仲直り?
短いです。
「このっ……!」
怒り任せて高い位置から振り上げられたその拳を、教頭先生の手が止めた。
「やめなさい!何をしているのですか!自分より小さい子を殴ろうとするなど言語道断です!こちらへ来なさい!アマミヤさん達も事情を聞かせてください。」
うわぁ…面倒くさい事になった…とりあえず素直に教頭先生についていく。
「それで、一体何があったのですか?」
「…っ!先生!こいつらが生意気だから注意したら馬鹿にして来たんです!だからつい……カッとなって。」
言い訳を重ねる度にだんだんと萎れていく様が、少し哀れに思えたので情けをかけてあげる事にした。
「先生、先にこの人が喧嘩売ってきたから、こちらは売り返しただけです。それに私たちは手を出していません。…ですが、まあ。反感を買うのも分からない話では無いので、今回だけは見逃してあげて下さい。」
ま、とはいえちゃんとこちらの正当性も示しておかないとね。いつの間にか罪をなすりつけられて、こっちが悪い事にされる時もあるからさ。
「そうでしたか…それでは今回だけ、お咎め無しとしましょう。警告しておきます。次は無いですよ。卒業試験、受けられなくなっても良いのですか?」
教頭先生に脅しをかけられて、彼は半泣きで教室に戻って行った。卒業試験受けられないのは一番キツイだろうな…中等学校の奨学金を貰うための試験の位置付けだからね。
四年生、五年生からは午後も授業があるので教室に戻ると、何故か雰囲気が変わっていた。今回の件でもっと嫌な感じの雰囲気になるなら分かるのだが…良い方向に変わっていたのだ。
「「…どういうこと?」」
二人で顔を見合わせて首をかしげてしまった。
「……さっきは!……その、悪かったな…」
って、張本人が詫びを入れて来た。いきなりの事で、どういう心境の変化か分からなくて戸惑ってしまう。
「……謝ってくれたならもう良いですよ?」
おっと、びっくりしすぎて疑問系になってしまった。
その後、少しずつ会話が出来るようになったクラスメイト達から事情を聞いたところ、どうやら彼が私達の執り成しで教頭先生から罰を受けなかった事にいたく感謝して、それをクラスメイトにも広めてくれたらしい…ちょろっ!甘いわ!それでやめられるレベルのイジメなら最初からすんなっての!
もうちょっと根性見せて欲しかったな…
涼は無邪気にむっちゃ喜んでるから、まあ良いか。




