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娘よ、大志を抱け  作者: 匿名社員
娘よ、大使を抱け 冒険その1
47/76

第1話 テンプレを攻略せよ

ここからが本番でございます。


視点変更があります。

ご注意下さい。


PV140万突破!

ユニークの方は20万突破!

ありがとうございます!

第1話


ジリリリリリリリリリリリ


目覚し時計が鳴ると同時に起床し、布団を払いのけて戦闘態勢に入る……が、


「……?」


おかしい。

いつもお母さんが何かしらトラップを仕掛けているんだが……?


警戒を解き、2階の自室から階段を降り、1階の広間へ向かう。


広間へ降りたが、誰も居ない。

お母さんは、どこかへ行ったのだろうか。

それとも、隠れているのだろうか。


五感を研ぎ澄ましてみるが、全く分からない。


……居ないという事にしよう。

何だか今日はおかしい。


台所へ向かうが、誰も居なかった。

道場にいるのだろうか。


廊下を歩き道場へ向かったのだが、やはりお母さんは居なかった。


一体、どこへ行ったのだろうか。


取り敢えず、朝食を食べてから考える事にしよう。


朝食は大事って、お母さんが言ってた。


〜〜〜


「ごちそうさまでした。」


さて、捜索を続けよう。

灯台下暗しと言うし、取り敢えず部屋に戻ってみよう。


〜〜〜


やはり、普段と変化はない。


……布団を干そう。


そう思い枕を退けると、下に白色の封筒があった。


……何だろう、魔力は感じない。

罠では無さそうだし、開けてみよう。

中には、三つ折りにしてある紙が入っていた。

読んでみる。


ーーーーー


カグネへ


今日、カグネは15歳になった。

つまり、冒険者ギルドに登録出来る年齢になった訳だ。


カグネは、悪い奴を懲らしめる為に力が欲しいと言っていた。

だが、1度世界を回って色々なことを学ぶといいだろう。


もしかしたら、考えが変わるかもしれない。


だから、力を振るう理由をもう一度考える、いい機会になるだろう。


冒険は、いいものだ。


この美しく残酷な世界を楽しんでくれ。

私もしばらく旅に出る。

もしかしたら、カグネと、その仲間達と会うかもしれないな。


母より


追記

武器庫へ向かえ。

武具は見繕ってある。


ーーーーー


封筒の中には、石で出来た薄い板が入っていた。

石板には、


ーーーーー


カグネ

ランクF


ーーーーー


と、だけ彫ってあった。


……取り敢えず、武器庫に向かおう。


〜〜〜


ガラガラガラ


武器庫の扉を開ける。


溢れかえっていた武具が消え、凄くサッパリした風景になっている。

だが、部屋の奥に袋が置いてある。

袋がある所まで移動し中身を確認しようとしたが、手紙が置いてあったので、先に読むことにする。


ーーーーー


そこにある袋は、アイテムポーチと言われる

『魔道具』だ。


カグネなら分かるだろうが、念の為説明しておく。


そのアイテムポーチは、沢山の物を入れる事が出来る、便利な袋だ。


但し、入れることが出来る容量は所持者の魔力量に依存するから、無限ではない事に注意だ。


その袋の中に武具や便利道具が入っている。


有効活用してくれ。


ーーーーー


袋の中に私の武具が入っているらしい。

広間に戻って、そこで着替えよう。


〜〜〜


着替え終わった。

アイテムポーチの中に服や野営道具、調理道具等を入れていく。

お母さんが前、私の魔力の量は多いと言っていたので、多分沢山入ると思う。


そして、アイテムポーチの中にはこんな物が入っていた。


『冒険の書』


その名の通り、本だ。手の平に乗るぐらいの大きさで、そこまで厚くない。

本の中はすべて白紙だった。


あと、アイテムポーチの中にも手紙が入っていた。


ーーーーー


冒険の準備は整ったか?


整ったなら、荷物を持って花畑の桜の樹の下に移動しろ。


それと、『冒険の書』は肌身離さず持っていろ。


その本は、気紛れに力を貸す。


ーーーーー


気紛れに力を貸すんじゃ、ちょっと困ると思ってしまったが、力を貸して貰えるだけ有難いと思う事にする。


……さて、準備は整った。


あの桜の樹の下に行こう。


〜〜〜


「ねぇ、この樹はなんなの?」


「……いつか、知る時が来るかもしれないな。」



巨大とした表現できない、とても大きな樹を眺め、昔を思い出す。


結局、お母さんはこの樹の事を私に教えてくれなかった。

今度会えた時、もう一度聞いてみよう。


……桜の樹の下に行こう。


駆け足で移動し、樹の下に辿り着いた瞬間


「……っ⁉︎」


視界を青白い光が埋め尽くした。

これは……転移魔法だ。


どうやら、私は何処かに飛ばされるらしい。

流石に海のド真ん中は無いと思うが、何処に飛ぶかは分からない。


飛んでからのお楽しみ……と、お母さんは言うだろう。


一瞬の浮遊感の後、初めからそこに居なかったかのように、跡形も無く私は消え去った。


後には、風に吹かれて飛ばされる花だけが残った。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


『あー……ここどこだ?』


気が付いたら、俺は森の中に居た。

突っ立っていた。


……ホワッツ?

何が起きた?


見渡す限り、木、木、木。

上を見上げると、木々の隙間から雲一つない、日本ではあり得ないぐらいに澄み渡った蒼空が見える。


だが、木はとても高い。

花粉を無駄に撒き散らす、杉と同じぐらい高いだろう。


……取り敢えず、思い出そう。

俺の名前は西森(にしもり) 幸夜(こうや)

少年探て……じゃないわ。

普通の高校3年生、17歳だ。

今日は遅刻してしまったが、普通に学校に行った。

帰り、電車で寝た。

うん、記憶喪失では無いな。

よかった。


いや、良くは無いんだが……。


うん、心当たりとしては、最近流行りの異世界転移ってやつなんだが……それだったりするかもな。


取り敢えず、全力でジャンプしてみよう。


リュックサックを側に下ろし、足に力を入れ、飛び跳ねる。


『おわっ!?』


高い!

頑張っても跳び箱4段しか飛べない俺が、倍ぐらい跳んでる!


そのまま俺は落下し……


『あだっ!』


上手く着地出来なかった。


しかも、


『し、染みるぅぅ……い、痛ぇ……。』


足首を挫いてしまった。


はぁ、痛い……。


取り敢えず、人を探しに行こうか……痛みが引いたら。


〜〜〜


「ーーーー!」


「ーーーーーーーー!」


「ーーー!」


なんか騒がしいなぁ。


これ、盗賊イベントだろ……恩売りと人殺しの覚悟を決める、重大なイベントじゃねぇか。


はぁ……実は盗賊がいい奴だった……みたいな展開じゃ無ければ、人は殺せるな。


……吐くかもしれないが。


〜〜〜


遠くから様子を見てみる。


「野郎共! 終了だ!」


「「「ウォォォォォォォォォ!」」」


親玉と思わしき男が何か言うと、如何にもやられ役です、と言うような容姿の男達が雄叫びを上げる。


やべぇ……何言ってるか分かんねぇ。

ネット小説で異世界に転移した奴らはみんな言葉が通じてたのに、俺は翻訳機能無しとか、マジでどうやって生きていけって言うんだよ。


……いや、今は状況確認だ。


馬車の周りには鎧を着たり、革の防具を付けたりしている男達がゴロゴロ転がっていて、その近くの空気が若干黄色っぽかった。


あぁ、麻痺する粉でもばら撒かれて、それ吸って動けない所をのろされたのかな。


今度は、生きてる男達の方を見てみる。


頭はボサボサ、服はボロボロ。

フケと皮脂で不潔感満載。

分かりやすいほどのゲスい笑み。


うん……あの盗賊みたいな奴らは、どう考えても殺してもいい下衆だな。


さぁ、覚悟を決めて人を殺そう。

言葉は通じないが、殺してもいい奴だろうし。


そう思い、動こうとした時。


スパッ、という音を立て、1人の男の足が切れた。


「ウグゥアッ!」


「な、何が起こった!」


「周りを警戒しろ!」


男達が騒ぎ始める。


ヤバい……これがモンスターによる仕業だと、戦闘経験無しの俺じゃあ、絶対にすぐ死ぬ。


「アァァァァァアアッッ!」


また1人、男の肘から下の部分がズルリと落ちる。

切れた男の腕の断面は、恐ろしく綺麗だった。


マズイ……


「ゴォッ!」


また1人、男の腕が切れた。


「出て来い! 卑怯者!」


男が何言ってるか分からないが、恐らく「卑怯者! 出て来い!」とか言ってるんだろう。


なんか……咬ませ犬とかによく居るよな、こういう奴。


本当はそんな事考えてる場合じゃ無いんだが、こうも簡単に男達が殺されてると、隠れてやり過ごすのが正解だろう。

それに、ふざけた考えでもしていないと、この状況に心が持たない。


「どこだ! 出て来い!」


男がそう言うと、1人の女性が現れた。


その後ろで一つに纏めた髪は、夜を想像させるような、綺麗な黒色だ。


その切れ長の目は、黒曜を想像させるような、透き通った綺麗な黒色だ。


その肌は、新雪を思わせる様な、綺麗で、透き通った白色だ。


その少女は紅白の巫女服を着込み、大太刀を手に持っていた。


「野郎ぶっ殺してやらぁぁぁぁ!」


男が叫び、少女に走っていく。


だが、俺は少女の事を心配には思わなかった。

なぜなら、この状況で少女が出てくるという事は、男達の四肢を切り落としたのは恐らく彼女だと考えるのが普通だろう。

それに、男は明らかにやられ役の台詞だ。


そして、ここは異世界。


魔法なんてのがありそうな世界だ。

筋力=強さには繋がらない。


「……浸透。」


そう考えていたのだが。


「オゴォォォォォッ!……ッ!」


少女が大太刀を投げ捨て、掌で男を張り倒した?のである。


男は、膝から崩れ落ちる。



……魔法……使わないのかよ。


そう思っていたのだが。


ジュッ


「熱いぃぃぃぃぃぃぃぃ!」


「汚物は……消毒。」


男達の、四肢を切り落とした断面を、燃やして止血していた。


うわぁ……そこで魔法使うのかよ。


「……敵か?」


『……え?』


振り向くと、少女が居た。


「……お前は、敵か?」


ヤバい、何言ってるか分からん。

クソッ、もうどうにでもなれ!

ケッ、どうせ死ぬんだ!

最後くらい欲望に忠実に生きてやるよ!

見た目がいい奴は、絶対に中が腐ってるんだ!

どうせビッチなんだろ!

だったらこれ位余裕だろ!


『下着見せて下さい!』


『……ふ。』


『……ふ?』


『ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!』


『うげっ!』


聞きなれた日本語と共に、張り手が飛んできた。


うへへ、初心だったんだね。

美人さんの張り手はご褒美です。


そんな事を考えながら、俺の意識は闇に沈んでいった。




ーーーーーーーーーーーーーーーー



盗賊を倒し終えたが……こいつはどうしよう。


地に伏せている黒髪黒目、黒い服を着た男を見て、そう考える。


……取り敢えず、この変態『達』は縛って、眠らせておこう。


「ウゴォォォォ……」


「ガァァァァァ!」


煩いし。


『眠れ』


魔法を発動し、変態『達』を眠らせ、木の蔓を使って縛る。


「生きてますか?」


馬車の戸を開き、確認する。


「……? 居ない?」


馬車の中には大量の荷物があるだけで、人は居なかった。


気配は有るけど、私を怖がってるんだろうか?


「……冒険者のカグネです。盗賊は倒しました。」


「そ、それは本当ですか?」


「はい。」


物陰から、太った男性が出てきた。

返事をして、ギルドカードを見せる。


「おぉ、有難う御座います。」


「……大丈夫です。」


私は悪い人を懲らしめる為に力を振るから、苦ではないのだから。


「顔色があまり宜しくなさそうですが……大丈夫ですか?」


「大丈夫です……街へ戻って、報告しましょう。」


「そうですね。馬は逃げてしまいましたが、命があるだけマシですし。」


「大丈夫です。」


「……何がですか?」


「……見ていて下さい。」


そう言って馬車から降り、魔力で身体強化と言われる、基本的な魔法を発動させる。


盗賊達を馬車の側面に縛り付け、


「ふんっ!」


「おぉわっ⁉︎」


馬車を押して進める。

道なりに進めば、多分街に着くと思う。


……多分。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


目が醒めると、俺は何かに括り付けられていた。


……へ?

何これ。

軽くポル○レフ状態だぞおい。


てか、やっぱり動けないんだけど。


正面は青空。

左右は過ぎていく木々。


どうやら俺は、馬車の屋根に括り付けられているらしい。


多分、全力を出せばこの縄を引き千切れるが、そんな事したら首が飛ぶ気がするから止めておく。


「そこの馬車、止まれ!」


はぁ、また意味分からない言葉喋ってやがる。

言語翻訳は、デフォで付いておいてくれよ……。

愚痴ってもしゃあない。


「……盗賊に襲われた所を助けた。

盗賊は、この通り縛り付けてある。」


「そうか、助かる。念の為、ギルドカードを見せてくれ。」


「……ん。」


「あぁ、確認した。いいぞ。盗賊達は、ここに降ろして行ってくれ。」


「……分かった。」


ゴソゴソ音がする。

何やってんだ?


横を見てみる。


「……」


『……』


少女と、目が合った。

ヤバい、気まずい。


『あー……なんかゴメンね?』


一応、謝っておく。


「お前……理解出来るか?」


はぁ、また意味分からん言語だ。


『お前、理解出来るか?』


『あー、分かりますよ?』


あれ?

この娘にだけ言語翻訳が発動してるのか?


『お前……何故あそこに居た?』


『……迷子?』


『……』


少女が、ジーっとこちらを見てくる。


『照れるから止めろよ。』


『……バカ。』


『えっ! ちょっ! それ酷い!』


流石に心に響くわ……。


『……付いて来い。』


『え? あ、あぁ。』


縄を解かれ、自由になる。


『あー、中々キツかった。』


手首足首の調子を確認する。


『……。』


少女とがジーっと、こちらを見て来る。


『俺が悪かったね、ゴメン。』


そう言って、地面に降りてから謝ったんだが。


『……そうか。』


なんか……反応淡白だなぁ。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ここまでお読み頂きありがとうございました

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