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鉄血の王と冷血な姫  作者: 竹輪の穴
彼と彼女の願い。
12/29

王の剣と魔族イデア

何だあれ?



何もない所に穴が開いている。

そこから・・・また出てきた。


また。


ゴブリンキングの巣?



「アトム、あれ何か知ってる?」


『あれは・・・・まさか?』


「あ、知ってるんだ?教えてよ。」


『いや、だが、まさかココがそうなのか?』


「おーい、アトムさん?」



『これは、我の知った者の仕業かも、知れない。』


「てことは、ココがアトムの来たかった世界って事?」


『まだ確定ではないが・・・元々、我がいた世界はなんの変哲もない《剣と魔法の世界》でな。似た世界に小僧と何度も行った。まだ、断言は出来ないんだが・・・空間に穴を空けるやり口はあいつのやりそうな事では。』




「誰だい?あんた?」


急に女性の声が聞こえた。


「誰だ?」


振り向くと、いわゆる魔法使いのローブを着ている女性がいた。



「私かい?私はイデアだよ、お坊っちゃん。」



『小僧、すぐに撃ち殺せ。』


「・・・わかった。」


バシュシュンと極小範囲の超電磁砲を頭、心臓の2箇所に撃ち込む。

しかし、平然と笑っている。



「ホログラム?」


「ホログラムとは?」


聞き返されてしまった。


「君はここにいないだろう?という問い掛けだよ。」


「そうとも!良くわかったね!それに冷静だ!穴が空いた人間を前にしたら、大抵の人間はマトモじゃいられないのに!」



アトム、こいつは一体?


『久しぶりだな、マッドサイエンティストが。』


「その単語が何を表すかは分からないけど、その声はまさか我らの栄えある魔王様ではないか?」



「知り合いのようだね。」


『こいつは我を殺した集団の一人だ。』



「殺したなんて!暴君となった君を、僕達が成敗したんだ。」


『暴君だと?息子を傀儡と化し、私の仲間を策略で遠方に飛ばし、勝手に軍を動かし、その間に、私を処刑したのは誰だ!!』


「そうだっけ?魔王様を殺して5年も経っているから、覚えてないや。」


『この世界では5年しか経っていないというのか!?』




完全に口論になってる。長くなりそうだ。さっきからゴブリンキングが増え続けてるんだけど・・・ロゼッタ国軍が交戦を始めてるけど、そんなに長くは持たないんじゃ・・・



「リシアー?」


「ここにいますよ!って何ですかこの状況は?」


「ステファニアは?」


「今は、ロゼッタ国軍の作戦事務所で指揮をしています。」


「・・・記憶が戻ったの?」


「いえ、そんな筈はないんですが。体に残った感覚なのかもしれません。現在、指揮の出来る人間が誰もいないので、当然のような顔で入り込んでいました。」



「そう、ならいいけど。あのゴブリンキング達、何とかなる?」


「いいですが、魔力貰いますよ?」



「いいよ。」



「はむ」


「なぜ僕の首に噛みつく?」


「はむはむ」


吸血と違い牙は立てられていないし、これが魔力を吸う一般的な方法なんだろう。



「ごちそうさまでした!」


首筋が涎だらけの僕を無視するように飛び去っていった。


暫くするとゴブリンキング達の首がまとめて吹き飛んだ。

平常運転だな、リシア。



「もう終わった?アトム。」


『あぁ、こいつがクソ野郎という事が更にわかったわ!』


「身体をなくした魔王様、その宿主の人間ね。しかし、お坊っちゃんも変な子ね。さっき何に魔力を上げていたの?」


「応える必要が?」

何って物じゃないんだから、何だよその言い方。



「いいわ。全部捕まえて、調べてあげる!」





「アトム。力を。」


『おう、手加減は無しだ。』



バシュンバシュンと体に黄金の鎧が着いていく。

「『王の剣よ』!!」


大地から黄金の剣が出てくる。





「その力を、使えるのね?」


今まで余裕な姿勢を崩さなかったイデアが急に慌て始めた。



「『そうとも、この力は私という存在の体現だからな』」


この状態の時の僕はアトムと融合しているといえる。他のモードだと別々の精神が保てるが、この《黄金騎士》モードでは強力すぎる為か一人では正気を保てないのかもしれない。

いずれは、一人で制御できるようにならないとな。



「『貴様は人に害しか与えぬ存在。王の剣で切り捨ててくれる』!!」



ちょっとアトム寄りの性格になる気がするから、嫌な理由でもある。




「『聖剣よ、光を!』」



剣が光を纏い、イデアに対して構える。


「『千刀』」


千刀は王の剣の纏った光を、千に分け、相手に突き刺す技。

光自体がエネルギーの塊なので、そのままぶつける使い方も出来るけど、千刀にすれば、逃げ場が無くすことが出来る。



今イデアを囲むように、千の光の剣が静止している。



「『刺突』」



僕の声を合図にイデアに剣が突き刺さる。



「なかなか、効くねぇ・・・・ゴフッ」



「『まだ、生きているだと?』」



「この五年で、自分自身を改造してきたのだよ。だから」



突然、スライムのように溶け始める。



「さらばだ。元魔王様。」




イデアは何処かへと消え去っていった。

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