表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
娘よ、大志を抱け  作者: 匿名社員
娘よ、大使を抱け 冒険その1
48/76

第2話 テンプレを攻略せよ

銅貨100枚→銀貨1枚

角銅貨10枚→銀貨1枚


銀貨100枚→金貨1枚

角銀貨10枚→金貨1枚


銅貨1枚で1ミル


ミルは金の単位


カグネ→女 15歳 一応主人公 常識無し

コウヤ→男 17歳 転移者 ボケ要員 チート無し


あの後、街の門の近くにある駐屯所で銀貨3枚貰った。賞金首だったらしい。

門の近くで、お金の計算を始める。


えぇと……銀貨1枚で銅貨100枚、銅貨1枚でリンゴが買えるから……リンゴが300個も食べれる!

凄い! 悪い奴を懲らしめれば、こんなにもご飯が食べれる!

どうしよう……賞金首を狩って生活するのもいいかもしれない。

あ……でも、恨まれるのは嫌だなぁ。


『あー、ちょっといいか?』


『……何?』


後ろから声をかけられる。

この人は、不思議な人だ。


『文字読めないんだけど……。』


文字が読めない……そんな人は、この世界にそれなりに居るってお母さんが言っていたけど、言葉が話せない人が居ないとは言ってなかった。

だから、この言語しか話せないこの人は不思議だ。


『……これから、どうするの?』


気になり、質問してみる。


『冒険者でもやってみようかな……字とか読めないし。』


ヘラヘラしながら、そう言う。

どうしよう……凄く心配だ。

助けてあげた方がいいかもしれない。


『パーティー……組んでみる?』


『あー……いいのか?』


男の人が、遠慮気味に聞いてくる。


『いいよ。』


だから、肯定してあげる。


『男は、そう簡単に信用しちゃいけないんだぜ?』


『……お母さんが、言ってた。』


『……いい親だな。』


『うん……大好き。』


お母さんが言ってた。

男は信用するもんじゃ無いって言うイケメンでは無い男の人は、大抵がいい奴だって。


だから、この人と仲間になろう。

私の、初めての仲間。

この男の人となら、一緒に居ても大丈夫だ。


『……名前。』


『ん?』


『カグネ……それが、私の名前。』


『そうか、俺の名前は幸夜……コウヤだ。これから宜しく。』


そう言って、手を差し出してくる。


『……宜しく。』


だから、私は握手をする。


『フフッ』


『ククッ』


ただの自己紹介なのに、何故か面白くて、笑ってしまう。


『じゃあ、冒険者ギルドに行きますか!』


そう言って、男の人が歩き出す。


『……そうだね。』


私は、後ろをゆっくり付いて行く。


『あっ!?』


『……どうしたの?』


コウヤが、道の真ん中でいきなり止まった。

どうしたんだろう?


『ギルドの場所知らねぇ!』


どうしよう、この先不安で一杯。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


『なんだか、清潔感溢れる建物だなぁ……そうは思わんかね、ワトソン君。』


『……。』


『あ……いや、何でもないです……はい……。』


『……凄く……大きいです。』


『ダメ! その台詞はダメ!』


冒険者ギルドは、外から見た感じ、多分6階建てだと思う。


周りの建物と比べて、凄く大きい。

木製の扉に、木製の窓、冒険者ギルドは白い石のレンガで出来ている。

だから、清潔感溢れると思ったんだと思う。


『……入ろう?』


『あー……そうだな。』


冒険者ギルドと書かれた看板の下、木製の両開きの扉を開け、冒険者ギルドの中に入る。


中は白を基調とした色で統一され、正面には受付、横には机や椅子が設置してあり、数人の男女が談笑していた。


あれが、パーティーなのかな……。

楽しそうに会話をする人達を、私はボンヤリと見つめる。


『ほら、突っ立ってないで、受付に行こうぜ。』


『あ……うん。』


コウヤにそう言われ、我に帰る。

受付で、通訳をしないと。


「冒険者ギルド、ディベル王国オスカー支部へようこそ。」


『やべぇ……何言ってるか分かんねぇ。』


……手遅れだった。


受付に向かい、通訳をしてあげる。


『冒険者ギルドディベル王国オスカー支部へようこそ……って、言ってた。』


『あ、そうなの、ありがと。』


『……ギルドカード、作らないの?』


『おっとっと、そうだった。あー……通訳頼む。』


「……この人のギルドカード、作ってください。」


「はい、分かりました。」


受付嬢さんがそう言って、しゃがんで何かを探してる。

やっぱり男の人は、女の人を見境なく襲うケダモノなんだなぁ。


だって、この人胸大きいし、キレイだし、スカート短いし。


『うへへ、うへ。』


コウヤはだらしない顔してるし。


だから、直してあげよう。

こんな人とパーティーを組むのは、さすがに嫌だ。同類だとは思われたくない。


『ホグペッ!?』


大丈夫。

鳩尾に軽く一撃入れただけだから。

肘じゃなくて、小指で一撃入れたから大丈夫。


「それでは、この紙にご記入して下さい。代理筆記は必要ですか?」


「大丈夫です。」


「その……ご本人様が蹲っているようですが……何かありましたか?」


「大丈夫です。直してあげただけです。」


「で、ですが……」


「大丈夫です。」


「そ、そうですか……では、この書類にご記入お願いします。」


コウヤは今書けないから、私が書いてあげよう。


名前 コウヤ

年齢 無記入

性別 男

種族 無記入

出身地 迷子

特筆事項 無記入


「……お願いします。」


受付嬢さんに、書類を渡す。


「はい、少々お待ちください。」


そう言って受付嬢さんは、受付の奥にある扉の中に消えて行った。


『し、死ぬかと思った。』


『……大丈夫、死なない。』


『あはは、暴力ヒロインだぁ。』


『……大丈夫、私はあなたを恋愛対象として見ていない。興味関心があるのと、助けが必要だと思っただけ。』


『ひ、ひでぇ。』


そう言って、コウヤは両手両足両膝を地面に付け、項垂れた。


『……コウヤ、土下座はちゃんと頭も地面に着けないと駄目。』


コウヤの頭を、地面に着けてあげる。


『違います! 謝ってるんじゃアビバべブゥ!』


『……? さっき私に言った事に対して反省してるんじゃないの? 』


『ブ、ブヒィ。ハバビベブババイ。』


何言ってるか分かんないから、頭を地面から離してあげる。


『すみませんでした!』


そう言って、コウヤは土下座をする。


『……うん、ちゃんと出来てる。コウヤは、やれば出来る子。』


『どうしよう、あんまり嬉しくない。』


『何か言った?』


『い、いや、何も!』


何か言った気がしたけど、気の所為かな……。


「ギルドカードが出来ました。」


いつの間にか受付嬢さんは戻って来ていて、コウヤにギルドカードを渡す。


『ほへぇ、コレがギルドカードかぁ。』


貰ったギルドカードを、コウヤは色んな角度から観察している。


「説明は必要ですか?」


「お願いします。」


コウヤを小突き、こっちに注目させる。


「では、説明を始めます。始めに、冒険者ギルドの理念から説明しましょう。」


『……冒険者ギルドの、三大理念の説明だって。』


『理念かぁ。』


「一つ目、冒険者は自由である。

二つ目、基本的に国家間の戦争には加担しない。

三つ目、周りに迷惑をかけない。」


『一つ目、冒険者は自由である。

二つ目、国家間の戦争には加担しない。

三つ目、周りに迷惑をかけない……だって。』


『三つ目って、理念なのか?』


「では、これから理念について、すべてご説明させて頂きます。」


『……三つ目についても、全部説明するって。』


『へー』


「 最初に、冒険者は自由と説明させて頂きましたが、それは冒険の自由です。

冒険者ギルドの設立時は、まだこの大陸の殆どが未開地でした。当時の冒険者の活動内容は、未開拓地域の探索、研究者たちの護衛でした。

なので、冒険の自由です。」


『 冒険者は自由であるって言うのは、冒険の自由だから、何でもかんでもしていいって意味じゃないんだって。』


『いや、俺だってそれぐらいは分かるさ。』


コウヤは、苦笑しながらそう言う。



「二つ目の、基本的に国家間の戦争には加担しない……というのは、冒険者の中には単独でドラゴンを討伐出来る、一鬼当千の実力者が居るので、そんな人を仲間に加えると、軍事バランスが簡単に崩れてしまうからです。」


『戦争に加担しない理由は、一鬼当千の実力者が居るから、軍事バランスが崩れるから……だって。』


『一鬼当千って……なんか違う気がする。』


『……? どう違うの?』


『いやぁ……俺が知ってるのは鬼じゃ無くて、馬なんだよね。』


『一鬼当千って言うのは……凄い昔に一人の鬼が、復讐に千の人を殺したからなんだって。』


『へー、なんか怖いな。』


『……その鬼が百人掛かりで、自分達の子供を奴隷として誘拐した国を、滅ぼしたんだって。』


『怖っ!』


『でも、命を対価に力を得たから、みんなただの人にまで力が落ちたんだって。』


『やっぱ、力を得るにはそれ相応の代償が必要なんだなぁ。』


「あのー、宜しいでしょうか?」


「……すみません、お願いします。」


「はい。三つ目の周りに迷惑をかけない……と言うのは、昔、冒険者がドラゴンの卵を盗み街まで持って帰った結果、街が滅びた事からです。」


『……三つ目の迷惑をかけないの理由は、ドラゴンの卵を盗んだら、街が滅びたんだって。』


『うわぁ……』


そう言って、コウヤは受付から少し離れる。


「そんな真似、しないで下さいね♪」


受付嬢さんが笑顔で、私達にそう言う。


『大丈夫です! 【いのちだいじに】を作戦に生きてます!』


『……通訳は?』


『なんとなく理解出来た!』


もう言葉を覚えたのかな……。


「それでは、冒険者ギルドについての説明を始めます。

冒険者ギルドには……討伐依頼、採取依頼、護衛依頼、遺跡や未開地の探索など、様々な依頼が舞い込んで来ます。」


『……』


『……通訳頼む。』


『……色々な依頼があるって。』


『……そう。』


「 どの依頼でも、真面目に取り組んで下さい。でないと、冒険者の資格を剥奪されます。

逆に、依頼への対応が良いと評価されると、報酬が上乗せされたりします。」


『……依頼は、真面目に受けて……だって。』


『まぁ、そうだろうね。』


「次に、ランクについて説明させて頂きます。

冒険者にはランクという制度があり、自分と同じランクの依頼を受ける事が出来ます。

ランクは下から、

G→F→E→D→C→CC→CCC→

B→BB→BBB→A→AA→AAA→S→SS→SSS

と、上がって行きます。」


『……自分と同じランクの依頼が受けられて、下はG、上はSSSまで上がるって。』


『SSSかぁ……大変そうだなぁ。』


「ギルドには修練場、決闘場、情報室があるので、お好きにお使い下さい。」


『……ギルドには、色々な施設があるから、自由に使ってだって。』


『へー……どんな施設があるのかが気になるけど、それは後のお楽しみって事かな?』


『……。』


「以上で、冒険者ギルドについての説明を終了させて頂きます。他に何か、ございますでしょうか?」


「この人と、パーティーを組みます。

パーティーの登録を、お願いします。」


「はい、かしこまりました。ギルドカードのご提示をお願いします。」


『……パーティーを組むから、ギルドカードを受付の人に渡して。』


『あいよ。』


二人で、ギルドカードを受付の人に渡す。


「おいおいそこの嬢ちゃん……見たところFランクだが、そんな奴と組むよりも、俺たち先輩冒険者と組んだ方がためになるぜ?」


「あぁそうだ。」


そう言って、数人の男達が下卑た笑みを浮かべ、こちらへ向かって来る。


ハッキリ言って、不快だ。

殺したくなる。

あぁ、人目のつかない所でなら殺してもイイカナァ……いや、ダメだ。無益な殺生はダメって、お母さんに言われてる。


『なぁ、なんて言ってるんだ?』


コウヤが聞いてくる。


『……頑張って、口説こうとしてる。手段は力ずくだと思う。』


『うわぁ……ここでテンプレかよ。男として最悪な野郎共だな。』


『なら、私のために頑張ってくれ。私は勢い余って殺してしまいそうだ。』


『えっ? ちょ待っ!』


コウヤを私の前に押し出す。


「んだぁ? こんな男が俺たちに勝てるとでも?」


「ははは! これは傑作だ!」


「俺たちはDランク冒険者だぜ? そんなヒョロい男が俺たちに勝てるとでも思ったのか?」


「「「「ぎゃはははは!」」」」


男達は、仏様も不快感で顔を歪めるような、汚い笑い声と唾を撒き散らす。


……ギルドの人、可哀想だなぁ。あんなに唾で汚れた床を掃除するなんて……。


『ヒョロくて悪かったな!』


『…… 鍛えれば太くなる!』


『チクショウッ! ここに味方はいないのか!』


「何言ってるか分からないが、格の差を思い知らせてやるぜ!」


「そうだ!」


「決闘場へ向かうぞ!」


『え? ちょっ! 何が起きてんの!?』


そう言って男達は、コウヤを連れて決闘場へ向かっていった。


付いていかないと、ダメかな……。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「これより、Dランク冒険者パーティー『レイグ』と、Gランク冒険者2名での決闘を始めます!」


「可哀想に……。」


「また犠牲者が……。」


決闘場は、ただの更地の周りに何か特別な魔石を設置してあるだけだった。


効果は、死んでも死んだ事にはならないだった。

やった。

これで殺せる。


周りが私たちを哀れんだ目で見てるけど、そんなのどうでもいい。

この程度なら余裕で殺せる。


『あー……これから何やんの?』


『……お姫様を賭けて、村人Aが盗賊ABCD達と戦う。』


『お姫様って誰?』


『……。』


『じょ、冗談だよ冗談。ははは……。』


そう言って、コウヤは乾いた笑みを浮かべる。

私だって村人じゃなくて、どうせならお母さんみたいな人に助けてもらいたい。


『大丈夫、お姫様は強いから。』


ドラゴンは無理だけど、ワイバーンぐらいなら多分倒せる。


『それ、俺が戦う意味ある?』


『……コウヤがどのくらい強いか、私は知らないから、実力の確認。』


『俺……よく分かんない。』


そう言って、コウヤは苦笑いをする。


「両者、賭けるものを宣言してください!」


「……私を賭け、私達が勝ったら全財産を貰う!」


「俺たちは全財産を賭け、あんたを貰う!」


「どうせ俺たちが勝つけどな!」


「「「「ぎゃはははは!」」」」


本当に、人を不快にさせるのが得意だな。


『なぁ、なんて言ってるんだ?』


『……とにかく、頑張れ。』


『あいよ。』


「両者、準備は宜しいでしょうか!」


「ったりめーよ!」


「さっさとやろうぜ!」


そう言って、男達は剣を抜く。


『どうしよ、怖い。暴力反対。』


『……これを使って。』


アイテムポーチから武器を取り出し、コウヤに手渡す。


『……木刀。』


お母さんが昔、家の近くの樹で造ったって、前に言っていた。


『……素手より、マシでしょ?』


『チクショウ! 勝てる気がしねぇぜ!』


『……胸を張って、言っちゃだめ。』


「それでは決闘……始め!」


審判は、手刀を振り下ろした。

ここまでお読み頂きありがとうございました

誤字脱字指摘、アドバイス、評価感想等

お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ