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罪な妹と姉の気苦労



それから数カ月が経ち、卒業を控えたある日、本来四年生の年齢で受ける筈だった適性検査を今の四年生と共に受けて、私達の進路も決まった。


私達は魔力や運動能力などを測る適性検査の結果によって魔法学校に行く事が勧められた。ちなみに運動能力の秀でている者は士官学校を勧められ、入学試験に合格すれば士官候補生になれるそうだ。


「どうする?私は魔法って興味あるけど。普通に中等学校行っても地球での勉強とそう変わらないからつまんにゃいって言ったらそうだしね。」


「確かに魔法ってあこがれるよにゃー!俺も魔法使ってみたい!」


「じゃ決まりね!魔法学校に入ろう!魔法学校は魔力の多い人が少にゃい分、入学者が少にゃいから全員学費は無料にしてくれるんだって!」


「へー!すげーにゃ!よっしゃあ!魔法バンバン撃ちまくるぞ!」


「「おー!」」


魔法学校に行く事が決まり、中等学校の奨学金争いに関係無くなった事によって、さらに険が無くなった同級生達と平穏な残りの学校生活を終えて卒業式を迎えた。


卒業式の日。何故か私達は校舎裏に呼び出されていた。しかも別々の人物に。


「「アマミヤ!付き合ってくれ!」」


同時に放たれた言葉。涼はポカーンと口を開けている。そりゃそうか、男に告白されたんだもん。今は女の子の姿だから、こういう事もあるかもとは思ってたよ。今じゃクラスの人気者だもん。


しばらくして脳が働き出した涼は、まず私の方を見て首を傾げた。そして一言。


「お姉…二人に同時に告白されたの?」


「…って、違うわ!向こうの子に告白されたのはあにゃた!涼も(今は)女の子にゃんだよ!ちゃんと返事してあげにゃいと!」


って、それは私もか。さて…どうやって断ろう。実は私も今まで一度も告白された事無いんだよね。


「えーっと、気持ちは嬉しいんだけど、まだそういうのちょっと考えられなくて…私達、皆より五歳も年下だし…」


とりあえず無難だと思われる回答をしてみたら、私に告白して来た男の子も、涼に告白して来た男の子も二人とも、確かにっ!という顔をした。本気で忘れていたらしい。


「そういう事なら…」


「お、俺も…」


そう言って去って行こうとする二人の背中に、哀れに思ったらしい涼が声をかけた。


「俺も、お姉と一緒で気持ちは嬉しかったから!ありがとな!」


「五年…三年後にまた来るからっ!」


涼…なんて罪な()なんだ…君に全くその気は無いだろうに。顔を赤くした少年に手を振って見送りまでしている。やっぱり告白されてもまだ涼の中では男友達の様な感覚でしか無いのだろう。


これはしっかりと見張って守ってやらないと!ストーカーや不埒な行為に遭いそうだ!(そして多分本人はされている事に気付かない。)


ちょっと抜けた妹がいる姉の気持ちが分かった貴重な日だった。



元日にこの作品も含めた作者の四つの連載作品のクロスオーバーを公開します。

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