第25話 旅の始まり
もうね、自分でも書き方やらなんやら忘れてる。更新がこんなにも遅くなって、本当に申し訳ない。
受験が終わったら本気出します。
まるで爆心地のような、平原のクレーターの底の部分に、魔族、ドワーフ、竜人族の三人が居た。
「なぁ、もしかしてじゃなくて、もしかしないだろうけど……」
ドワーフが言うと、竜人族が答えた。
「えぇ、もしかしないですね」
「んだよこれ。どうなってんだぁ?」
魔族の男は、状況が理解出来ていないようだ。
「「失敗だな(ですね)」」
「おっ! 海の香りがするじゃぁねぇかぁ! ひっさし振りに釣りでもすっかなぁっ!」
どうやら、魔族の彼は頭のネジがユルユルのようだ。クレーターを駆け上がり、海の方向へ走って行く。
「はぁ……あいつの手綱を握れる奴が居ないとは。しかも、俺たちだけ失敗。こりゃあ、大惨事になるぞ」
「もう、帰りたいんですけど」
「いや、ダメだ」
「はぁ……もうやだ。帰りたい。あや、やっぱりやだ。帰りたくない。アレはアレで嫌だ」
「……まぁいい。お前の事情なんか知らん。優先順位としては、活発化した魔物たちの動きを止める事だ」
「うぉぉぉぉぉぉぉっっ⁉︎ お魚パーティーだゼッ!」
「はぁ。晩御飯は、シーフードピザかな。魔物のだけどな」
「焼き尽くした方が早いんですけど」
「あいつが怒るだろ。止めてあげろ」
「はぁ、面倒くさい。あっ、氷漬けなら保存も効くし……」
「そうだな。そうしてやれ」
「じゃ、やりますか。アァァァアッッ!」
竜人族の彼が気合を入れる。
腕は腰の辺りに添え、足は肩幅に開き、海まで轟く重い声を響かせる。
「はぁ……何度見ても凄いと思うわ」
それもそうだろう
全身の筋肉がどんどん隆起し、膨れ上がっていく。
血管が浮き上がり、身体そのものが膨らみ、全身が鱗で覆われた。
「Grrrrrrrrraaaaaaa……」
蝙蝠のような翼を広げ、唸り声をあげた。
「ドラゴンになれるとか、やっぱ竜人族はズルいわぁ」
「いや、凄い疲れるんですけど」
そう言って彼は、海へ向かって飛んで行った。
「あっ⁉︎ テメェ、ドラゴンに変身しやがって! 俺の晩御飯を掻っ攫うつもりだな! 許さねぇぞ!」
「グワハハハハハハハ! 雑魚共が! 我の腹に入る事を許してやろう!」
「あいつら、なんで喧嘩するんだよ」
ドワーフの彼は、頭に手を当ててそう呟いた。
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上空で転移魔術を繰り返すこと数百回。唐突に、セルバルドーが口を開いた。
「なぁ、エルン。気のせいだとは思うが、彼奴らの訳がないよな?」
「私も察知した。出来れば、会いたく無かったんだがなぁ」
「なんで察知出来てるのよ……化け物でしょ」
若干引きながらカグネは言った。
「まぁ、仕方ない。エルンだって努力を積み重ねてここまで来たんだ。カグネちゃんだってきっとこのくらい……」
「なれるかぁっ! それよりも、エルンって! 名前がエルンって今初めて聞いたわよ! しかも! 裏の仕事のビッグネームじゃない!」
珍しくカグネが声を荒げた。
「あははぁ、どうも。なんか有名みたいだね」
「セルバルドー! あんた! とんでもない人と知り合いって、何してたのよ!」
「いや、夢想旅団の同期って言うか、何て言うか、そんな感じなんだけど……」
「本当、夢想旅団って何なのよ……もしかして、こんなのがごろごろ居るの?」
「あぁー……もっとヤバイのが数人……」
「もっとヤバイッ!?」
立ちくらみがした。浮いてるのに、立ちくらみがした。
何という事だ。これよりもヤバイのがまだ居るだなんて。私の精神が持たない。
「それで……もしかしてその、察知した会いたくないって言う人達は……」
「……あぁ。ヤバイ奴らだ」
「キュウ……」
「ちょっ⁉︎ カグネちゃん⁉︎ 気絶しないでー!」
カグネは、思考を放棄した。
「あれ? なんであんた達が居るの?」
「我等と同じ宿命を果たす友よ。祝福しよう」
ダークエルフの幼女と、葉っぱ一枚で局部を隠している翼人族の前に、セルバルドー達は降り立った。
ちなみに、カグネはエルンに背負われてる。
「やっぱりお前らか。なんか、問題起こしたりしてないよなぁ? リィ?」
「い、いいいいや! べ、べべべべ別に問題なんて起こしてないわよ!」
リィと呼ばれたダークエルフは、動揺を隠せず慌てふためく。
「で、何をやったのさ。面白いんなら一枚噛ませろよ」
エルンがニヤニヤしながら耳元で囁いた。会いたくないと言っていた割に、面白そうな事には顔を突っ込むようだ。
「あー……いやぁ、ちょっと、対空間用の爆弾を起爆しちゃって……」
「はぁ⁉︎ お前何やってんだよ! バカなのか⁉︎ てか、バカなんだろ⁉︎ いや、やっぱりバカだったのか!」
「おーいセルバルドー。落ち着け。ドードー落ち着けー」
「その空間治さないといけないんだぞ! メッチャ大変なんだからな!」
「はーい落ち着いてー……ん? 何かが、結構な速度で近づいてるぞ?」
「全然分からない私は悪くないわ。だって開発担当だし……」
「援軍じゃ! 畳み掛けろー!」
「なるほど。味方か」
「今回は俺もわかったぞ。結構簡単だったな」
クイズ感覚である。
しばらくすると、海の方から奇妙な二人組が寄って来た。
「おー、なんだかみんな居るねー。割と早く合流出来てよかったよー」
「なんだ、もう合流したのか」
「ゲッ、ニム……」
ダークエルフのリィが、海人族の頭に座っている獣人族に向けて、嫌悪感を向けながら言った。
「どうやら、もう問題を起こしたようだな。沖の方にいても、よぉく聞こえたぞ?」
「え、えへへ。いや、それについては、その、あの、わ、悪かったと思ってるから……助けてエルン!」
リィがエルンの胸に飛び込んだ。
「おぉよしよしよしよし。またニムに虐められたのか。可哀想になぁ」
頭を撫でくり回され、気持ちよさそうにしている。
一瞬、リィの下衆顔が見えたのは気のせいではないな、とニムは考えていた。
「なぁニム、一ついいか?」
海人族の男が、ニムに聞いた。
「なんだ? シグラム」
「なんで陸に上がったのに、お前はまだ俺の頭の上に座ってるんだ?」
「俺の体質の事は知ってるだろう」
「いや、お前がいつも使ってるのを使えばいいじゃん」
「身体を動かすのも億劫だ」
「いや、動けよ」
「……」
「はぁ。分かった。座ってていいよ」
「なぁ……エルンが背負ってた少女がどこ行ったか、知らないか?」
セルバルドーの問いに、皆が絶句した。
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ヤバイヤバイヤバイヤバイ!
なんなのあいつら! 化け物揃いじゃない! あんなのと一緒に行動したら、確実にこっちの命が持たないわ!
現在、カグネは全力でセルバルドー達から必死に離れていた。
全力疾走である。どれだけ本気なのかがよく分かる。
「わっ⁉︎ わわっ⁉︎」
何かに躓いたのか、転んでそのまま前方に吹っ飛んで行くカグネ。
「ふぎゃっ」
割と近くに岩があったせいで、受身も取れずモロに直撃してしまい、カグネは気絶してしまった。
こんだけキャラ出して、時間軸が違うと、書くのがとても辛い。
次の更新は、いったい、いつになるのやら
首をなが〜くして待って頂きたい