第19話 ようこそ、ブラック企業へ
もう少しだけ書き溜めてある。完結まで漕ぎ着けたいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ
ま、暫くはただの息抜き回
その日、カグネは迷宮の奥地に居た。
「な、なんだこれ……ブラックだ。なんでこんだけ働かないといけないんだ。クソゥ……あの野郎。全然調べ物が進まないじゃないか。何が週休2日だ。それは学生じゃないか。こっちは休みの日に生徒が沢山来るじゃないか! 詐欺! ペテン師! 童貞! 魔法使い!」
セルバルドーへの恨みをぶつぶつと呟きながらも拳を振るい、魔物を霧散させていく。
「あんの野郎ォォォォォ!」
はっ⁉︎ ダメだ。
怒ってはいけない。怒らないようここへストレス発散に来たのに、怒ったらダメだ。
まったく……全部、セルバルドーって奴が悪いんだ。
「……ふぅ。そろそろいいかな」
身体も鈍ってないし、上がって情報収集をするか。
▼▼▼
「ダメだ……これも違う」
日の差し込まない地下。だが、風通しは良く、湿気も少ない。
埃一つ無い清潔な空間に、書物は保管されている。
「これも違う」
本、パピルス、羊皮紙、魔道書、巻物、石板、木片、ありとあらゆる情報がここには揃っている。
「やっぱり……更に下の階層かな」
━━降りるか。
魔道書を一冊、本棚から抜き取る。
「さてさて。第二の扉を開きましょうか」
魔力を込めると、本のページがひとりでに捲れていく。
「へぇ……組み合わせか」
ページが止まり、魔術陣が虚空に浮かび上がる。
「何を組み合わせれば発動する?」
浮かんだ陣は二つ。
邪魔なのを排除して、必要なのを付け足して……
「……こうか!」
カチリ、という音と共に二つの魔術陣が重なり合い、回転し始めた。
「おぉ、正解か」
重なり、回り始めた魔術陣は、紫色の光の奔流を撒き散らしながら、本棚の奥へと進んでいく。
「入り口は、向こうか……」
紫色の光が本棚の間を進んでいく。
しばらくの間、光に連られて歩いていると、光が止まった。
「……ここ?」
カグネの問いかけに答えるように、光が石畳に染み込んで消えていった。
「……退かすか」
石畳を持ち上げ、横にずらす。
すると、頭上の灯りで空洞と梯子が見つかった。
「次が、第二の門か……」
カグネは、光の届かぬ闇の底へと潜っていった。
▼▼▼
梯子を降り、暗闇の中を進み続ける事数分。
夜目の効くカグネは、門を発見した。
『汝、問に答えよ。魔術とは何か?』
「魔術とは、意図的に起こす世界の不具合である」
『では、一般に知られている魔法とは何か?』
「魔神が誰にでも使えるよう、用意した魔術である」
『では、オドとマナの違いを答えよ』
「オドは自分が作り出す魔力。マナは世界に漂っている、体外の魔力である」
『よろしい。次が最後の問である。七つの大罪と七つの美徳、対処法を答えよ』
え?
なにそれ?
「……分かりません」
『では、戻るといい。時には、振り返る事も必要だ。探している答えは、背後にあったりするものだ』
はぁ……全部、読んでみるか。
「黒い炎、ドラゴン、変化……うーん。何に載っているんだろう」
私の身体には、何かが寄生している。
怒りに呼応し本性を現す、悪魔のような何かが。
人身変化の類なのか、悪魔なのか、はたまた寄生する魔物なのか……うーん。
魔物図鑑、悪魔一覧、歴史から探してみるか。
『職員会議するから来てー』
はぁ……なんてタイミングの悪い。
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会議室に、すべての先生が集まっている。200人は超えてるな。
しかも、全員分の席があって、座っていられる広さがあるって凄いな。
「では、会議を始めたいと思います。先ずは、クラス内の様子から。担任の先生方、お願いします」
あれ? 関係なくない? 要らなくない? 帰っていいんじゃない?
そう考えながら、爺セルバルドーに目配せをする。
『カグネちゃんも報告しないとダメだよ』
チッ、ダメか。
仕方ない。推理でもしてるか。
まず、怒りに呑まれると自我が消え、暴走を始める。
時間が経つに連れて私の身体は竜人族のものに似ていくが、禍々しい。
黒い炎を身に纏う。
これだけだと、魔物に寄生されてるか、悪魔に取り憑かれているかの可能性がある。
でも、身体に異常や違和感などは感じないし……うーむ。
七つの大罪と七つの美徳、これらを調べないと先へは進めないし、答えは中々見つからないし……あー! 面倒臭い!
「では、カグネ先生。報告をどうぞ」
え、何報告すればいいの?
取り敢えず立ち上がり、声を出す。
「えー……相談に来た組みが大多数で、案内を頼んだ組みはあまりありませんでした。多分、自分の力である程度やろうという生徒が多いのだと思います」
「おぉ! それはいいことだ!」
「まったくだ!」
「流石俺のクラスの子達だ!」
「カグネ先生。どうぞ、お座り下さい」
え? 終わり? こんなんでいいの?
セルバルドーの方を、チラッと見てみる。
あっ、親指立ててる。
えー……こんな適当で良かったの?
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仕事だ。憂鬱だ。
「壁! ちゃんと引きつけろ!」
「はい!」
「そこ! 魔法撃つの遅い! 遅いと分かってるならさっさと詠唱する! あと、狙うの下手過ぎ!」
「分かりました!」
「猫! 切るなら腕や脚の腱だ! それか、痛覚が集中してる場所や太い血管のある場所! テキトーに斬りつければいいってもんじゃない!」
「にゃ⁉︎ にゃにゃ!」
「ちゃんと返事する!」
「にゃ⁉︎ うにゃい!」
「木偶の坊! お前全然役に立ってないぞ! 真正面からやりあうな! 隙が作られるんだから、其処で狙え!」
「は、はいぃぃっ!」
「なんでインセクトウルフ相手にそんなに手間取るのよ!」
「だ、だって!」
「硬くて全然切れない!」
「突進の衝撃が大きい!」
「空を飛ぶ!」
「どこを狙えば分からない!」
「アホかぁー! そういうのは戦いながら学ぶのよ! 取り敢えず攻撃しろ!」
「「「「はい!」」」」
はぁ……憂鬱だ。
なんでこんなやつらの子守りなんか……
「先生! 危ない!」
あーもうイライラするなぁ! さっきから騒音立てやがって!
「ラアァァッッ!」
狼型の虫が、口を開いて此方に迫る。
片手で口を抑え、もう片方の手を口に突っ込み、暗器で喉を傷つけながら魔術陣を描く。
「木っ端微塵になって、消し飛べ!」
手を引き抜き、思い切りほん投げる。
『散!』
発動の掛け声と共に、インセクトウルフが内側から爆ぜた。
「ふぅ……ん?」
みんな、ポカーンとしている。
「はいはい気を抜かないで。ほら、壁役。お前、頭をミニウルフに噛みつかれてんぞ」
「うぉっ⁉︎ おわぁぁぁぁっ⁉︎」
「じっとしてて! 火弾をもって敵を撃ち抜き、浄化せよ! フレイムバレット!」
火弾が6つ程展開され、それがミニウルフ目掛けて放たれるが……
「あちゃあっ⁉︎ あちゃいででであちゃあちゃあちゃちゃちゃちゃっっ⁉︎」
まともに当たったのは1発のみ。他はフレンドリーファイアだ。
「はぁ……狙うの下手過ぎ」
「あぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃ⁉︎」
「ど、どどどどうしよう⁉︎ 水属性の魔法は使えないよ!」
「な、何か無いの⁉︎」
「ど、どうすればいいニャ⁉︎」
火達磨になり地面を転げ回る壁役。
そして、それを慌てふためき見守るだけの役立たずな仲間。
「はぁ……」
溜息を吐くしかない。
「ほら、水かけるから落ち着いて」
壁役の頭上に水の塊を生成する。
水球は重力に従って落下し、火達磨になった壁役を消火した。
「だ、大丈夫⁉︎」
「い、生きてるニャ⁉︎」
「だ、大丈夫か⁉︎」
仲間が壁役に駆け寄る。
「はぁ……」
こいつらバカだ。ここは迷宮なのだから、いつ何処から敵が現れるかも分からないのに、無防備に背中を見せるなんて……
「……はぁ」
深く、深く、大きく溜息を吐く。
「あぁ……なんて面倒な仕事なんだ」
もう、こいつらの面倒を見るのは疲れた。
帰ってもらうか。
「潜れ、潜れ、深き狭間に。見上げれば闇、沈めば混沌。帰る場所無き四面楚歌。『常闇世界の歓迎者達』」
「な、なんだこれ……」
「急に霧が出てきた」
「に、匂いが感じ取れないニャ⁉︎」
「う、嘘でしょ⁉︎」
4人組が霧に包まれ、良い具合に興奮している。
よしよし、スムーズによってよかった。
「な、なんだこれ⁉︎」
霧が黒に染まり、霧が結界として認識される事によって、霧の中は目が効かず、匂いもせず、音も聞こえない世界に変貌する。
「く、来るな! 来るなぁぁ⁉︎」
「嫌ぁぁぁぁぁぁっ⁉︎ あぁ……」
「ヒィッ⁉︎」 「……」
よし、上手くいった。
霧の中では、皆が違う幻術を見る。
だが、共通して言える事としては、『自分が一番嫌いな何かに襲われる光景を幻視する』という事だ。
効果覿面。みんなしっかりと失神してくれたようだ。
「さてと……」
こいつら持って帰るか。
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