失敗と反省
物凄くお待たせしました。申し訳ありません。
それにも関わらず割と短いです。楽しんで読んで頂けたら幸いです。
そしてーー
辺境伯の厚意により用意された一室で、暫し落ち着きくつろいだ後。多少冷静になった頭で考えたところ、ある事実が頭をよぎり思わず頭を抱え凛香は一人のたうち回った。
「うぎゃああああーーーーーーーー!
やっちまったーー!」
「お、おねえ。どうした!?」
「物凄くヤバイミスをしちゃったの!
あーーーー!もう一生の不覚!
いくら、混乱してたとはいえアレは無いわー!」
「どうしたんだよ?言わなきゃ分からないだろ!
一体何を失敗したんだ?」
「さっきのアレよアレ!お金貸して云々!
まじであれは無いわー!有り得ん!
ふつーに、子どもで、見ず知らずの他人で、
孤児で突然現れた不審者な私達に
お金貸してくれる奴なんかいないっつーの!
しかも、相手は辺境伯っていう地位のある人で
まともな常識人。そんな相手に常識知らずの
お馬鹿な事を頼んだのよ!
馬鹿にされるか、おつむを心配されるかの二択よ!
普通なら。
それを、まだ子どもで混乱してる様子の孤児だったから!
だから見逃してもらえただけ。
それだって、辺境伯様の優しさあってのものよ!
普通ならバカにしているのかと、
怒られて叩きだされてもおかしくなかったのよ!
そんな事を私はしでかしてしまったの!
ああ、本当に申し訳が立たないわ。」
そこまでを、自分自身への憤りのままに言い終えた凛香は乱れた呼吸を整えながらもその拳はぎゅっと握りしめられている。
「…おねえ。そう言われればそうだよな。
俺だって見ず知らず他人からそんな事頼まれたらキレるか呆れると思う。」
姉の魂の叫びを聞いていた涼は考えながら姉よりはやや冷静に告げる。凛香はそれに、しょんぼりしながら涼に頭を下げる。
「そうでしょ…。ほんっと、ごめんなさい。
私達の立場を危うく、怪しくする所だったわ。」
「別にいいよ。実際そうなった訳じゃないし、それに俺だって混乱してた。一緒にいておねえの事を止めなかったし、それに気づかなかった俺だって悪い。俺はおねえに任せきりにしてたんだから。だからこれからはもっと気をつけよう!そんで辺境伯に恩返しをするんだ!な、完璧じゃね?」
しかし、涼は自分も悪かったと反省し、元々の性格もあり、姉を励ます事も兼ねてか明るく振る舞う。
「……そうよね。過ぎたことは過ぎたこと。
幸い今回はそこまで悪い結果にはならなかったし、
今後気をつけて、さらに恩返しと贖罪をすればいいよね!
後悔したって時間が巻き戻る訳じゃないし。」
弟の言葉に暫し考え、そして姉は前向きな結論を出す。
「そうだぜ!」
「そしたら、まだ寝るまでに時間はあるし、
今後の事も考えて話し合いをしようか。」
「おう!」
元気よく同意する涼に、凛香はそこで一旦この話は終わりとし、今後のための話し合いをする事にした。




