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鉄血の王と冷血な姫  作者: 竹輪の穴
彼と彼女の願い。
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吸血者と記憶喪失

首筋からどんどん血が拔かれていく。


献血の経験もろくに無いので、血をこんなに拔かれたことは人生初だ!



・・・これ、ヤバイんじゃ。


「離して下さい・・・!」


反応はない。血が失われていく感覚が続く。



力を込めて、レイスの口を開こうとする。


こうなったら・・・


「インパクト!」


『武技』を放つ。

インパクトは衝撃。対象に衝撃を与える事の出来る『武技』だ。

使い慣れたもので、通常、タメが必要なのだが僕は即座に放てる。



「カハッ・・・!」



王女は武技を受けてもダメージは無さそうだが、堪え切れず僕の肩から口を離した。



「何をする!痛いではないか!!わらわは今食事をして!・・・どこかで見たような顔ではあるが・・・・う・・・」


ダメージが伝わってきたのか、しゃがみ込む王女レイス。



「この音はなに?!敵なの?!」

「何事だ!」

「お姉様!」


リシア、アルベルト、ルイーゼの順に飛び込んで来た。



「誰じゃ?貴様の仲間か?」



「ルイーゼさん、アルベルトさん、リシア。どうやら王女レイスは何らかの呪いか、混乱か、操られているかもしれません・・・!」



「お姉様に呪い?!」

「何だって?!」



「えぇ、吸血をされました。この世界にももし、吸血する呪いがあり人に移るものだったなら・・・」


「あ、いえ、それは多分呪いではないですわ。」


「え・・・?」


「私達、ロゼッタ王国の多くの者は吸血をすることで、他者から力を奪えるのです。王家はその力が強く、吸血者の能力を全て使えます。」


「・・・・・え?」


「あなたの世界には、吸血者はいないのですか?」


「ちなみに俺も王家ではないが、近い血筋でな、吸血はしないが、パワードレインは出来る。」



ロゼッタ王国は吸血鬼に支配、いや、統治された国だった!

吸血鬼ってモンスターだもんな。理性があって、世界に認知されてれば吸血する能力のある人なのか。


「我が国には王家以外にも吸血者は多くいますし、一般的ではあるんですが・・・」



僕はルイーゼさんに尋ねる。


「じゃあ、目の前のあの状況は?」



目の前には、息を切らしながら、こちらを睨みつけている王女レイスがいる。


「恐らくは混乱じゃないかと・・・」


「気絶させても?」


「・・・やむを得ません。」


「ルイーゼちゃん?!いいのかよ!」


「おじ様もご存知な筈、お姉様は私達王家の中でも非常に強い能力を持っていると。」


言葉につまるアルベルトさん。


「じゃあ、いきます。・・・リシア!」


「え、あたし?!あんたやればいいじゃない!」


蚊帳の外でボーッとしていたリシアにやらせる事にした。


「頼むよ、僕は君がいない困るんだ。助けてくれないか?」


「・・・しょうが無いわね。」


この妖精リシアは頼られると弱いタイプな事など僕はこの短時間ですでに熟知している!


「ていっ♪」


首が吹き飛んだらどうしよう。と思ったが、そんなことは無く

睨み付けていた瞳を閉じぐっすりと眠り始める王女レイス。


改めて見ると、凄いプロポーションと美貌だな。

痩せ型なのに胸部はとんでもないボリュームで、瞳も、さっきは赤くて恐ろしかったけど、冗談みたいに大きい。髪もツヤツヤのプラチナブロンド。

横たわる王女レイスを前に僕はマジマジと眺めてしまう。



「お姉様は一体どうしたというのでしょう?」


気付くと隣にルイーゼさんがいた。


「坊主、今エロいこと考えてなかったろうな?」


逆側にはアルベルトさんがいた。

かかか考えてないですよ!うまく誤魔化せたはずだ。



「それで、この王女様、別の部屋で寝かせてあげたほうがいいんじゃないの?」

リシアがルイーゼさんとアルベルトさんに向けて言う。


「それも、そうだな。俺が運ぼう。」


ヒョイっとレイスを持ち上げて、移動するアルベルトさん。僕達もそれに続く。



医療室へと移動した僕達は、ベットに横たわるレイスで傍らで見守る。


「そういえば、名前をまだ聞いていなかったな。」

「そういえば、お聞きしてませんでしたね。」

「あんた、名前なんだっけ?」


同じタイミングで三者三様で問いかけてくる。


「そうでしたね、僕の名前は」



「ガハッ・・・・ゼェゼェ・・・おや?さっきの者共ではないか。わらわの寝室で何をしておる?」


やはり何かを様子がおかしくないか?

記憶が混乱しているとは違うような印象だ。


「お姉様、レイスお姉様!私です、ルイーゼです!よくぞご無事で・・・!」


「レイスちゃんよー、よく、生き返ってくれた。俺は、これからどうしたらいいかと・・・」


涙ながらに言葉を告げる2人。

だが、当のレイスは困惑しているようにみえる。



「あなたの名前は?王女様。」


リシアが王女レイスに尋ねる。


「そうじゃな、どうやら別の人と勘違いしているようじゃしの・・・わらわは・・・誰じゃ。」



「ふー・・・典型的な意識の混乱ね。」


リシアは言う。


「今はどんな状況か分かりかねるけど、少なくとも放っておくしかないわね。」


「しょうが、ありませんね。」


レイスの方を向き、ルイーゼさんは尋ねる。



「お姉様、お体の具合は?」


「ああ、体は何も違和感はない。」



僕の方を向き直ると、ルイーゼさんは続ける。



「すみませんが、お姉様を匿って頂けないでしょうか?」



「はい?」


その時


《王女を連れてゴブリン軍を殲滅しに行け》


と追加の指令が出てきた。



「はい、わかりました。」


ルイーゼさんに僕は即決した。



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