女神の言伝と目覚めの儀式
「人・・・?!王女は、人を召喚したというのか?!」
「えぇ、お姉様は、、いえ王女は召喚の義を成功させました。そして、この世の理とは離れた者の様です。」
「ルイーゼ様、それはどういう・・・?」
「彼は日本という国から召喚されたそうです。」
「日本・・・?古代に召喚された人も日本という国からの使者だったか?」
「石の古文書の事ですね?いいえ、アルベルト様、古文書には記載されておりません。口頭で受け継がれているもので、言葉は通じるが衣服や考え方の違う人が現れたとのものがありますが」
「あのー・・・?」
「そうか、それにしても人の召喚なんて聞いたことが無い。どれだけの才能を持っているんだ、レイスは。」
「そうですわ、おじ様。お姉様は清く正しく美しく賢く強いのですわ。」
そういうと、ルイーゼは大きな瞳からまた涙を零す。
「泣かないでくれ、ルイーゼちゃん。俺まで泣けてきちまう・・・」
「あのー・・・・・?」
自分を置いて、涙を流す2人。「ルイーゼ」さんは、「レイス」の妹だという。「アルベルト」さんは大将軍って聞いていたけど、二人の家族みたいなものなんだろうか?
それにしても
「なぁ、小さくなれたんだな?」
「何、私を呼んだの?ダメよ、名前を読んでくれなきゃ。妖精は名前を呼ばれなきゃ力を失うんだから。」
「そうか、それはすまなかった。それでミハエル、小さくなれたんだな?」
「・・・リシアよ。」
「すまない、シューマッハ。」
「リシアだって!耳が腐ってるんじゃないの?!」
「わかった、わかった。すまない、リシア。妖精に助けを呼ぶなら妖精に助けを要請しなければなんだね?」
「えぇ、そうね。そんな感じよ。」
「妖精に助けを要請・・・」
「だからそうだって。」
この世界には駄洒落がないんだろうか。
「まぁいいや。妖精リシアよ。目の前の二人を落ち着かせてもらっていい?」
「あいあいさー♪」
その返事はあるんだ?!
リシアから柔らかな光が出たと思ったら、部屋の雰囲気が柔らかくなった。
「これも妖精魔法?」
「そうよ。これが本来の多くの妖精が使う妖精魔法。」
「そっか。(やっぱりこの子は変だったんだ)」
「そうよ(私のオリジナル妖精魔法の素晴らしさがわかったかしら?)」
「えーっと、「ルイーゼ」さんに「アルベルト」さん。聞いてください。」
「女神から言伝があります。」
「女神・・・?」
二人は声を合わせていう。
「そう、女神です。」
僕は続ける。
「僕は女神に喚ばれて、この世界へ来ました。」
何かを言おうとした、ルイーゼをアルベルトが止める。
「して?女神からのお言葉とはどんな内容なのですかな?」
僕は思わず苦笑してしまった。
「あまり警戒しないで頂けると助かります。僕が言われたのは・・・」
「愛しき我が世界の子らよ、最近はお告げもしていなかったのに、異世界の人づてに伝えてゴメンね☆」
随分と軽いが、この口調じゃないと加護のレベルを落とすと言われてしまったのでしょうがない。
「目の前にいる少年は、本当に異世界の者だから安心してね!ホントだよ!絶対ホント!」
「それに、この少年に任せれば王女は問題は無いわ!」
「え、勝手にそんな事言われてもって?大丈夫大丈夫!貴方は彼女を助けるわ!」
「だから、目の前の少年に助けを求めなさい。我が子らよ。」
「だ、そうです。出来れば信じて頂けると助かります。」
アルベルトが、ルイーゼに視線を向ける。
ルイーゼは、
ルイーゼは後光を背に、満面の笑顔を浮かべていた。
「おじ様、大丈夫です!この方は本物です!!」
「最初にお見かけした時は、お姉様の事に気を取られていましたが、この方の持つ魔力はとても美味しそうです!」
「・・・え?」
驚いたのは俺だ。美味しそうって、リシアがさっき言っていたような・・・?
「こらこら、ルイーゼちゃん。それでは俺には分からないぜ?」
「あ、すみません。おじ様!この方は嘘を申しておりません。そして、先程の女神様からのお言葉には神聖な力を感じました。」
「ロゼッタ誇る聖女の中でも1番の力を持つルイーゼちゃんが言うなら、間違いないか。」
どうやら納得してもらえたようだ。
でも、美味しいってなんだ・・・?女神の力の事か?
アルベルトさんが僕に向き合って言う
「えーっとだな、少年。君の事を信じよう。こちらにいる方は『ルイーゼ・エクスマキナ・クイーンブレイド』というこの国の第二王女で『聖女』だ。彼女が君の身元を認めた以上、この国でそれ否定できるのは、そこに、、、お眠りになられている、、王女『レイス・エクスマキナ・クイーンブレイド』様のみなのだから。」
レイスに気が向いた瞬間に、涙声になるアルベルトさん。
「君が、王女を、、レイスを助けられるのなら、頼む!レイスを助けてくれ!お願いだ!」
僕のような子供といっていい年齢の人物に涙ながらに頭を下げる、おじさんは周りから見たらどう見えるんだろう・・・
なんて思いながらふとルイーゼを見ると
「にこっ」
先程の後光を差しながらの満面の笑みを向けられた!!
まずい!心臓が破られる!
さすが聖女!!笑顔の破壊力が桁違いだ!
「大丈夫ですよ、おじ様。女神の使者様が何とかして下さいます。」
聖女が信頼してくれている!
ポーカーフェイスよ崩れるな!
「聖女様、任せてください。ただ、その為に、お二人共少し席を外してもらえますか?」
「なぜですかな使者殿。」
アルベルトさんが、警戒しながらそう言ってくる。
「それは言えないのです。お願いします、僕を信じて下さい。」
「僕は、必ず彼女を助けます。」
「わかった。」
少しの逡巡の後に、アルベルトさんは答え、部屋を出て行った。
「それでは、お姉様お願いします、使者様。」
優雅に頭を下げながら、ルイーゼが部屋を去る。
「リシア君もだ。」
「え?!私達はもう一蓮托生でしょう!!」
「出会って1日じゃないか・・・」
「もう、わかったわよーう。」
大人しく部屋を出るリシア。
扉が閉まる前に「というか妖精じゃないか?!」というアルベルトさんの声が聞こえた気がする。
さて、やるか。
僕は部屋レイスと二人残されて、彼女に近づいた。
彼女の顔を見つめる。すると、自然と眼から涙が溢れる。
「涙・・・?なんで・・?それに、なんで止まらないんだ・・・?」
悼んではいるが、涙がこんなに止まらないほどではない。
何より、彼女の事を僕は知らない。
女神が僕を喚んで、どこに飛ばすか迷っているときに、丁度よく召喚の義をしていた所に捩じ込むから☆と言っていただけな筈だ。
ただ、酷く愛おしい気持ちが胸を埋め尽くす。
これが女神の言っていたことか?
そして、彼女の唇に僕の唇を重ねた。
《ロゼッタ王国の王女、レイス・エクスマキナ・クイーンブレイド唇を奪え》の指令をクリアしました!
頭の中に女神からのメッセージ浮かぶ。
「貢献度上がった!」
「聖女との信頼が上がった!」
「聖騎士との信頼が上がった!」
「初キスを失った!」
最後は余計だ。別に守っては無かった。
「称号《吸血の証》を手に入れた!」
吸血の証?っ何だ?
キスをしたらみんな貰えるのか?
更に《生き残れ。》と次の指令が浮かんだ。
生き残れ・・・?
カっと眼を見開いたレイス。
ただ、眼が尋常じゃない。赤い。
まるで血のように・・・
ガプッ
気付いたら、僕は首筋に噛み付かれていた。
吸血の証・・・もしかして
王女様は吸血鬼ですか?




