名目では無い実際の軍権を持つ人物に直接パイプを作れれば、件の遅々として進まなかった開発もやり易くなるってモノだからね。

 巧くやれば、今までの様に総裁殿下とかを通して色々やるより、ずっとマシな状況だって作れるんじゃないのかな。


「一石二鳥で御座いますか。ひぃ様は本当に変わられましたね。前は御自分の事しか考えておられない所が多かったと思うのですが」

「うーん。自分的には変わってないと思うんだけど、確かに抑え付ける物が無くなったせいか、出奔後は見える範囲が広がった気はするね」


 何だか訝しげな目付きになったレティが疲れる様な事を言って来たので、片手を振りながら答える。

 まあ自分でも最近は「ちょっと頭が良くなったんじゃ?」と思って喜んじゃうくらいなんだから、ヤツの言いたい事も解るんだけど、別に極端に思考能力が上がったってワケじゃ無い。

 以前なら後になって気が付いた様な事がその場で理解出来る様になったって程度だから、ズバリこれって所謂人間的な成長ってヤツだと思うんだよね。


 それでなくても今のワタシはモロに成長期だ。


 世の中では「人間三日会わずんば刮目して見よ」って言うし、幾ら脳筋女子のワタシだって何時までも子供のままで居る筈は無いってのに、言うに事欠いて「変わった」なんて言い方はないでしょうよ。

 普通は「成長した」って言うのが当たり前なんじゃないの?


「おっさんの妙な護り方に腹が立ったってのもあるんだよね。奴隷売買組織殲滅騒動で殺し屋とかが跳梁跋扈してたランスにだって、マルコさんを呼んだのはほとんど全てが終わってからでしょ? そんなコトしてるクセに当の本人には何も言って無いみたいだしさぁ」


 まあレティの言い方に一々目くじら立てても疲れるだけだし、丁度良い機会なのでマルコさんとの話の時にちょっとムカっと来た事に話題に変えてみる。

 何故かワタシは全く襲われなかったものの、あのアルマスのオネエですら自分が用意したもの以外は口に入れて無かったんだから、確かにあの時のランス城内では相当な暗闘が繰り広げられてた筈なんだよね。


 でもマルコさんは生粋の討伐騎士で討伐士協会の佐官軍人なんだよ?


 協会にとって一大事が進行してる状態の時にそんなヒトを部隊ごとランスから離れた地で待たせるとか、幾ら何でもムチャが過ぎるだろうって思う。

 そんな形で護ったりしたら、本人的にも立つ瀬が無くなっちゃうと思うし、何よりそこまで露骨な事をしてるのに全然それらしい態度を見せてないとなったら、それはもう(おっさんを想う)女の子にとっては精神的な拷問に近いわ。


「マルコ殿は生粋の討伐軍人とお見受けしましたから、そのテの攻撃には弱いと考えるのが普通で御座いましょう。フェリクス殿とて旅団の頭脳をあの時点でのランスに呼ぶ程間抜けでは無かったと言う事では?」

「最初の話の時はハイドラ討伐だったんだから、旅団の幕僚達は呼んで当然でしょ。それなのに置いて来たって事はそう言う事じゃないの」

「言われてみればそうで御座いましたね。しかし、普通そう言った形で好意を寄せられれば、誰でも気が付くモノではないでしょうか」

「だーかーらー、そう言うのって普通の女には絶対伝わらないでしょっ」


 賛意を求めたってのに、逆にしらけた感じになっちゃったレティにググッと握り拳して力説!


 大体さー、そんな遠間から見守る様な護り方をするなら、もっと色々とフォローとかあるでしょって言うんだよ。

 何も抱き寄せて砂糖菓子みたいな台詞を耳元で囁けとは言わないけれど、せめてソレっぽい事を仄めかすとか、やり方なんて山程あると思うんだよね。

 なのに全く何もしないから、マルコさんは脳内で勝手にワタシとおっさんをカップリングして逃げを打ってたし、罪作りとか言う次元じゃないと思う。


「わたくしでしたら、とっくの昔に勝負を賭けておる様なお話ですので、その様な事を言われましても……」


 フンスっと鼻息も荒く主張すると、レティが「やれやれ」って感じで両手を上げた。

 ああ、そう言えばコイツってそう言う女だったわ。

 一度喰うと決めたら何処までもって感じの超肉食系女だもんな。


「中途半端にリアルが充実してらっしゃる連中なんてそう言うモンなんだよ。なまじっか何時も必然で近くに居るから、そんな関係が中々壊せないって言うのかな。まあアンタには理解出来無いかも知れないけどさ」

「面倒臭いお話ですねぇ。世の中の男女の出会いなど一期一会、コレと思わば一気に前に出るのが当然だと思いますが」


 案の定「何ソレ、食えんの?」って顔で返したレティにちょっと疲れて、ワタシはビシッとヤツを指差した。


「まあそりゃアンタならそう言うよねっ。でもそこまで超積極的なのって、それこそ父なし子をホイホイ産んじゃいそうで別の意味でイヤなんだけど!」

「自らの想いと行動の結果なのですから別に良いではありませんか。手元で育てるのが難しければ何処かに預ける手も御座いますし、その位の蓄えなら常に持っております」

「アンタみたいな女が多いから、世に御落胤だの私生児だのってのが絶えないんじゃないのっ?」

「ひぃ様は大抵の事はドライなクセに、妙な所で夢見がちな御性格で御座いますからねぇ」

「夢見がちで悪かったねっ。伯爵サマなら結婚だの出産だのなんて義務だけど、出奔しちゃった今のワタシは自由なんだから、ちょっとくらい夢見たってイイじゃんか!」


 指差しまでカマして捲くし立てたってのに、言い合いはどうやらレティの方が一枚上手だったらしい。

 ヤツの嫌ぁな一言が強烈なフックの様にお腹に炸裂したワタシは、攻撃的な言い訳を大声で捲くし立てながらもゲンナリとなった。

 なんたってついこの前までは「ソレ」で各方面から攻められ捲くってたから、こっちにとってそのテの話はモロにトラウマっぽい話なんだよね。

 御親戚筋の王族の方々なんて「未だにアンナ様の御婚約相手が決まっていないのは、何か異常でもおありなのでは無いのか」なんて平気で言い出してたくらいだし、頼みの家中の連中ですら「いい加減に御婚約程度は決めて頂かないと」とかってせっついて来てたもんな。

 そりゃ父親が殿下の称号持ってる様な大貴族家の総領姫なんだから、仮成人も過ぎたってのにまともに婚約すらしてないってのが問題なのは判るけど、毎日の様にソレで責められるこっちの身にもなって欲しいわ。


「イイんじゃないでやすかねえ。普通に考えりゃ、姫サンの御歳でそのテにドライな考えを持ってる方がヘンってもんですぜ」


 しかし敗色濃厚って感じだった所に、それまで女の言い争いなんて勘弁って雰囲気で見守ってたロベールさんが切り込む様に加勢してくれて、場は一気にこちら有利に変わった。


 ウンウン! 流石ロベールさんは解ってるよねっ。


「どうだね、コレが世の中一般の見解ってヤツだよ、レティ君!」


 ロベールさんにウィンクで御礼をしてから、ハハハと笑いながら腕を組んで勝ったアピールでレティを見れば、ヤツはやってらんないポーズをしながら渋い顔で苦笑した。


「嫁き遅れて中年女になってから悔やんでも知りませ……ひぃ様!」


 レティの言葉が終わらない内に、不意に襲って来たクロスボウの矢をホホイと避けながら、余裕の欠伸をして二人に無事をアピール。

 とか言いつつ、さっきから探知魔法もどきに山賊っぽい連中が待ち伏せしてるのは見えてたから、別に不意でも何でも無いんだよね。

 ただちょっと仕掛けて来るのが早過ぎたから、二人に注意してるヒマが無かっただけだ。


「ヤロウッ、生かしちゃ帰さねえ!」


 凶悪な捨てゼリフと共に一瞬でダッシュで前に出そうになったロベールさんを片手で制し、ワタシはストレージもどきから目の前に一本の大木を出してバリケード代わりにしながら連発銃を抜いた。

 一.五倍で思考加速魔法を起動すると、レティやロベールさんも後に続いて同じ加速状態になる。

 ほぼ百ヤード(約90m)先に固まる敵の山賊は探知魔法もどきで見る限り約四十人。

 木の上と違って、どれ程落差があっても地の上にいる連中は探知魔法もどきから逃れられないんで、まず間違いの無い数だろうと思う。

 普通ならたった三人で相手になる数じゃないけれど、今のワタシ達をこの程度の数の雑魚が襲っても返り討ちは必須だから気楽なモンだ。


 って言うか、クロスボウをこの距離で先制に使うなんてマジで素人なんじゃないの?


 幾ら二十フィート(約6m)近い崖っぽい上からの撃ち下ろしって言っても、普通この距離なら銃か長弓ロングボウだろうに。


「レティは崖を登ったら裏に回って一人も逃がさない様にして。ロベールさんは多分三人程討伐騎士が居るんでその相手ね。後はワタシが囮をやりながらヤるから」

「了解致しました」「了解ですぜっ」


 心の中で溜め息を吐きつつ指示を出すと、即座に動き出した二人を横目に、わらわらと崖を降りて来た山賊どもの内、先ずは飛び道具を持ってるヤツらを連射でバンバン地獄に送って行く。

 この距離ならワタシは楽勝で頭を狙えるからラクなモンだし、ガンガンと仲間をヤられて驚いてる山賊共のヘイトも十分以上に稼げるだろう。

 もっとも、見た目一番弱いのはワタシだから、此処で頑張ってれば何もしなくても、連中はこっちに集中して来ると思うけどね。


「おりゃぁぁぁ!」


 はれ?

 折角こっちがヘイトを稼ぎ捲くってるってのに、ロベールさんがデカい声を張り上げて真正面から突っ込んじゃってアセる。


 ちょっとちょっと、ロベールさんってばどう言う積りなの?


 と思ったのも束の間、不思議な足捌きで高速移動する独特の動きに思わず見入っちゃって、ちょっと驚く。

 見入ってる場合じゃ無いとは思うけど、あんなの初めて見たから凄く気になるんですよ。

 もしかしたらアレって、思考加速が出来無いヤツから見れば一気に分裂して襲い掛かった来たみたいに見えるんじゃないのかな。


 ってマジでそんなバヤイじゃ無いわ。


 案の定、銃を持ってる連中が突っ込んで来たロベールさんにアセって、狙いをこっちから向こうに変え始めた。

 ヤバいと思って即座に思考を切り替え、銃を持った連中にバンバンとヘッドショットをカマしてフォローに掛かると、ロベールさんの動きがそれに答える様にやや直線的になって苦笑い。


 うん、これじゃ役回りが全く逆だね。


 こっちが囮になるって言ったのをロベールさんが簡単に納得したのは、こう言う算段があったからなのかなぁ。

 完全にしてやられたなと思いつつ、三人分で貰った三丁の連発銃をとっ替えひっ替えインベントリに突っ込んで、インベントリ内操作で実包をリロードしながら撃ち捲くってる(勿論牽制弾とか色々あるから撃てば必ずヤれるわけじゃ無い)と、それなりに仲間を盾にしたりして生き残ってた討伐騎士っぽい連中の中にロベールさんが斬り込んだ。


 手銃?


 暗器の様に小さな手銃を抜いたロベールさんが擦り抜けざまに次々と、討伐騎士と思しきヤツらの頭に弾丸をブチ込んでるのを見てビックリ!


「お、おっかなぁーい」


 つい声も出ちゃうわ。

 あれが例え黒煙火薬ブラックのペッパーボックス(連発式手銃の一種)でも、あんな至近距離で頭に食らったら討伐騎士だって即死確実だ。

 剣を抜いて突っ込んだのに攻撃手段が手銃なんて、えげつないにも程がある。


 あんなのイヤって位に乱戦慣れしてないと出来無い芸当だよなぁ。


 そうこうしてる内に、ロベールさんが突っ込んだ上にレティによって逃げ道を断たれた山賊共はあっと言う間に全滅状態になっちゃった。

 この間たったの五分弱ですよ。人殺しの強盗でメシを食ってる様な連中は全員地獄に叩き落すのが基本だからナンとも思わないけれど、こう弱っちいとなんか申し訳なくなって来るわ。


「でもこの大量の死体処理をするのって間違い無くワタシだよね……」


 空薬莢を集めてくれてたクーちゃんにお礼を言ってそれらを受け取ると、ワタシは後始末の事を思って独り言を呟きながらゲンナリとなった。



今宵もこの辺で終わりにさせて頂きとう御座います。

読んで頂いた方、有難う御座いました。


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