ガールズトーク
「ぐあーーー!肉!肉食べたい〜〜っ!
つか、腹減った!にゃんか食わせろー!」
空腹に夜中に叫び出す涼。
と言っても、皆は寝静まる夜中だし壁は薄いしで声は抑えているが。流石にそれくらいの分別はつくのである。いくら見た目は五歳児とはいえ、本当は14歳なので。
「…まあまあ。無い物はしょうがにゃいでしょ。
まー、それにしてもお腹空いたけど。」
そんな涼をなだめつつも、同意する凛香。
彼ら姉弟…いや、姉妹は孤児院の空き部屋で相部屋を貰い、二人だけの空間を得る事が出来たのだった。
なぜかこの孤児院はスペースに対して子どもの割合が低く、5人の子どもたちは、最年長のワーヒドは一人部屋。8歳の二人と10歳と4歳の二人がそれぞれ相部屋を使っている。ベッドは一部屋に4つあるのに、だ。
理由は分からないが、この街の他の孤児院と比べても異様な事らしい。
専任の担当者もいないようで、持ち回りでやって来る修道士・修道女達が帰ると夕方以降は誰も居なくなった。
さてはて、これはいよいよ怪しいなと思いつつ、暗くなって灯りも使えないので仕方なく寝るかと横になった所、空腹で眠れない事に気づいたのだった。
灯りについては、日の落ちた夕食後はロウソクがもったいないと言われてしまった。ガビーン(汗)
「…ホント、何にゃんだよ。ここは。
まじでにゃんか酷いと思うけど。」
反対側のベッドでボソッと呟く涼はちょっと疲れ気味。
「ぷっ。にゃんにゃんって!猫みたい。
にゃー。」
そんな涼がちょっと捨て猫みたいでツボに入る。
「けっ!ふざけんにゃしー!
まったく、神の野郎は何を考えてこんな喋り方にしたんだか。…神のばかやろー!」
「ぷふっ!…まあ、確かにねー。
いちいち会話のたびにこんな喋り方してたら大変だよ。
ちっちゃい内はまだ良いにしても、このまま大きくなったら目も当てられないでしょー!」
涼はここが教会付属の孤児院だという事を考えて声を潜めながらも文句を垂れる。その可愛らしい様に吹き出す自分も同じくだ。
「んー、考えられる理由は3つかなー。」
「ん、にゃに?」
「一つ。神様のうっかりミス。
二つ。神様のイタズラ。あの人の事だからその方が面白そうだった。とか普通にありそう。
三つ。その他のふかーい、訳がある。
異世界に来る時にはどうしてもこうなっちゃうとか。
……どう?」
「うーん。三つ目はともかく、最初の二つがアホすぎて笑えねえ。お姉はどれが一番ありそうだと思う?」
「私はねえ、残念な事に一番二つ目がありそうだと思うんだよねー。イタズラ好きっていうか、暇つぶしにゃんだよねー多分。そういうとこあるから、そんな気がひしひしとしてにゃらないわ。」
神とはメール越しとはいえ10年以上も付き合ってるので、半ば諦めモードです。
「…まじかー。それは何というか一番嫌にゃパターンかも。」
「うん。そうなのよねー。
ていうか、涼が女の子になったのも半分くらいイタズラ心から来てるのかなーなんて。」
「うげー。それこそ、嫌にゃんですけど。
つか、どうすんだよこれ。成長したら色々まずいんじゃね?」
「まあね〜。そこらへんどうなってるんたろうね。」
ふう。ここで一旦二人してため息をつく。
「ま、今考えてもしょうがないか。お祈りでもしときましょ!あ、私神様に祈った事無かったかも。初めてだねー」
「まじかよー!俺にゃんてしょっちゅうだぜ!
テストでいい結果出ますようにーとか。遠足の日晴れますようにとか。」
「あはは。涼はほんとに可愛いねー。」
「むっ!それって褒めてねぇよな、けにゃしてるよな!」
「まーまー気にしにゃい気にしにゃい。それよりお祈りね。えーと、天に在す我らの神よ?…分からん。…神様~!お願いだから家に返してー!せめてこの喋り方と涼の性別だけでも直して、お願い~!お賽銭払うから~!」
「俺も俺も!おんにゃじ願いで!」
「「はあ~あ!!言っても意味無いよな!」」
がっくりと力尽きたように二人揃ってベッドに倒れ込む。昨日からの疲れも出たのだろう。その後すぐに深い眠りに落ちた。




