教頭先生の独白
教頭先生視点です
私はプレミーア初等学校で教頭をして10年が経ちますが、これほどの逸材には出会った事がありません。つい最近この国にやって来て辺境伯様に保護されたという異国の子。彼らは本来なら一年生になるはずの五歳児で、でもとてもそうは見えませんでした。
彼らは少し発音を間違えて覚えてしまったようですが、この国の言葉も流暢に話し、文字もすぐに覚えてしまいました。彼らの国にも義務教育があり、一通りの教育は受けたと言っていましたが、受けて頂いたテストはとても普通の教育を受けていただけとは思えない結果でした。
解けないだろうとは思いつつ、五年生までの内容はおろか、中等学校の範囲にも及ぶ問題を全教科数問ずつ出してみたのですが、その全てにおいて見事正解し、100点満点を取ってしまわれました。
私は一教科目のテスト用紙を受け取り、チラッと見た途端にテスト時間を余らせながらも、ほとんど合っていそうな事に気づき、残りのテストには少なくともこの辺りの大陸ではまだ解明されていない謎の現象を科学で、数式を数学のテストで出し、それら全てに納得のいく回答がありました。誰も答えを知らぬ問題ですから、本当に合っているかは分かりませんが、これについても正解とし、100点にしました。
私はこの子達について、この子達が生活して来た国について恐ろしくなりました。この結果を持ってして、彼らはこう言ったのです。この程度の問題で間違えていたら恥ずかしい。と。
これは、辺境伯様にお知らせするべきなのかもしれません。ですが…このような事が知られれば、彼らに待ち受けている物がどんな物になるか、私も予想がつきません。今の所、彼らにそれをひけらかす気は無いようですし、私が胸の内に秘めておけば問題にはならないかもしれません。
辺境伯様への報告書には非常に優秀であるとだけ、書いておきましょう。




