大将軍アルベルトとルイーゼ姫
ロゼッタ王国の首都を襲った、ゴブリン軍は抵抗の後にすべてのゴブリン首が消し飛び勝利した。
ロゼッタ王国の将軍の軍務室では息を荒げながら、老齢の人間がこの一報を受けて首を傾げた。
彼は本隊を指揮していたが、ゴブリン襲撃の一報を聞き、急ぎ戻ってきたのだ。しかし、戻った時に目にしたのは首を失い絶命しているゴブリン。
更に今の報告によると大多数のゴブリンが同じ様に首を失ったという。
敵相手とはいえ残虐な手法だが王女の魔法か・・・?
「アルベルト様、よく戻って頂けました。」
「とんでもない。間に合ったようで良かった。・・・何かありましたかの?」
目の前にいるのは、レイス王女の妹君、ルイーゼ。
彼女の眼から大粒な涙が溢れているのを見て、心優しいルイーゼ様が民を悼んで泣いておられると、思った。
「王女が」
しかし、その後にもたらされた話にアルベルトは絶句する。
「王女が死んだだと・・・?」
ロゼッタ王国王女、レイス・エクスマキナ・クイーンブブレイドの死は、国政の中心にいた者のみが知っており徹底的に隠された。
そして宰相の死後、人材の育ちきっていないこの国では
経験と良識がある大将軍が王女の下につき半ば軍政となる形をとっていた。
アルベルトは、国内の治安維持と、都市環境の整備を主にしている。
他にも、冒険者ギルドとの交流など細々したこともしているが、それは割愛。
その中でもこの国の警察的立場である治安維持を主としている点からして、ゴブリン本隊との戦場予定地へ向かう進軍から引き返し、急ぎ舞い戻って来た。
そんな彼は、王女に対して、孫を見るような思いが少なからずある為
「そんな・・・」
王女の遺体が安置されている「眠りの間」へと足を踏み入れた瞬間、とても立ってはいられず、足から崩れ落ちた。
「すまん・・・・・・俺は、お前の孫を守る事が出来なかった・・・・」
部屋の中央には、純白のドレスを着たまま、眠るように横たわる王女レイスがいた。
「お前の孫はお前によく似て美しかった・・・それなのに、こんなになってしまって・・・・」
外傷はない。ただ命の火が消えているため、元々白かった、レイスの肌は更に白さを増している。
「アルベルト様・・・」
アルベルトに王女の死を告げた、ルイーゼは普段の気丈なアルベルトを知っているため、言うのを躊躇ったが
「アルベルト様。ご報告したいことが御座います。王女が「お眠り」になっている理由は、召喚の儀をおこなった為です。」
「召喚の義・・・・だと。ルイーゼ様、それは、誠ですか・・・」
「はい。王女がお倒れになられた場所には召喚の義の為の魔法陣が描かれておりました。」
「なぜ、早まった真似を・・・」
アルベルトの知識の中には、召喚の義に挑んだ者の中には命を落としたものが少なからずいるというものがあった。
「そして、、、。」
控えていたメイド長へ命じて、誰かを呼ぶルイーゼ。
「この者が、王女が召喚した者です。」
「・・・どうも。」
肩に小さな妖精を連れた不思議な格好の少年が立っていた。




