眼鏡のオーレンさん
「私は、旅の商人でした。」
眼鏡の割れた、男性オーレンさんは言う。
商業都市テラリウムで生まれ育ち、1人前になったと認められ、仲間達と旅に出た時に、ゴブリン軍との戦争に巻き込まれた。
「巻き込まれた?・・・旅の仲間達は?」
「あ、いやそういう意味じゃ無いんです!危ない目にもあいましたが命からがら逃げ出しました。仲間達は生きていますし、仲間達は商人を続けている筈です。」
「じゃあ、あなたは何故?」
「・・・旅が怖くなってしまったのです。仲間達、は無事だったんですが。取引相手。取引場所に向かっている所だったんですが、取引場所がゴブリン軍が通った後で、目も当てられない状況でした。さらに、その場にはゴブリンがまだ多少いて、雇った冒険者や、能力も高く大事にしていた奴隷。いや、奴隷というよりもはや家族だったんですが・・・それに、僅かな手持ちを除いてほぼ無一文になってしまい、色々な物を失ってしまいました。」
ゴブリン軍との戦争は決して被害がなかった訳じゃない。
ロゼッタ王国が管理していない街や村。オーレンさんの様に旅の行商。そしてまだ見ぬ被害者がいる筈だ。
「今回は何故、応募に踏み切ったのですか?」
「私は、決して腐っていたいわけではないんです。働くのは好きなですし、数字を使った能力はそれなりに自身があります。ただ、もう商人として旅に出る事は出来ないのです。お恥ずかしながらそれだけは出来ません。ただそれ以外であれば、きっとお役に立てる自信があります。」
早くもハワードさん救済決定か?
「オーレンさんにお尋ねしたい事があります。」
「はい?なんでしょう?」
「あなたに文官見習いとして働いて貰うとしたら、まず何をして頂けますか?」
「・・・帳簿の計算を誰よりも早く終わらせることができます。まず計算をお任せ下さい。そこで、使えるかどうかを判断して頂いて結構です。」
「・・・宜しくお願いします。じゃあ早速、今日から働けますか?」
「今日からですか?!いえ、構いませんが、私の身なりはあまり城に行くには適していないと思いますが・・・・」
「確かに、眼鏡は割れてますし、服も傷んできてはいますが・・・大丈夫です。」
出会った当初のハワードさんを知っていると、彼なんて清潔そのものだ。
「そうですか・・・。大丈夫と仰って頂けるなら。すぐにでも働きに行きたいと思います。」
「えーっとじゃあ、城に行き、門番の所で僕の使いでハワードさんの手伝いとして採用されたと言えば・・・・ってさすがに無理か。リシア、ちょっと頼めるかい?」
「いいですよ。さぁ、行きましょう。」
二人は立ち上がり、城へと向かって歩いていく。
「あ、ちょっと待って。オーレンさん、お知り合いあなたのように計算が得意な人、文字が読める人、調査が得意な人いたら候補を上げておいてください!」
「候補・・・?」
「行けばわかります!」
城に向かうリシアと首を傾げているオーレンさん。
きっと彼一人では文官超人ハワードさんの手伝いは足りないだろうから。




