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鉄血の王と冷血な姫  作者: 竹輪の穴
彼と彼女の願い。
13/29

鉄血と旅の仲間

「とりあえずあの穴を潰そう。」


黄金騎士モードを解いた僕は穴の周囲で出てきたゴブリンキングの首を飛ばし続けているリシアと、バリケードを作って待機をしているステファニアの元へやって来た。

アトムは喋りたそうだったけど、停止をしている。あいつうるさいんだもん。



「ステファニア。無事だったか。良かった。」


「えぇ、でも、あまり力になれなかったかも。ごめんね。」


「そんな事ないよ。兵をまとめてくれたから、ゴブリン軍のトドメを指すことが出来たじゃないか。」




「将軍、こちらはどなたで?」


さっきからステファニアの後ろに控えていた兵士が言うが、今ステファニアの事を将軍って呼んでなかった?


「貴方には関係ないから黙っていなさい。」


「は!はい!失礼しました!」



記憶戻ってないんだよね?

ニコって笑いかけてくれてるけど、可愛いからいいか!



「どうやってあの穴を潰すの?」


「えーっと、これが使える筈。」




「『鉄血』!」



「!!」

周囲の雰囲気が変わったような・・・?



まぁ、いいか。

鉄血はさっきまでの能力と違い僕だけで使える能力だ。


見た目はなんの変哲もない鉄の剣。

ただ、魔力などの目に見えない力を切ることができる。


他のものは何も切れない!



「てい。」


ほら切れた。変なものは大体、鉄血で切れる。



『《王女を連れて、ゴブリン軍を殲滅せよ》をクリアしました。』

《貢献度が上がった!》

《称号、皆殺しの魔王を手に入れた!》

《レベルが上がった!》

《レベルが上がった!》


またレベルがすごく上がった。今も頭で鳴り響いている。

それにしても、この世界のレベルシステムって意味あるんあるんだろうか?





さて終わったし。



「行くよ、リシア、ステファニア。」



すぐに旅立つことにした。



理由はいくつかあるけど、僕の使った力はこの世界ではオーバーテクノロジーであまり一箇所に留まるのは良くないと思ったからだ。


それに、周囲の兵士からの視線が厳しい。

余計なことばっかりしやがって?って事か?



大抵こんな事になるから、自重しなきゃ・・・






それからしばらく経ち


ゴブリン軍跡地


大将軍アルベルトが、ルイーゼ姫と共に現れた事は現場に衝撃を与えた。

アルベルトが来ることは想定内だったが、ルイーゼ姫は聖女と呼ばれており、血生臭い戦場に来るとは思わなかったのだ。



「あなた方のお陰で、この国は助かりました。後程、勲授与と共に正式な将軍になるでしょう。」


「は!光栄であります!」



「お前が指揮を取ったのか?」


「はい、私と、姫様のご友人という方とで軍を動かしました。」


「友人?あぁ黒髪で顔が平坦な男性ですね?」


「いえ、黒髪ですが、顔の平坦な女性でした。」



「眼は何色ですか?」


「蒼だったかと。姫様と似たお色でした。」



その人はお姉様ね。

私達の血統の証の眼にはどんな魔法もかけられないのだから。

と、ルイーゼ姫はすぐに気付いた。


「それはそれは、ところでその女性はどんな指揮をされたのですか?」


「はい。能力は素晴らしく、指揮を取り慣れているように感じました。どこかの国の軍の方でしょうか?」


「さてべ。古い知り合いなのだけどふふふ。そうですか、優秀で美しかったですか。ふふふ。」


見目麗しい姫の笑顔に目眩を覚えた次期将軍の彼だったが、すぐに報告しなければいけない事を思い出した。



「アルベルト大将軍。火急にお耳に入れておきたい事が。」


「何だ?姫の前だろうが気にする必要は無い。申せ。」




「鉄血の力を持つものが現れました。」





「鉄血だと?!!魔王の力は息子にも引き継がれずに、魔王アトミックが死んだ時に途絶えた筈だ!!」


叫ぶアルベルト。

怯えながらも疑問を持ったルイーゼ。


「それは、一体どのような者だったのですか・・・・?」



「黒髪、黒目で、平坦な顔。不思議な装いの者でした。」



「・・・分かりました。報告ご苦労様。下がって結構です。」


「はっ!」というと、天幕を後にする次期将軍。




「ルイーゼちゃん。あいつだよな?」


「あの方でしょうね。」



「俺が行くかい?」


「いえ、おじ様がいないと軍がもう回りません。ツバメを付けます。」



「そうか。悪いやつじゃないとは思うが、レイスちゃんもいるしな。それがいい。」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




僕達はゴブリン軍との戦闘の跡地から歩いて暫く経った草原の真ん中で夜営の準備をしていた。


幸い、ゴブリン軍との遭遇が早かったせいで、食料はまだある。



「さぁ、お待ちかねの・・・食事だ!」


「イェー!」


「わーい。」



ステファニアが心を少し開いてくれた気がする。


「夕飯はシチューですよ~。」


「イェー!」


「わーい。」



「片付けは任せたね~。」


「「・・・・・」」


「二人共夕飯抜きだ。」


「「やる!」」


「はい、じゃあいただきまーす。」




シチューは謎調味料を使った、コンソメスープみたいなものだが。美味しかった。



「ねぇ、あなたの名前。」


「あ、そういえば名乗ってなかったね。」



まだそんなに経っていないとはいえ、共に旅をする仲間だ。

名乗っていなかったなんて、僕としたことがとんだウッカリだ。


「僕の名前は」

「違う。本当は名前なんて聞きたいんじゃないの!」


え・・・?


「貴方は鉄血を使っていた。」


ステファニアの目が怪しく光る。



「貴方は魔王なの?!私のお兄ちゃんを殺した魔王の一族なの?!」



「僕は魔王じゃない。だけど、きっと君の憎んでいる魔王は、本当は悪い奴じゃなくて、裏で糸を引いていた黒幕がいるんだ。」


アトムがさっきイデアと名乗る魔女と話していたことは確か、こんな感じの内容だった。



「誰よ。じゃあ、誰を。誰を恨めばいいの!!!」



「ステファニア、落ち着いて!!」



グサッ



僕のお腹にステファニアの指先が刺さっている。

手刀って本当に刺さるの?



「う・・・」



「下等な餌が、我に手を出そうとするとは。」



「ステファニア?」



「ステファニア?我を知らぬか、餌よ。」


紅い目の眼の少女はニィっと笑う。




「我はレイス・エクスマキナ・クイーンブレイド!ロゼッタ王国の王女にして、魔導の頂点に立つ者なり!控えよ!!」

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