妖精リシアとの出会いと首狩りの悪魔
「あれは、一体何が・・・」
「街がゴブリン襲われているようですよ。」
「ゴブリンってあのゴブリンか?」
「そうです。あのゴブリンです。」
・・・うわ?!
気付いたら、目の前には桃色の長い髪の少女がいた。
背は150センチくらいでマシュマロのように白くて柔らかそうな頬
小柄だが服の下にはしっかりとした膨らみを感じる。
「驚かせてしまいましたか?私はリシア。オベロン様の名によりあなたの補佐をする事になりました。」
「オベロン・・・ってさっき夢で見た。」
「夢じゃないですよ。少しだけ貴方を妖精の国に招待したんです。」
「そっか、、、あの夢みたいな景色も現実なのか。」
「ふふ、まぁ、妖精と人が出会うなんてまず無いですしね。それにしても、妖精の祝福、を授けるなんてオベロン様はあなたの中に何を見たのかしら?」
自分の住む土地を夢みたいと言われ満更でも無さそうにリシアは微笑む。
「心の中って、どういうこと?」
「高位の妖精は、人の心を読めるのよ。オベロン様は王だから世界中の人の心が読めた筈よ。」
「じゃあ、君も心を読めるの?」
「えぇ。私も読めますよ。ただ、私には貴方の心は読めないようですね。凄いわ。私も妖精界だとそれなりのモノだけど、貴方は相当お強いのね。」
強いって何が?と言おうとした時
頭の中に文が浮かんだ。
《ゴブリンを殲滅せよ。》
「・・・・・」
「どうされました?急に黙って。」
「ゴブリンだ。ゴブリンを殲滅しなきゃ。」
「あぁ、そうですね。今この国には強い魂感じませんし。助けて差し上げた方が宜しいかもしれませんね。では、サクッといきましょう。」
「あの、セニアさん?」
「リシアですよ。」
「すいません、リシアさん。ボクは実は戦闘の手段を持っていなくてですね。」
異世界から女神に召喚されてきました。とは言わなかった。
時間があるように感じなかったし、自分自身、状況についていききれていない部分があったからだ。
「構いませんよ。私がオベロン様から仰せつかっている事は、全てに関してですので。」
全て?
「そう、全てです。衣食住から、何もかも。戦闘も範囲内ですわ。」
「って、僕の心は読めない筈じゃ?」
「ガードが薄くなってれば読めますわ♪」
段々とフランクになっているリシア共に、まずは《ゴブリンを殲滅》しに向かった。
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黒煙が至る所に登っている。
周囲一杯に広がる、焼け焦げた臭い。
それは決して、家などが燃える木の臭いだけではなく
人が焼ける臭い
そして、血の臭いが広がっていた。
助けてー!いやーーー!
うわー!来るなーー!
グシャ。
ゴブリンの軍勢がスラムを襲っていた。
幸いというべきか、未だ城壁の外だけの被害で済んでいる。
当然、ロゼッタ王国軍や治安維持隊は出撃しているが、完全な奇襲を受けた上に
ゴブリン軍の本隊へと軍の大多数を向けてしまっている為に、防備は薄くなっている。
「いや・・・・誰か、助けて・・・・」
兵士の手の届かない場所で、女性が襲われようとしていた。
女性一人に対し、周囲のゴブリンは五匹。
普通の町民である彼女にゴブリンに立ち向かう術は無く。
「いやーーーーーーーー!!!」
武器を置いたゴブリン達が彼女の服に手をかけ彼女の白い肌が露わになったとき
「ボンっ」
一匹のゴブリンの頭が弾け飛んだ。
場を静寂が染める。ゴブリン達ですら呆けている。
「えーっと、次はアイツで。」
「はいっ!」
ボン
「次は」
ボン
ボン
ボン
あっという間に全部のゴブリンの頭が弾け飛び、ただの肉の塊になった。
「大丈夫か?」
「はい、ありがとうございます。えっとあなたは・・・?」
「うーん、王女の知り合いだ。」
「王女様の?!」
慌てて頭を下げようとした彼女を止めて
自分の着ていたコートを着せる。
「はやく向こうへ。兵士がいるから、事情を話すんだ。」
「は、はい。ありがとうございます!」
緊張の解けた彼女の顔は可愛かった。
名前くらい聞いとけばよかった・・・
「何考えてるんです?」
「何でもないです。」
「そうですか?それならいいですが。彼女はアーシア。あれでも二人の子持ちですよ。」
お見通しだった。
「さぁ!それよりもゴブリンを殲滅しに行こう!!」
リシアも街が危ない状況だという意識はあったのか、冗談は止めてスラム中を走り回った。
リシアは羽を使い宙に浮いているから、走り回ったの僕だけだけどな!
ボン
ボン
ボン
ボンボン
ボン、ボンボン
っとまだいるのか?!
さっきの3体で少なく見積もっても五百匹は倒したのに・・・
「一匹見たら百匹はいるって言いますしね〜」
そう言いながらもボン、ボンっと魔法を止めないリシア。
「あぁ、これは妖精魔法で、事象をコントロールするんですよ。」
「これを・・・こうやって。ほら!」
ポポポポーン!
周囲にいたゴブリンの頭が全て弾け飛んだ。
・・・グロっ!妖精って可愛いイタズラししないんじゃあ!
「これくらい可愛いイタズラですよ♪」
この世界の常識と、自分の常識を照らし合わせることを誓った。
「でも、まだまだいるんですよねー。ちょっと貸してくださる?」
リシアの眼がギラッと光った。
動けない?!!
「痛くないですからね〜」
ニヤニヤしながら近づいてくるリシア。
妖精とはいえ、見た目は人間の美少女で、何が起きるか身構えていると・・・
「あ、漏れてきた。コレくらいでも平気かな?」
「えいっ!」
スラム中どころか、街に潜んでいたらしきゴブリン、周囲の野良ゴブリン、ゴブリン本隊の力の弱いものから「ポンっ」というメルヘンにも聞こえる音とともに頭が吹き飛んだ。
ゴブリンにとっても、近くにいた人間にとっても、この現象は恐怖を植えつけた。
そして、ロゼッタ王国には【首狩りの悪魔】がいて、王国に害をなすと首が無くなる。とまことしやかな噂が流れることとなる。
そして
「リシアさん・・・?何が漏れていたんですか?」
「うん?決まってるじゃない!貴方の魔力よ!美味しそうで、最初からずっと狙ってたのよ!」
初めてあった時の、どこか厳かな雰囲気なんて欠片も残さない妖精はケラケラ笑いながら楽しそうに言う。
そして、僕は
《指令をクリアした!》
《貢献度アップ!》
《レベルが上がった!》
《力が上がった!》
《魔力が上がった!》
《精神が・・・・・・・・・・
「RPGかよ・・・」
自分の頭の中にいつまで続く《レベルが上がった!》という仕様に疑問を抱いていた。




